杏さや結婚式SSS

なんとなく滾って書いたもの
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生駒クズリ @ikoma_ru

杏「結婚式でも挙げてみる? 神父役はあたしがやってやるからさ」さ「誰と誰のよ?」 杏「あたしとあんたの」 さ「はあ? 意味わかんないんだけど」 杏「いやか?」 さ「……わたしが花嫁なら」 杏「えー。神父はあたしがやるんだよ? 花嫁やらせてよ」 さ「じゃ、やらない」

2011-09-05 12:11:34
生駒クズリ @ikoma_ru

杏「あ、そ。じゃあいいや」 さ「え……」 杏「ん?」 さ「……いいわよ。わかったわよ。花婿役でいいわよ」 杏「へへ、やりぃ」 さ「ちょっと意外。あんたでも、花嫁さんに憧れたりするんだ?」 杏「な、なんだよ。悪いか?」 さ「クス。ううん、悪くないよ」

2011-09-05 12:14:08
生駒クズリ @ikoma_ru

杏「えーと、汝、病める時も健やかなる時も……とにかくずっとずーっと、汝のパートナーを大切にしますか?」 さ「ちょっと、何よそれ。適当ね」 杏「しょーがないだろ。きちんとなんて覚えてるわけないじゃん。それより答えは?」 さ「はいはい。誓います」 杏「真剣味が感じられないなぁ」

2011-09-05 12:16:41
生駒クズリ @ikoma_ru

さ「うっさいわね。それより今度はそっちの番よ」 杏「ん、誓います」 さ「あんただって同じじゃない」 杏「いいだろ、別に。てか、改まると、照れ臭いなぁ」 さ「そもそも神父と花嫁が一緒って時点でね」 杏「しょーがないだろ。二人しかいないんだし」

2011-09-05 12:19:26
生駒クズリ @ikoma_ru

さ「で、次は? 神父兼花嫁さん」 杏「指輪の交換だね」 さ「そんなの、急に言われたって持ってないわよ」 杏「あたしはあるよ。ほら」 さ「これ、どうしたの!?」 杏「そんな怖い目すんなよ。盗ったりしたもんじゃないから……それ、親父の形見なんだ」

2011-09-05 12:22:23
生駒クズリ @ikoma_ru

さ「!! そんなの、受け取れない」 杏「持ってて欲しいんだよ、さやかに」 さ「……ホントにいいの?」 杏「もちろん。さて、と、次は誓いの……んん!」 さ「……」 杏「……神父が言ってからだろ、キスは……」 さ「神父なんていなくていいよ。あんたはわたしの……花嫁でしょ?」

2011-09-05 12:25:56
生駒クズリ @ikoma_ru

杏「……! はは、なんか照れるね……」 さ「約束するよ、杏子。大事にする」 杏「……ん。あたしも、さやかを……大事にする。守るよ」 さ「……一緒に、生き残ろうね」 杏「うん。越えよう、一緒に。ワルプルギスの夜を」 さ「その時までには、わたしも指輪、用意しておくね」

2011-09-05 12:29:16
生駒クズリ @ikoma_ru

杏「無理すんなよ。でも……ありがとう」 そして少女達は、傾いた太陽の光の中、もう一度だけ、口づけを交わす。やがて、夜。青と赤の魔法少女が、嵐の前に立つ。さやかの左手、その薬指には、誓いの指輪が輝いていて。

2011-09-05 12:34:34
生駒クズリ @ikoma_ru

「いこうか」「うん」最後にそう言葉をかけ合って、彼女達は立ち向かう。最強の敵を打ち倒すべく。そして、その先の幸せをつかみ取る為に―――― 了

2011-09-05 12:35:38