茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第2677回「すべての表現者は、制約を歓迎せよ!」

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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート2677回をお届けします。文章はその場で即興で書いています。本日は感想です。

2022-01-09 07:28:15
茂木健一郎 @kenichiromogi

昨日、ブログでもレビューしたけれども、NHKで流れていた「ワケあって顔出せません 」の第一回、DMM会長の亀山敬司さんをとりあげた番組は面白かった。顔を出せないという制約を逆手にとって、亀山さんの声を多用するなどの手法をつかって印象的な仕上がりになった。

2022-01-09 07:29:43
茂木健一郎 @kenichiromogi

制約は創造の邪魔になることもあるが、逆にクリエイティヴの種にもなる。しばしば言われているように、歌舞伎は出雲阿国から始まって、でも幕府によって女性が舞台に上がることができなくなって、そこから女形などの独自の表現が生まれていった。

2022-01-09 07:30:45
茂木健一郎 @kenichiromogi

宝塚は、全女性のキャストでいかに男性を描くか、という制約から、理想の異性像、ユングの言うアニムスに結実していった。もし、舞台に男性も上がっていたら、宝塚独特の完成された男性表現は生まれていなかったろう。

2022-01-09 07:31:50
茂木健一郎 @kenichiromogi

夏目漱石は、新聞の連載というかたちで主要な作品を発表していった。連日ひとびとの注意を引き続けなければならないという制約の中で、文学史に残る傑作が生まれた。いわば、新聞屋としての矜持、制約が文豪を生み出したのである。

2022-01-09 07:33:16
茂木健一郎 @kenichiromogi

しばしば、日本のテレビがつまらなくなったことの理由として、テレビ擁護派が「いろいろ視聴者がうるさくなって自由にできなくなった」と言うが、それは違うだろう。制約こそが創造性の種になることもあるのだから、つまらなさの原因は別のところにあるはずだ。

2022-01-09 07:34:09
茂木健一郎 @kenichiromogi

なぜ、制約が時には創造性の種になるのか。制約によって簡単には表出が許されなくなった私たちのアニマル・スピリッツ、生きるエネルギーのようなものがうまい出口を探していろいろと無意識の工夫をするからだろう。すべての表現者は、制約を歓迎せよ!

2022-01-09 07:36:02
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート2677回「すべての表現者は、制約を歓迎せよ!」をテーマに6つのツイートをお届けしました。

2022-01-09 07:36:52