未完成の理想郷1話「懸ける」

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未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

草原エリアに聳え立つ大樹。それを眺める二つの影。

2022-03-31 21:31:00
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「……まったく、派遣の神もなかなかの試練を与えるものだ、気づいているか?おおとりよ。」 「……私はマーテル・マグナよ……。そうね……今のところは問題なさそうだけど……あの子たちにいつ危害が降りかかるか……。」

2022-03-31 21:32:00
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「他に気づいているのは、いがぐりの娘と、あとは……。」 「…詮索はやめましょう……敵意はないようだし……。」

2022-03-31 21:33:00
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「……それもそうだな、何れにせよわれのやるべきことはヒトの子を全力で守ることのみ…、協力してくれるか、マーテル・マグナよ。」

2022-03-31 21:34:00
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「……もちろん……当たり前よ……私はみんなの“ママ”なのだから……。」 互いに守る者としての覚悟を持つ者同士、密かに同盟が組まれていた。

2022-03-31 21:35:00
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この世界「NONAME」に来ておよそ一カ月が経った。 転生者はここでの生活にも慣れてきたようで、各自住みやすい環境を整えていた。

2022-03-31 21:37:00
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「ここの水質は新しくできた世界ということもあって、人工物による汚染がない。ただ、時折植物性の毒が混入している例も見られるから気を付けよう。私なら能力によって見分けがつくから、不安だったら私に言ってくれ。」

2022-03-31 21:38:00
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「うーん、よくわかんにゃいけど、川の水はそのまま飲んじゃだめってことかにゃ?」 「そうだね、いくら頑丈な身体といっても、内部まで頑丈かどうかわからないからね。飲むとどんな影響が出るか私にもわからないよ。」

2022-03-31 21:39:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「えー、でも、あっちでブロンは普通に飲んでるにゃ。」 「え。」 「ごきゅ、ごきゅ、ぷふぁー!!ん?ルナとムギ、こっち見てどうしたの?」

2022-03-31 21:40:00
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あっけらかんと頭にクエスチョンマークを浮かべるブロン。 pic.twitter.com/wxNAQE56xr

2022-03-31 21:41:00
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「はぁー、まあ見たところこの辺りの川に毒性は見られないから大丈夫だとは思うが、貴方はもう少し人の話を聞くことを覚えなさい。また★兎君にデコピンされるぞ。」 「え、そ、それは嫌だ!!だってあれすっごい痛いんだよ!?」

2022-03-31 21:42:00
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ルナは、ムギとブロン、二人に様々なことを教えながらフィールドワークを行っていた。 知識力が乏しい二人に手を焼きながらも、ルナは人にものを教えるのが好きな性格故、充実した生活を送っているようである。

2022-03-31 21:43:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

ちなみに、ムギについては前世が猫であるが故にルナを主と、ブロンについては知識の乏しい己に様々な知識を与えてくれるルナを師匠とそれぞれ慕っているようである。

2022-03-31 21:44:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「そろそろ日も暮れるから皆のもとへ戻ろう。どうやら今日は★兎君から全員に話があるようだしね。」 「「はーい」」 辺りが薄暗くなり、探索を切り上げようとする三人。

2022-03-31 21:45:00
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暗くなると探索が進まなくなるため、一旦全員が大樹のもとへ集まって今日の報告を全員で共有する、それが転生者たちの中で自然と一日のルーティーンとなっていた。

2022-03-31 21:46:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

まあ、最初の頃はいつまで経っても戻ってこない人物が何人かいたが。 ミュー、かがみ、★兎が能力を使用しての捜索が多発したのはいわずもがなである。

2022-03-31 21:47:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

ルナ達が大樹へ戻る頃には、辺りは完全に暗くなっていたが、大樹には誰かが灯したであろう松明が設置されていたため、特に迷うことはなく集合場所へ辿りつくことができた。 周りを見渡すとルナ達三人以外は皆揃っており、自分達が最後だったことに気づく。

2022-03-31 21:48:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「あれ、待たせちゃったかな?」 「いやいや、待ってなどおらんよ。ワラワもたった今松明を設置したところじゃ。魚を焼くための薪じゃったが、存外応用がきくものよ。」 「火は人類が文明を持ったきっかけと言われているからね、となると、★兎君の話もまだ始まっていないということかな?」

2022-03-31 21:49:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「ええ、今から占い結果の説明をしようとしていたところです。」 ネフェルが設置した松明がパチパチと音を立てている中、全員が戻ったことを確認した★兎は小さく咳払いして皆に聞き取れるよう大きな声で発声する。

2022-03-31 21:50:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「この草原エリアもだいたい探索が終わりました、まだ快適な生活を送れているとは言い難いですが、生きていく最低限の条件が整っていることはわかりました。しかし、あのださ色四枚羽の依頼をこなさなければこれ以上進展がないようですし、次のステップに移りたいと思います。」

2022-03-31 21:51:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「次のステップっていうと、やっと草原エリア以外も?」 「はい、次のエリア「森林エリア」の探索を明日から始めたいと思います。前回の話し合いの通り、草原エリア以外のエリアをわたくしが占いました。また、ママさんにも上空から下見をお願いしました。」

2022-03-31 21:52:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「ぶい……。」 「そんなの、誰に教わったんですか……。」 自慢げにブイサインをするマーテルに、少し話を折られたもののゴホンと再度咳払いをして話を続ける。

2022-03-31 21:53:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「草原エリアを取り囲んでいるエリアです。薄暗いようではありますが、まるっきり周りが見えないというわけではないようですのでご安心ください。」 ★兎の説明に捕捉するようにかがみが意見を挟む。

2022-03-31 21:54:00