上流階級の女性たちに求められたのは、高級な調度品のように、ただ美しく存在すること

衣服標本家：長谷川 @rrr00129

1880年 身体に纏う造形装飾 【ロシアン サーキュラー】を紹介します 上流階級の女性たちに求められたのは、高級な調度品のように、ただ美しく存在すること 19世紀末に大流行したロシアンサーキュラーは、腕をも削りとり女性を美しい造形物に仕立て上げました この服の知られざる構造美を探ります↓ pic.twitter.com/g8rrooglom

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ロシアンサーキュラー最大の特徴は【腕が無い】ことです そして、背中・肩・前身これらすべてを「一枚の布」で裁断しています 横方向のゆとりは皆無なので、腕をあげるなんて行為はできません だた、美しく存在するための構造 女性を人から「物」に変える衣服です pic.twitter.com/NIpziy14VS

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そんな服をヴィクトリア朝の女性たちは望んでいました 「ここ数年の人気でロシアンサーキュラーは婦人服の中で重要な位置を占めるようになった。 暖かさと快適さの両方を兼ね備えているため今後も人気が続くだろう。 様々なスタイルのコートの中でも、最も重要な位置づけである」 1892年の本より抜粋 pic.twitter.com/mRrCUPQnlw

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また1891年のカタログでは 「このようなコートは舞踏会やオペラの鑑賞に特に最適である。 毛皮、ダチョウの羽、パスマントリー、金銀のブレードなど、お好みに合わせて装飾します。 私たちは10サイズ展開で販売します。」 と書かれています 「10サイズ展開」という点に、その人気ぶりが伺えます pic.twitter.com/K1B83uURoB

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裏地は、黄金に輝くサテンシルクです そして裏側にこそ、驚くべき秘密が隠されていました まず背中ウエスト部分につくリボンは「ウエストベルト」の役割をします コルセットで締め上げたウエストに、強制的にフィットさせる仕掛けです では、前面につく四角い布は何かというと・・・ pic.twitter.com/OAaAmi9qSI

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【腕を通すためのループ】なのです このループがあることで「所作のなかで美しいドレープを演出できる」と当時の本に書いてあります 腕を左右に広げることはできませんが、前方に少しだけ出すことは唯一可能です 大幅に動きを制限することで、慎み深い女性像を体現しているのでしょう pic.twitter.com/H6t5XmNZI3

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フロントは胸の下までフックで閉じられるので、前方に出す腕の動きはかなり限られます ロシアンサーキュラーは、上流階級からブルジョワジーまで幅広い階級の女性に受け入れられた衣服なのです 広域ではこのような服は「ドルマン」という種類に分類されます pic.twitter.com/RImKd7TBPj

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こちらはNYのメトロポリタン美術館が所蔵するロシアンサーキュラーです 背中、脇、前身と大きく生地を使用するので、このような大柄生地が栄えます （写真2枚目の型紙を見てください、用尺...） お尻部分のプリーツは、お尻を盛り上げるバッスルのために設けられています pic.twitter.com/5AGuRxw4JJ

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私の所有するロシアンサーキュラーは、前方の裾が斜めに切り落とされていました レディが脚を見せるわけにはいけませんから、恐らく写真1枚目のように地面に垂らして着用したのだと思います もしかすると、ウエディング仕様のロシアンサーキュラーかもしれませんね pic.twitter.com/aN84N0rqO1

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型紙の販売も、残すところ３日となりました ２月１４日（月）まで販売しております 初心者向けの型紙もありますので、洋裁に興味がある方はHPを覗いてみてくださいね 私は、これからも失われた造形美をかたちにしていきます d-d-pattern.myshopify.com pic.twitter.com/OybFTdtaSR

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ロシアンサーキューラーを手に入れることができたのは、半・分解展に対価を支払ってくれる皆さんのおかげです 珍しい服なので、資金がなければ買えませんでした ありがとうございます ４月の半・分解展 東京で展示しますので、ぜひ生で見てください 考察もたっぷり展示するのでお愉しみください