デストラクティヴ・コード ＃3

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

シャゴタイトの憑依ソウルの本質がアヴァリスの「内なる星」に繋がった。ハリネズミ・ジツが棄てられ、シャゴタイトの「オーレフォーム・ジツ」がリンクされた。「サヨ、ナラ！」シャゴタイトは爆発四散した。鉱石の欠片を散らし、上を見る。次の敵は頭上にいた。　22

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「おろか！」グリーンウィスプが叫びおろした。邪悪司祭じみたニンジャは雑居ビルの配管パイプから横向きに生えた「安全と保険」のネオン看板の上に立ち、両手にジツの力を育てていた。「キイイイイエエエエーッ！」無数の緑色の鬼火が、ゆらゆらと揺れながら、アヴァリスの路地に降り注いだ。　23

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「む……」アヴァリスは退路を探った。バキバキと音を立てて、緑に燃え歪んだ街灯が溶けながら倒れてきた。KA-BOOOM！隣接する雑居ビルがガス爆発を起こした。「アバーッ！」「アイエエエ！」くぐもった悲鳴が聞こえた。「救済救済救済！」グリーンウィスプは別のビル屋上へ跳び、ジツを継続した。　24

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緑の火は建物を巨大な薪めいて焼き崩しながら育ち、ネオサイタマの異色の夜空に緑の色彩を放った。炎はやがてアヴァリスを路地の一角に追いやり、炎で取り囲んだ。「救済！キエーッ救済！」グリーンウィスプはマイを舞うように両手を振り動かした。炎は集まり、圧縮される。「捉えたぞよ！」25

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グリーンウィスプは額の前で印を結んだ。炎はなぜかそれ以上燃え広がりはせず、生き物めいて、じわじわと、じっと耐えるアヴァリスに這い寄っていった。「キイイエエーッ！」グリーンウィスプは燃やし続けた。濃縮された緑の火は太陽めいて明るく路地を照らし、その中でアヴァリスは堆積物めいた。　26

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「救済救済！救済救済！」グリーンウィスプは新たな炎を生み出し、堆積物に送り込み続けた。「救済！救済……救……？」グリーンウィスプは訝しんだ。いまや炎はちろちろと燃える焚き火めいた火が堆積物に纏わりついているだけだった。「救……」グリーンウィスプは炎を送り込もうとする。できない。27

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「救済できた？救済……できない？」グリーンウィスプは下の堆積物を見、己の手を見、堆積物を見た。火が失せた。堆積物は鉱石の塊だった。パキパキと音を鳴らし、鉱石が揺れ、剥がれた。「どうにかなったか」バラバラと石片を払い落としながら、アヴァリスは再びネオサイタマの夜の空気を吸った。　28

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「ひ……」アヴァリスの闇色の目を、グリーンウィスプは恐れた。彼の周囲には再び緑色の火が出現した。グリーンウィスプは安堵した。己のジツの不調が取り払われたと。次の瞬間、緑色の火は……オニビ・ジツの火は、グリーンウィスプのもとへ集まり、彼を火だるまに変えた。「アババババーッ！？」　29

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グリーンウィスプは燃えながらアヴァリスの眼の前に落下した。「アバババーッ！救済……！これが！」「よかったな、お前」アヴァリスは手を握り込むように動かし、グリーンウィスプを炎によってカイシャクした。「サヨナラ！」グリーンウィスプは爆発四散した。アヴァリスは顔を上げた。「……ン？」30

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視線の先、黒く燃え落ちたビルの更に奥。数区画先の場所で、ライフル銃の銃身を手の甲で支えたニンジャと目が合った。ビルが燃え落ちた事で、初めて射線がここに繋がった格好だ。こうなる事を予測して位置取りしていたと思しきそのニンジャが、ライフル銃の引き金を引く動きを、アヴァリスは見た。　31

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黒い三角帽（トリコーン）を被ったニンジャは、ニューロン速度で跳ぶ銃弾に、アイサツを込めた。『ドーモ。ハイウェイマンです』アヴァリスは眉間に銃弾を受け、後ろに吹き飛びながら、彼の名乗りをニューロンで聞いた。時間が極限圧縮され、アヴァリスは後ろに倒れる自分を無重力めいて感じた。　32

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「グ！」アヴァリスは背中からアスファルトに倒れ込んだ。カツ。カツ。カツ。狙撃姿勢を解いたハイウェイマンが近づいてくる。「ウ！」アヴァリスは海老反りに身体を跳ね上げ苦悶した。カツ。カツ。ハイウェイマンが近づく。「ア！……アア！」のたうつ。「アアアア！」ハイウェイマンが近づく！　33

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カツ。カツ。シャコン。鉄靴の音。歩きながら、用心深い弾薬装填の音。アヴァリスは震える。頭蓋が銃弾をくわえ込み、脳直前で止めている。アヴァリスは額から噴き出す血を血管収縮の力で止めようと苦悶。やられたな。彼は呟き、上体を起こす。ハイウェイマンは灰色の目で冷たくアヴァリスを見た。　34

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【続く】

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◆忍◆ ニンジャ名鑑#0370 【デスロール】 ミステリアスで神秘的な古代ナイルワニ拳を使うニンジャ。その名はワニが獲物に噛み付いたまま身体を回転させて水中に引きずり込み捻じり殺す残虐なヒサツ・ワザに由来しており、古代ナイルワニ拳の危険を伝えて余りある。 ◆殺◆

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◆忍◆ ニンジャ名鑑#0371 【グリーンウィスプ】 オニビ・ジツを用いるニンジャ。オニビは質量を持った炎であり、ゆっくりと対象をめがけ、湿った緑の炎で焼き尽くす。セキバハラにはかつて火の神をあがめる放浪の信徒が存在し、苦しむ者をオニビで焼いた。それはいにしえの救済の炎である。 ◆殺◆

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◆忍◆ ニンジャ名鑑#0372 【シャゴタイト】 身体に鉱石を高速析出させる異形のジツ「オーレフォーム・ジツ」を操るニンジャ。析出される鉱石は、自ら砕けて衝撃を相殺するリアクティブアーマーとなり、カラテにおいては武器ともなる。 ◆殺◆