小学校の卒業式の日、式が終わり帰宅すると母が可愛がっていたインコが鳥籠の中で止まり木から落ちて冷たくなっていた。それを見ても私は何も感じられず「ママ、インコ死んでる。」と冷たい声で言った。

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たま みか@著書だしたい @tamamika_jp

子どもの頃の私は大切なものが欠落していた。 小学校の卒業式の日、式が終わり帰宅すると母が可愛がっていたインコが鳥籠の中で止まり木から落ちて冷たくなっていた。それを見ても私は何も感じられず「ママ、インコ死んでる。」と冷たい声で言った。 母は血相を変えて走り寄り、インコの小さな亡き骸を

2022-03-30 17:45:11
たま みか@著書だしたい @tamamika_jp

両手のひらで包んで頬ずりしながら泣いていた。その後ろ姿を見て、私は心の中で「ばーーーか」って思った。 インコがもうこの世に居なくて悲しいとか、あの可愛らしい歌声を二度と聴く事ができなくてさみしいとか、そういう情緒的な部分が未発達なまま育っていなかった。 ただ、いつも私を殴る蹴る、

2022-03-30 17:45:12
たま みか@著書だしたい @tamamika_jp

線香の火を押し付ける、罵詈雑言を浴びせる母がインコの死にさめざめと泣いている姿が滑稽だとしか感じなかった。 だって私が泣いたらいつもモノマネしたり裸んぼで外に放り出したり髪の毛掴んで引きずり回して背中やお腹に蹴り入れてくる人間が泣いてるのおかしいよね。 大人になって一人暮らしして

2022-03-30 17:45:12
たま みか@著書だしたい @tamamika_jp

私が彼を肩に乗せて笑っている写真を見た時、初めてその死を受け止めて泣いた。 玄関で座り込んで泣いていた時、美しい声で歌ってくれた事を思い出した。 毎日両親や兄の罵声や私の泣き叫ぶ声を聞いて、あの小さな生き物は怯えていなかっただろうか。 今でも黄色いインコを見ると胸が苦しくなる。

2022-03-30 17:45:12