未完成の理想郷1話「懸ける」

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未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「僕も興味本位で草原エリアから覗いたけど、色々な植物がありそうだったね。あとは例の……。」 「そうです、占いの結果、ほぼ半裸ごみ野郎の言う通り魔物という存在がいることがわかりました。」

2022-03-31 21:55:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「うん、見た限りでは獣みたいなのとか、植物っぽいのとか、なんかよくわかんないのとか色々いたよ。」 「よ、よくわかんないの……?」 「うん、うにょうにょってしてたり、みにょみにょってしてたり色々。」 「気持ち悪いということしかわからん。」

2022-03-31 21:56:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「危険だとは思いますが、ここ一カ月で皆さんも能力の使い方が慣れてきたと思います。しっかり能力を有効活用できれば対処できないことではないとは思います。それに、いつまでも草原エリアに留まっているわけにもいきませんからね。」

2022-03-31 21:57:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「……森林エリアについては……詳細を……白い板に記入しておいた……。…ぶい。」 「………はい、ママさんありがとうございます。各自ホワイトボードは確認しておいてください。さて、何かご質問がある方はいらっしゃいますか?」 気が締まらない微妙な空気が漂う中、一つ手が挙がる。

2022-03-31 21:58:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「じゃあ、はい。」 「ヤンさん…なんでしょうか。」 「森林エリアの探索って全員参加?おじさん魔物とかの戦闘になったら役に立たないと思うな。」

2022-03-31 21:59:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「……お気持ちは察しますが、なるべく参加してもらいたいですね、結局いつかはここ以外の場所に行くことになるのです。ある程度慣れといた方がいいかと、命を懸けることに。」 pic.twitter.com/q1EkpcCbC1

2022-03-31 22:00:02
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未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「ひ、ひぃ、命?」 ★兎の脅しともいえる回答に声を上げたのは、谷崎憲史とマルガリィタ。 「ぼ、僕も命を懸けるとかはむ、無理ですよぉ…。」 「わわわわわわたしも無理ですっ!!!絶対お荷物になりますっ!!!ここにおいて行った方がわ、わたしは役に立ちますよぉ……多分……。」

2022-03-31 22:01:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

怯える二人に★兎は答える。 「確かに今までこういう荒事に対して無関係に生活していた方にとっては辛いことかもしれませんが、ここで生きていくうえでは必要なことです。」 「で、でもぉ…。」

2022-03-31 22:02:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「あの四色半裸からある程度の地図は貰ってありますが、この「NONAME」はかなり広大なようです。草原エリアだけでもかなりの広さを誇っています。それをこの人数だけで調査しろっていう時点でおかしいのに、更に人数が減るなんていつまで経っても終わらなくなってしまいます。」

2022-03-31 22:03:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「うぅ、でも、やっぱり魔物と戦闘なんて僕には……。」 「まあ強い言葉を使ってしまったのですが多分大丈夫でしょう、幸い私達の身体はかなり頑丈にできているようですし、滅多に壊れることはないでしょう。それはこの一カ月でよくわかったはずです。」

2022-03-31 22:04:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「……確かに、うっかり木から落ちた時も全然痛くなかったし…、この一カ月で傷ができた人もいないし……ブロンさん以外。」 もちろんデコピンでのダメージである。

2022-03-31 22:05:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「そういうわけです。そして、今回わたくしが占った結果、誰かが傷を負う未来は見えませんでした。なので、安心してください。ということです。わかっていただけましたか、ヤンさん。」 「うへぇ、きっついなぁ、わあったわあった。」

2022-03-31 22:06:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

と言いつつも、明らかに行きたくないオーラを放っているヤンを★兎は無視して話を続ける。

2022-03-31 22:07:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「ただ、今言った通り、皆さんが傷つく可能性は限りなく低いとは思いますが、未来は変動するもの。何かのきっかけ一つで全く違う結果となることもあります。調査するうえで一番大事なことは、死なないこと、それを第一に考えてください。」

2022-03-31 22:08:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「……。」 誰かの唾をのむ音が聞こえる。 ★兎の言葉に薄れていた緊張感が戻ってきたようだった。

2022-03-31 22:09:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「それでは引き続き、今日の活動報告の時間と致します。今日も右から順番に報告お願い致します。」 その後、緊張感は薄れることなく、各自今日の調査結果を報告し、解散となった。

2022-03-31 22:10:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

解散後、まゆたろうはキョロキョロとある人物を探していた。 「うーん、あっちの方に行った気がしたけど…あ!!いた!!!」 目的の人物を見つけたのだろう、まゆたろうはその人物めがけてぽてぽてと走っていった。

2022-03-31 22:12:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「けんちゃん!!けんちゃん!!!」 「わわ、ま、まゆたろうくん、どうしたの?」 まゆたろうは憲史に元気よく声を掛けに行く。目的の人物は憲史だったようだ。

2022-03-31 22:13:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「今日お魚いっぱい捕まえてたよね!!!」 「え、あ、う、うん。」 「いいな、いいな、まゆもお魚食べたいな!!」

2022-03-31 22:14:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

まゆたろうのきらきらした目に「うっ」っと声を上げる憲史。今日の活動報告の時に魚をたくさん釣り上げたことを聞いたのだろう。 憲史はまゆたろうから向けられる羨望の眼差しに逆らうことはできなかった。

2022-03-31 22:15:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「よ、よかったら、まゆたろうくんも食べるかい?」 「え、いーの?やったー!あ、そうだ、まゆのこの鞄に何かで包んでいれればお魚もいっぱい運べるよ?」

2022-03-31 22:16:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

まゆたろうの能力は鞄に入る物であれば、いくらでも物を詰め込める能力である。 それ故、まゆたろうは鞄をかなり大事にしており、人には触らせようとせず、ずっと自分の手元に置いている。

2022-03-31 22:17:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「そうだね、何かいい感じに包めるような……紙みたいなものがあればいいんだけど……。」 「うん!あとで一緒に探そうよ!それと!ねーねぇが火を起こしてくれたんだよ!!ほら、あっちの方に火が見える!!これでお魚おいしく焼けるね!!けんちゃん一緒に行こうよ!!!」

2022-03-31 22:18:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「あ、えーと、じ、実は僕もうご飯食べちゃったんだよね、だから全部まゆたろうくんにあげるよ…。」 本当は嘘だが、先程の★兎とのやりとりで疲弊してしまった憲史はまゆたろうに付き合うよりも夕飯を抜いた方が面倒ではないこと気づき、魚を犠牲にまゆたろうから離れようとする。

2022-03-31 22:19:00