ウクライナ首都キエフに向けた40マイルに及ぶ露軍の車列を2週間も停滞しているにも関わらず撃破しなかった戦術分析の和訳をまとめてみた

長いのでひとまとめに見れる様に半場自分のためにまとめときます。 色分けは文章読み終わったらするかも。
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公開後、コメント欄ではとても有益な議論を行うことができた。本スレッドはそこで届いたいくつかの疑問に答えることと、40マイルの車列に起きた悲劇についての議論を深めるためにある。この車列に起きた出来事は、ウクライナ侵攻におけるプーチン最大の軍事的敗北と言えるかもしれないのだ。 pic.twitter.com/BcUQezdRRt

2022-03-18 09:38:19
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この車列に必要な人員はどの程度だろうか。推定だが、この車列は7個師団分の補給物資だと考えられる。必要なトラックの数は1400両であり、トラックの乗員だけで2800人となる。さらにこの車列の護衛には1個連隊が必要だろう。これに必要なのはBTR-90のような装甲車167両に、約2000人の歩兵だ。 pic.twitter.com/2teTed237r

2022-03-18 09:38:21
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護衛の兵力について。1両のIFVは12人の兵士を乗せることができ、これが400ヤード間隔で1両ずつ配置されていた。これは車両の数で言えばトラック8両あたりIFVが1両という間隔になるので、輸送部隊の護衛としては適切な数のように思える。 pic.twitter.com/DpUHA1cNcG

2022-03-18 09:38:21
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だが重要な点が一つある。それはこの車列が戦車ではなくトラックだという点だ。この車列に所属するのはトラックの乗員(非戦闘員)2800人と護衛の歩兵2000人の計4800人だ。これは脅威とは言えない。 pic.twitter.com/HxhJgAohT7

2022-03-18 09:38:23
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初日、ウクライナ北部では7個師団(兵員65200人)が7000両の装甲車両に搭乗し、ベラルーシからキエフへと向かった。この7個師団が通ったのは問題のトラックとは別の道なのだが、これらはキエフまで12マイルの地点で燃料切れに陥った。 pic.twitter.com/apiG7DYxj7

2022-03-18 09:38:24
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念のため書いておくと、問題の40マイルの車列が運んでいたのはこの7個師団の兵力そのものではない。車列が運んでいたのは、キエフ前面に到達していた7個師団に必要な燃料、弾薬、食料などの物資だ。 pic.twitter.com/IGasQqaXpj

2022-03-18 09:38:25
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以前のコメント欄でも、他の手段による補給が行われなかったのか、という質問はあった。輸送の遅れを知った指揮官たちは、すぐにでも食料の配給を命令しただろう。この事態は遅くとも侵攻2日目までには起きたはずだ。物資の節約のため、部隊の移動は最小限にとどめられることになった。 pic.twitter.com/dWkiXwSGLH

2022-03-18 09:38:26
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しかし物資は侵攻3、4日目の時点でも届かず、これにより最も重要な物資が枯渇するようになった。その物資とは医薬品でも食料でもない。銃弾や戦車の砲弾、対空兵器の弾薬など、「防御に必要な」弾薬だ。 pic.twitter.com/vGDMkVOoZf

2022-03-18 09:38:27
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こうした弾薬は最重要の物資であるため、輸送用ヘリによる補給が行われたことだろう。これはロシア軍が戦闘を継続していたことからも裏付けられる。第二に重要なのは燃料だ。これについてもロシア軍は可能な限りの輸送を行ったと考えられるが、不足分は略奪に頼らざるを得なかった。 pic.twitter.com/2VELSpr3V6

2022-03-18 09:38:28
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第三に重要なのは野砲、迫撃砲、爆撃用のロケットなど、攻撃に必要な弾薬だ。こうした物資は非常に重いため、トラックによる陸上輸送が必要であった。しかし輸送を行う予定であったトラックの車列は立ち往生しているため、別の手段での輸送が必要になった。 pic.twitter.com/dY1ZqarER8

2022-03-18 09:38:29
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食料についてはほぼ忘れ去られていた。損害を比較的軽視するロシア軍では、医薬品の優先順位は低かった。問題の輸送車列が立ち往生したことを知ったロシア軍は、小規模な車列を用い、別ルートでの輸送を行うことにした。 pic.twitter.com/RMplBpJt5K

