「イベルメクチンのCOVID-19死亡率改善作用は、播種性糞線虫症の発症予防効果を見ている可能性がある」

@influenzer3 先生の2022年4月8日のツイートより。JAMA Networkの論文の翻訳・解説です。
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influenzer @influenzer3

●イベルメクチンのCOVID-19死亡率改善作用は、播種性糞線虫症の発症予防効果を見ている可能性がある →死亡率を比較したイベルメクチンのRCTを解析し、その結果に試験実施地域の糞線虫症の有病率が関連していたという目から鱗の報告です。

2022-04-08 21:43:55
influenzer @influenzer3

RCT間の結果の違いを見事に説明できており、個人的にはなかなかの説得力があります。 要約するとこうです。 ・糞線虫症の流行地域では、COVID-19例にステロイドを使用する場合には、イベルメクチンで駆虫する事が推奨されている。

2022-04-08 21:43:56
influenzer @influenzer3

・COVID-19症例ではステロイド非使用例でも播種性糞線虫症を合併した症例が報告されている。 ・流行地域での臨床試験では対照群にイベルメクチンを投与できないため、標準治療としてのステロイド投与による播種性糞線虫症が予後に関連してくる可能性がある。

2022-04-08 21:43:56
influenzer @influenzer3

・2021年11月までの12個のRCTについて死亡率改善効果を検討したところ、イベルメクチンの効果は糞線虫症の有病率と関連していた。

2022-04-08 21:43:56
influenzer @influenzer3

つまり、重症例ではステロイドが使用されるために、イベルメクチン投与の予後改善効果は、播種性糞線虫症の発症率を低下させる事による間接効果である可能性を主張しています。 したがって、糞線虫症非流行地域でのイベルメクチンは無効であると。

2022-04-08 21:43:57
influenzer @influenzer3

興味深いのは、糞線虫のイベルメクチンによる駆虫自体は免疫応答をTh1へ誘導する事で、間接的に抗ウイルス効果を発揮する可能性と、同時に免疫応答を強化する事で臨床的予後を悪化させる理論的可能性について言及している点です。

2022-04-08 21:43:57
influenzer @influenzer3

もしそうであるならば、「イベルメクチンは糞線虫症流行地域で、感染早期の一部の限られた集団で有用性を示す可能性がある」という事になります。

2022-04-08 21:43:57
influenzer @influenzer3

Comparison of Trials Using Ivermectin for COVID-19 Between Regions With High and Low Prevalence of Strongyloidiasis A Meta-analysis jamanetwork.com/journals/jaman…

2022-04-08 21:43:58
influenzer @influenzer3

---- ・RCTを対象としたメタ解析を行い、イベルメクチンがCOVID-19の死亡率を低下させる有効な治療法であると主張したある報告がしばしば引用されている。しかしながら、死亡率の相対リスク(RR)と関連する未知の変数がある場合には、この解析の正しい解釈を大きく変える可能性がある。

2022-04-08 21:43:58
influenzer @influenzer3

・糞線虫症は中南米、東南アジア、サハラ以南アフリカで流行している腸管内寄生虫症である。Strongyloides hyperinfection syndrome (SHS)は自家感染による重篤な病態であり、体内での寄生虫数の増加を伴っており、他臓器に感染する播種性病変Disseminated diseaseである。

2022-04-08 21:43:58
influenzer @influenzer3

SHSは症状が多彩である事、この病態があまり知られていない事などにより、しばしば誤診されており、これらの発生頻度については良く分かっていない。

2022-04-08 21:43:59
influenzer @influenzer3

・SHSは免疫不全宿主に起こるが、ステロイド使用による免疫低下によっても起こる。播種性病変例はしばしばステロイド使用例であり、早い場合は投与5日で発症し、死亡率は90%に達する。COVID-19患者がSHSを発症する事も報告されており、注意すべきはステロイド非投与例でも起こっている事である。

2022-04-08 21:43:59
influenzer @influenzer3

COVID-19は好酸球増多症を伴っているが、好酸球増多症はSHSの予後不良因子でもある。このため、COVID-19の治療に関する各種ガイドラインが、流行地域においてはステロイド投与前にイベルメクチンによる治療を行う事を推奨している。

