営利的言論について

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anonymity @babel0101

営利的表現の自由に関するアメリカの判例の基準で、「セントラル・ハドソンテスト」というのがあるが、結構面白い。セントラルハドソンガスが、電力消費を促進する広告を禁止するニューヨーク州公共サービス委員会の命令が営利的言論の自由を侵害するとして出訴した事件だが、そこで確立された基準だ。

2011-09-04 22:56:06
anonymity @babel0101

従来は営利的言論は、表現の自由に含まれない、非営利的言論よりも保障の程度が低いことを前提に個別的比較衡量論による保護しか与えないなどと処理してきたが、目的=手段構造の保護を与えるようになったのがセントラル・ハドソンテストだ。

2011-09-04 22:58:36
anonymity @babel0101

セントラル・ハドソンテストは、非合法ないし詐欺的なものは営利的言論の保護範囲から外したうえで、営利的言論の保護範囲に含まれるものでも①規制利益が実質的であり、②規制手段が規制利益を直接推進するか、③規制利益を達成するのに必要以上に広範ではないかを判定する。

2011-09-04 23:01:33
anonymity @babel0101

①規制利益は実質的で良いので、やむにやまれぬ利益は不要である。また③の手段審査の要件については必要最小限度(LRA)から合理性まで審査に幅があるらしい。いずれにせよやむにやまれぬ政府利益を達成するための必要最小限度の規制であることを要求される政治的言論とは異なる法理で審査される。

2011-09-04 23:04:10
anonymity @babel0101

なお、この事件で営利的言論を制限するとして問題とされた命令は、電力消費を促進する広告を禁止したが、ピーク時の電力を消費電力の少ない時間帯へ移すことの奨励は外されている。これ、今の日本では現代的な問題ですよね。

2011-09-04 23:05:35
anonymity @babel0101

直接規制よりも営利的広告を規制する情報規制(間接規制)のほうがより危険と判断されることがある。それは情報規制は情報を与えた上で自己決定をさせる機会を奪うがゆえに自己決定権への深刻な侵害になりうるからである。

2011-09-04 23:07:38
anonymity @babel0101

政府は論争的事項に関しては行為の直接規制を進めることができない場合がある。その際、政府は達成しようとする政策(喫煙の減少)を直接規制の方式ではなく、情報規制(間接規制)の形で実現しようとする。このようにすることで政府は論争を避けつつ政策を達成できるので、政府権限濫用の危険もある。

2011-09-04 23:09:50
anonymity @babel0101

このあたりの情報規制の危険性は、憲法百選Ⅰの橋本基弘先生解説を読むと非常に面白いです。セントラルハドソンテストについての言及もありますしね。

2011-09-04 23:11:02
anonymity @babel0101

新司法試験のたばこに関する情報規制の問題を解く際にも、橋本先生の解説を参考にするとためになります。

2011-09-04 23:14:00