婚活龍神×祓魔師花嫁な龍以（帝都騎殺）

魚瀬@入村済 @uose313

そんな岡田にすっとにじり寄って、「いぞーさん、こっち向いて」と語りかける坂本 「ありがとう、いぞーさん……怖いことを怖いって言うのは、凄く勇気のいることだと思うから。僕はいぞーさんがそう打ち明けてくれて嬉しいんだ。寝ずの番したことも、迷惑だなんて全然思ってないよ」

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布団にくるまったまま振り向いた岡田の手をきゅっと握る坂本 「これでいぞーさんの不安が和らぐか分からないけど、ちょっとこうして手を繋いだままで寝てもらっていいかな？僕はずっとここにいるから」 2ヶ月くらい坂本と過ごすうちに、コイツは妙なやつだが自分に危害を加えないと岡田は分かっていた

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ので、坂本の手を無言で握り返して応える そのまますっと目を閉じると、いつもより安心して眠ることができた 一晩たって、気持ちのいい目覚めだと思いながら目を開けた岡田の前には、あぐらをかきながらうつらうつらしている坂本の姿 ずっと自分と手が繋がれているままだ

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まさか、一晩ずっと手を離さず、自分から離れずに座ったままそばにいてくれたのか。岡田が身じろぎすると浅い眠りから坂本も引き戻され、「おあよー、いぞーさん……」と眠そうに返される 申し訳ない気持ちと、むず痒い暖かさが岡田の胸の内を満たしていた

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次の日の夜、また同じように枕元に座って手を握ろうとする坂本からぱっと離れる岡田 やっぱり嫌だったのかな……としゅんとする坂本に向かって、寝ながら掛け布団をがばっと上げる岡田 「……ん」 「？」 「…………ん！」 「……？？？」 岡田の意図が汲めない坂本にあ"ーもう！と頭を搔く岡田

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「わ、わしのせいでおまんがようけ眠れずに、朝起きたらふらふらしちゅうのがえずいだけじゃ。見てられん」 「……え、と？」 「…………はいれ。ここに」 そっぽ向いてるけど耳が真っ赤な岡田と、いぞーさんが気を許してくれた！やった！と飛び上がる坂本

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「入るだけじゃ！お、同じ布団に！なんも、ぜんぜん、大した意味はないきに！」 「うん、分かってるよ！添い寝だけだよね！勿論！」 「そいっ……！！！」 『添い寝』という単語に耐性のない岡田 同じ布団に入って、昨日同様手だけ繋ぐ坂本

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手だけ繋いでたのが、そのうち腕組んで足絡ませて、抱きしめるようになるまで時間はかかりませんねこれは……（一応この時点では形ばかりの『婚約者』ってだけで、このリョイは付き合ったりしてないっす）

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岡田はこれから寝不足になることなく、安心して眠れるようになった すっかり寝入ってしまった岡田を腕の中に入れて、ギュッと抱きしめる坂本……まだ僕のことを好きになったって程じゃないけど、ある程度心は許してくれたのかなと思うとニコニコしちゃうんですよ

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どれくらい時間が経っただろうか。岡田の寝顔に向けてたニコニコ顔をスン……としまって、布団の外に顔を向ける坂本 横になったまま障子の向こうをじっと見つめる坂本 蝉の声がだんだん低くなってくる そうして、先に口を開いたのは坂本の方だった

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「入ってきちゃダメだよ、キミは」

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突然、障子の向こうにぐねぐねとした影が蠢く 障子がガタガタと音を鳴らして、ぴったりと閉じられたそれが僅かに開こうとするのを見て、もう一度坂本はぴしゃりと言った 「ダメだよ、この人はキミにあげないからね」

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「僕の、僕だけの婚約者なんだ。たいせつなひとなんだ。だからキミが取ろうとするなら、僕はーーー」 「キミに、酷いことをしてしまう」 それまでガタガタとうるさかった障子がぴたりと動かなくなり、障子の向こうの影もすっと溶けるように消えてしまった 「ありがとう、分かってくれて嬉しいよ」

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この坂本は岡田と無事くっついてから、当時の怪異についてあれこれ語る報告激遅マンなので「そういえばいぞーさんが来たばっかりの頃眠れなかったじゃない？あの時の霊障がさぁ」って話して「待て。そもそもあの時霊障があったがか？！何でそん時に言わん？！」と岡田にめちゃくちゃ怒られる

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ただのイチャイチャチュッチュキャピキャピラブラブスリスリドキドキ話だったはずなのに、またおばけちゃん盛り込んでしまった……