2022-04-08 21:43:59
influenzer @influenzer3

・糞線虫症はCOVID-19に関するイベルメクチンの試験においては、重要な交絡因子となり得る。これらの試験は糞線虫症の流行地域で行われる事が多く、対象群には標準治療としてステロイドが使用される事が多いからである。

2022-04-08 21:44:00
influenzer @influenzer3

・今回、糞線虫症の有病率が死亡率のRRと関連するという仮説をたて、糞線虫症の地域有病率とイベルメクチン試験の死亡率との関連について評価を行った。

2022-04-08 21:44:00
influenzer @influenzer3

・メタ解析の原著に加えて、イベルメクチン試験データベース(c19inermectin)内の2019年1月1日から2021年11月6日までの全文献に直接あたり、データを抽出した(manual review)。

2022-04-08 21:44:00
influenzer @influenzer3

対象はイベルメクチンを治療薬としたRCTであり、かつ死亡率の記載があるものとした。不正論文の疑い and/or 無作為化の失敗が明らかになっている報告は検討対象から除外した。

2022-04-08 21:44:01
influenzer @influenzer3

・研究参加者の特性およびRRの推定値データを各論文より抽出した。推定値はrandom-effects meta-analysisを用いてプールした。糞線虫症の有病率の差は、subgroup meta-analysisとmeta-regressionを用いて推定した。解析はPRISMAガイドラインに従い行われた。

2022-04-08 21:44:01
influenzer @influenzer3

・主要評価項目は糞線虫症の有病率が高いvs 低い地域におけるイベルメクチン試験の死亡率のRRとし、糞線虫症の有病率と死亡率のRRとの間の相関関係を。meta-regression analysisにより検討した。

2022-04-08 21:44:02
influenzer @influenzer3

(結果) ・12試験、3901人の患者が解析対象となった。4試験(33%)は糞線虫症の有病率が高い地域で行われ、8試験(67%)は低い地域で行われていた。 ・糞線虫症の有病率が低い地域で実施されたイベルメクチン試験では、死亡率の有意な減少とは関連していなかった( RR 0.84, 0.60-1.18, p=0.31)。

2022-04-08 21:44:02
influenzer @influenzer3

・一方で、糞線虫症の有病率が高い地域で実施された試験では、死亡リスクの有意な低下と関連していた( RR 0.25, 0.09- 0.70, p=0.008)。 ・糞線虫症の有病率の高い地域と低い地域の間には、死亡率のRRの有意な差が認められた(p=0.03)。

2022-04-08 21:44:02
influenzer @influenzer3

・meta-regression analysisの結果、糞線虫症の有病率が5%上昇するごとに、死亡率のRRは38.83%(0.87- 62.25)減少する事が明らかになった。

2022-04-08 21:44:03
influenzer @influenzer3

(結論・考察) ・今回のメタ解析により、糞線虫症の有病率がCOVID-19をイベルメクチンで治療した場合の死亡率のRRと関連がある事が判明した。 ・糞線虫症の流行のない地域におけるCOVID-19患者において、イベルメクチンの死亡率減少効果を示唆するエビデンスは見つからなかった。

2022-04-08 21:44:03
influenzer @influenzer3

・腸管内寄生中はTh2応答を活性化するため、ウイルス除去が遅れるが、臨床転帰を改善させる可能性がある。しかし、イベルメクチンで寄生虫を除去すると、強力なTh1応答を誘導する事によりウイルス除去は促進されるが、臨床的予後を悪化させる可能性がある。

2022-04-08 21:44:03
influenzer @influenzer3

したがって今後の試験でイベルメクチンの抗ウイルス効果が示されたとしても、それはイベルメクチンの直接作用ではない可能性がある。 ・ガイドラインに従い、糞線虫症の流行地域ではステロイドの投与前にイベルメクチンを投与する事が理にかなっている。 ------ (続く)

2022-04-08 21:44:04