2022-03-18 09:38:30
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このために近隣の7個師団に割り当てられていたトラック200両が流用され、これらがキエフ前面への輸送を担うことになった。「近隣」といっても、輸送部隊が物資を受け取る予定であったベラルーシの基地までは2日の距離がある。 pic.twitter.com/yFQPKyDjIu

2022-03-18 09:38:31
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ロシア軍の車両はメンテナンス状況が悪いため、この200両の中にはベラルーシの基地まで到達する前に故障し、輸送作戦に参加できなかったものもあったと考えられる。おそらくベラルーシの基地まで到達できたのは150~180両程度のはずだ。 pic.twitter.com/e9H1TMrF5A

2022-03-18 09:38:32
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輸送車両が少なく、補給線も長いという状況では、北ウクライナの補給状況は当初予定よりはるかに悪いものとなる。さらに新たな輸送部隊の存在を衛星写真から知ったウクライナ軍は、これらの車両に対する攻撃を行うようになった。 pic.twitter.com/2oCnaS8spQ

2022-03-18 09:38:33
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問題の40マイルの車列が立ち往生したことで失われた輸送能力は、何らかの手段で補われなくてはならない。しかしプーチンは代わりに、兵員に対し「自給自足」を命じた。要するに、燃料や食料を略奪しろ、という意味である。この時、開戦からは2週間が経過していた。 pic.twitter.com/mzSPRVkwOQ

2022-03-18 09:38:34
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結局、プーチンが送ったのは弾薬と多少の燃料だけであった。不足分の燃料と食料については、略奪で補うよう求められた。こうして戦車部隊はさらなる進撃を行えなくなった。 pic.twitter.com/yew9bJXy31

2022-03-18 09:38:35
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これにより輸送部門の失態の重大さが分かるだろう。ロシア軍はキエフ北西部のイルピンまで到達したが、キエフを包囲することは未だにできていない。ベラルーシからイルピンまでは、1日分の燃料で到達できる。 pic.twitter.com/DC9yYoMUHk

2022-03-18 09:38:36
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燃料の補給はホストメリ(アントノフ空港がある街)で行われることになっていた。40マイルの車列はホストメリまで1時間の距離まで迫っており、最前列に至っては数分で到達できるほどの距離であっただろう。しかし結局この車列はホストメリには到達できなかった。 pic.twitter.com/pkgqbJlzAI

2022-03-18 09:38:38
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輸送しなくてはならない燃料はとてつもなく多い。ロシア軍のT-80戦車には2000L(525ガロン)の燃料タンクが搭載されている。BMP-3装甲車は700Lだ。これが7個師団分となると、たった1日行動するだけで計200万ガロンの燃料が必要になる。 pic.twitter.com/oKZa7ZFuRR

2022-03-18 09:38:39
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このタイプのタンク車は3万ガロン、11万Lの燃料を輸送できる。キエフから12マイルの地点に燃料切れで立ち往生している7個師団の「1日分の」燃料を輸送するには、これでも69両必要だ。 pic.twitter.com/HsCNzYkNVe

2022-03-18 09:38:40
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プーチンはキエフを包囲しようとしていた。これは彼がマリウポリや、第二次チェチェン紛争でグロズヌイに対して行った作戦と同じだ。イルピンの戦車部隊はまさにこのためにいるのだが、この部隊は燃料切れで立ち往生している。 pic.twitter.com/VGczUGrc4w

2022-03-18 09:38:41
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ロシア軍がキエフ郊外で戦っている以上、この部隊がベラルーシからの1日行程を走破したことは間違いない。だが追加の燃料は届かなかった。200万ガロンの燃料の輸送には、1400両のトラックのうち20%が割り当てられていた。 pic.twitter.com/va4xPP5EV8

2022-03-18 09:38:42
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キエフでの戦闘を北西部でのみ行うということはないだろう。キエフへの強襲(自殺行為)を行うか、1999年のグロズヌイや、現在マリウポリ、ハリコフで行っているような包囲からの爆撃を考えているなら話は別だが。 pic.twitter.com/NemD9yVvBi

2022-03-18 09:41:04
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これでようやく核心に触れることができる。ロシアの作戦計画の問題点は、すべての燃料を単一の車列で運ぼうとしたことに集約される。これに対するウクライナ軍の対応もまた賢明であった。彼らはこれがホストメリに到達することを妨害したのだ。 pic.twitter.com/3XqWeSxmhJ

2022-03-18 09:41:05
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