デストラクティヴ・コード ＃6

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ！」ブラックティアーズはカタナとワキザシを交差させ、コマめいた回転でアヴァリスを襲った。アヴァリスは流体剣で受けるが、一度の防御に対してブラックティアーズの攻撃は二本の刃で二倍！即ち百倍のアドバンテージとなる！「グワーッ！」切り裂かれながら、しかしアヴァリスは笑う！　19

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次の瞬間、アヴァリスの手の剣は爆発し、酸の霧と化して、ブラックティアーズを包み込んだのだ！「グワーッ！？」怯み、霧から抜け出そうとするブラックティアーズ。だが離脱したアヴァリスは超自然力で霧を操作し、喰らいつかせ、決して逃さぬ！「これは効くか？効くだろうな！俺が見えるか！」　20

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「イイイイ……イヤーッ！」ブラックティアーズは固く目を閉じ、心を焼いて、無を呼び込んだ。酸に焼かれながら、彼はセイシンテキした。そして霧の外へイアイを放った！「イヤーッ！」質量の移動を感じる！アヴァリスが避けた！その方向へさらにイアイ！「イヤーッ！」「……グワーッ！」　21

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霧が晴れた！そして胸を裂かれたアヴァリスの姿をブラックティアーズは認める。血が宙を踊り、焼けただれたブラックティアーズに吸い込まれ、癒やしてゆく。ブラックティアーズは足元のコンクリートに刃を突き刺し、アヴァリスの方向に勢いを乗せた。「……イヤーッ！」イアイ斬撃！そして、礫！　22

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「イヤーッ！」アヴァリスは飛翔した礫を弾き飛ばした。ブラックティアーズは次の一手に向けて動いている。宙を跳ね返る礫をめがけて跳んだ彼は、礫を蹴ってトライアングル・リープし、アヴァリスの意識外の角度へ躍った。「グワーッ！」背中を裂かれるアヴァリス！「イヤーッ！」さらに斬る！　23

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「グワーッ！」血飛沫！さらに斬る！「イヤーッ！」「グワーッ！」アヴァリスの左腕切断！「イヤーッ！」「グワーッ！」右脚！だが手応えは肩透かしじみている。ほどけるように崩れ落ちたアヴァリスの切断部位は、黒山羊となって着地する！「イヤーッ！」ブラックティアーズは地面を切り払う！　24

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「ミイイイイ」「ミイイイイ」鳴き声を上げて黒山羊が次々に生じ、それをブラックティアーズは執拗に切り払った。「お互いに手詰まりになっちまう……そう思うか？」黒山羊の一体が嘲笑った。ブラックティアーズは真上を見た。信じがたい速度で、濡れた緑の炎が頭上から落下してきた。SPLAAASH！　25

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「「こいつは救済の炎らしいぞ！」」複数の黒山羊が同時に嘲笑し、エコーをかけた。「「濡れて、こびりつき、落ちる事はない！」」ブラックティアーズは悲鳴をあげた。「グワーーーッ！」苦悶し、たたらを踏みながら、緑の火の塊と化した彼は四方八方に遮二無二斬りつける！山羊は跳ね逃げる！　26

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「「こうなってしまえば」」黒山羊はあちこちに散り、挑発した。「「俺のクロヤギ・ブンシンをお前が破るすべはない」」「イヤーッ！」ブラックティアーズの斬撃！黒山羊の一匹が斬られ、弾け跳ぶ。さしたる傷とはならないのだ。「「いよいよ苦し紛れか。何でもやってみろ」」「……そのつもりだ」　27

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もはや緑の火の質量塊と化したブラックティアーズは倒れ込み、転がり、屋上の端で、どうにか踏み留まった。彼は妖刀を逆に構え……己の腹を……貫いた！「カンジ・シバル！」その瞬間、ブラックティアーズの血を糧に、ベッピンが応えた！イクサ場となったこのビル屋上に彼が刻んできたのは、漢字！　28

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アヴァリスに対してイアイ斬撃を繰り出しながら、これまでブラックティアーズは執拗に足元のコンクリートを抉ってきた。その漢字……「禁」の字が邪悪に光り輝くと、屋上に散らばっていた黒山羊達は、たちまちのうちに、その光に、呑まれた！「「グワーーーーッ！？」」ナムサン！逃れた者なし！　29

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光の中で、わかれた黒山羊達は苦しみながら捻じ曲がった。黒山羊達が戻ろうとしているのはアヴァリスの切断部位だ。このままブンシンが強制的に解かれれば、アヴァリスの惨殺体が残る事となるか。「「ミイイイイ」」黒山羊達はそんな運命を逃れるべく、互いに寄り集まり、合体を始めた。　30

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モゴモゴと、生きた黒粘土めいて蠢く塊を見据え、ブラックティアーズは濡れた火を引きずって動き出した。「ゼエーッ……ゼエーッ……」ブラックティアーズは炎を滴らせる。睨む先には、アヴァリスが、「禁」の漢字の中央に縛られた、ワンソーの影がある。「イヤーッ！」カタナを投げる！貫く！　31

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「グワーッ！」アヴァリスは目を剥いた。胸を貫いた妖刀が、カンジ・シバルの力が、ノロイのエネルギーが、邪悪なる影をその場に繋ぎ止めた。「応えよ！」そしてブラックティアーズは黒いマガタマを翳した！サツガイの鍵となる神秘を！……ゴーン！オヒガンの鐘が鳴り、風が狂った！　32

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マガタマは手の上、僅かに浮かび上がった。その周囲に無数のヒエログリフ・カンジが舞い踊った。異色の空に稲妻が閃くと、巨大な影が垣間見えた。セトだ。セトがオヒガンの道を通じ、今、アヴァリスの本質を冒すバックドアを通して、呪力を流し込んでいるのだ。ハッカーがコードを実行するように！　33

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KA-DOOOM！「オレヲ！」アヴァリスが苦悶し、叫んだ。「オレヲ！コレデ！ファック！デキルト！オモウノカ！」ブラックティアーズはマガタマの力に耐えていた。濡れたオニビの火が掠れて消えた。叫びと裏腹にアヴァリスが弱っている証拠だった。空には電子暗黒ピラミッドが垣間見えた。セトの居城が。34

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ゴーン。ゴーン。ゴーン。そして屋上には、黒いトリイが次々に生じた。それは何処にも通じる事のない、何にも導くことのない、ランダムに立ち並ぶトリイだった。少なくとも……今はまだ。「AAA……AARGH！」アヴァリスが吠えた。ブラックティアーズは最後の仕上げを……「Wasshoi！」　35

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そのシャウトは、このビルを、隣接ビルの壁をトライアングル・リープし、垂直に上がって屋上にエントリーしたニンジャが……赤黒の影が……カリュドーンの獣が発したものだった。獣は燃えながら屋上に着地し、弧を描き、赤黒の炎の痕を刻みつけた。「……！」ブラックティアーズは向き直った。　36

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ブラックティアーズのニューロンが発火するほどに加速し、思考が、無数の行動選択肢が乱れ飛ぶ。今だけは。今だけはこの獣と対峙するのはまずい。何故ならアヴァリスが……「……サツガイを！」次の瞬間、彼の眼前に「忍」「殺」のメンポが、赤黒の憤怒の眼光があった。「……知っているな！」　37

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【続く】