針の穴に糸を通すような出来事

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堀井義博 @yoshihirohorii

しかし、もし、あの老婆が俺に「針に糸を通してくれ」などと言い出していなければ、俺にその他のサイン(携帯電話を落す男や例のピストバイクなど)を読み取れたとは思えない。多分、目には写っていても、そこから意味を成してはいなかっただろう。

2011-09-03 15:11:51
堀井義博 @yoshihirohorii

というより、今でも別に意味は無い。つまり、それらの出来事らを統括的に司るような意味の力が外在しているわけではない。ただ単に、俺がそこに意味を見い出しただけなのだから。

2011-09-03 15:14:28
堀井義博 @yoshihirohorii

そういう意味でも、あのお婆さんからの呼び掛けは、文字通りの意味で「夢のトリガー」だったと考える方がしっくり来る。現実世界の中にある、ちょっとした「染み」。普通は気付かずに見過ごしてしまうような、何気なくそこここに転がっている、些細なディテール。

2011-09-03 15:19:04
堀井義博 @yoshihirohorii

しかし、ひとたびそれに注目し、注視し始めると、それまでとは全く異なる「イメージ」が浮かんで来るような突出した細部。そういうものだったのだ。

2011-09-03 15:21:02
堀井義博 @yoshihirohorii

始めの方にも書いた通り、俺がそこに立ち会い、目撃してさえいなければ、地球上の何処にもそんな事実は一切存在しなかった、そんなふうな出来事だったのだ。すなわち、あの細い路地には、あの一瞬だけ、そうした空想のリビドーが充満していたのだと考えるのが妥当だと思う。

2011-09-03 15:25:56
堀井義博 @yoshihirohorii

ファンタジーという宇宙の具現化。長々と失礼しました。

2011-09-03 15:26:34
堀井義博 @yoshihirohorii

しかしそれにしても、路上で見知らぬ人からいきなり「針に糸を通してくれ」などと言われる人間は、人類史的に見ても、極めて稀なのではないかな。多分二度目はないと思う。

2011-09-03 15:29:56
堀井義博 @yoshihirohorii

あぁ。いい表現を思い付いた。

2011-09-03 15:30:57
堀井義博 @yoshihirohorii

あれは、空気中に含まれている微量のファンタジー成分が、何らかのきっかけで、俺の目の前に結晶として析出してきたのだ。そう考えないと、科学的には説明が付かない。

2011-09-03 15:33:47

とりあえず一旦ここで「連載」は終了。以下しばらくは体験した直後の動揺がポツポツ続く。

堀井義博 @yoshihirohorii

そうそう。そうなんですよ。俺も自分で「自分が死体ででもなければ、こんなことがあるはずがない」と思いながら事態の推移を眺めていたんです。殺人事件においては、死体はよく喋るようですからね。

2011-09-03 15:41:05
堀井義博 @yoshihirohorii

あるいは幽霊かな?それともヴェンダース風に言うと「天使」なのかも。

2011-09-03 15:41:58
堀井義博 @yoshihirohorii

遅れて首都大に着いたら、いきなり、キャンパス内で練習していたオーケストラの金管楽器チームによる、大音量のマーラーの交響曲第1番第4楽章中のファンファーレぶぶんで盛大な歓迎を受けた。今日はどうも何から何までシュールだ。とりあえず第3楽章でなくて良かった。

2011-09-03 16:09:28
堀井義博 @yoshihirohorii

今朝の一連の出来事と観察には、もう一つの小さなサイドストーリーがある。もうバッテリーが無い(早っ)ので、後で書くことにしようと思うが、忘れないようにしないと。記憶というのはたいてい揮発性だからねー。

2011-09-03 16:52:36

この間に、例の大顰蹙?を買った「限りなく透明に近いなんたら」という、完全に無意味な長大な連続ツイートをしている。自分としては、言葉が完全に意味を失う場所に辿り着きたかっただけなんだけど、気持ち悪いとか狂ってるとかホラーとか思われたらしい。まぁどうでもいいけど。

堀井義博 @yoshihirohorii

まぁとにかく俺には理解不能な事が多すぎるよ

2011-09-05 01:45:35
堀井義博 @yoshihirohorii

まぁ昨日(もう一昨日だけど)の出来事が余りにもショッキングだっただけなんだけどね。経験しないと分からない事ってあるから。

2011-09-05 01:48:52
堀井義博 @yoshihirohorii

サイドストーリーはやめとく。

2011-09-05 01:49:17
堀井義博 @yoshihirohorii

ただたんに「針の穴に糸を通すような作業」を、これほどまで完璧にリテラルに経験する事ってないと思っただけなんで。

2011-09-05 01:51:56
堀井義博 @yoshihirohorii

というのも、普通「針の穴に糸を通すような作業」と言う場合には、それが、針の穴に実際に糸を通す事を意味するという事はほぼ100%無い。何故なら、実際の針の穴に糸を通す作業をする場合には「針の穴に糸を通すような作業」とは言わず、ただたんに針の穴に糸を通すだけだからだ。

2011-09-05 01:56:06
堀井義博 @yoshihirohorii

レトリックの問題点はここにあって、修辞句を生成する語句と、成句が「意味する」内容とが、基本的に関係ないことが多くて、その限りにおいて始めて意味を成す場合が殆どだ、ということ。語源的に、物理的な事象に根を持っていても、それが成句すると、元の物理から、言語は「離れて」行く。

2011-09-05 01:59:14
堀井義博 @yoshihirohorii

ところが一昨日の経験は、俺に修辞と物理的現実との、ほとんど病的と言えるような短絡をもたらした。これに動揺しない人間がいたとしたら、そいつはかなり鈍感だと思う。正直に言うと(一昨日のメモにも書いつもりたけど)はっきり言って俺は「死んだ」と思った。「死ぬ!」じゃなくて完了形。

2011-09-05 02:03:17
堀井義博 @yoshihirohorii

ああいうことは「あってはならない」ことなんだ。「いや、どんな例外だってある」とか、ワケ知ったような顔で言われたくない。俺は初めて行った海外の中国で他殺死体を見て(←以前に書いた)も、ここまで動揺はしなかった。なぜならそうした事態は「説明が付く」からだ。

2011-09-05 02:06:31
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