- motikinako_kuzu
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石工の魔女様は小柄な少女で、人里はなれた古城に勝手に住み着いている。あらゆる魔術に卓越した超人だが、人に興味を示すことが少なく、ひたすらに彼女の感性に触れる素材を追い求めてほうぼうを出歩いている。伴侶と共に。
2022-04-28 16:13:25そう、伴侶。石工の魔女には伴侶がいる。様々な無機物や有機物から彫り抜かれた、種種様々なガーゴイル達が。皆美しい女性の姿をしており、全てが絶大な魔力を持ち、全てが自我を持ち、全員が魔女様の伴侶。
2022-04-28 16:14:15石工の魔女は理想的な素材(あくまで彼女の感性からして、だが)を集め、石像(石でないことも多いが)を掘り抜き、命を吹き込む。素材は様々だ、石も玉も彼女の前では愛する伴侶の原石。砂も土も、古城のある山の麓の老人は、山の崖の谷間に恐ろしいほど美しい女性の巨像があるのを見たと言う。
2022-04-28 16:16:17老人は、石工の魔女が山一つを彫り抜いて、愛する伴侶として命を吹き込んだのだ、と言う。本当かどうかは誰も知らない。そもそも石工の魔女の実在を信じていないものも多い。おとぎ話の類いだ。
2022-04-28 16:16:52しかし実在する、あるときは人よりも大きな真珠を海の魔物の女王との取引で譲り受けた。ある時は人界、東方の王の元に幾千年前から伝わる、魔物を封じた巨大な翡翠塊を貰い受けるために現れた。ある時は浜辺で子供達に混じって貝殻を彫っていた。ある時は道端で土くれをほじくっていた。
2022-04-28 16:18:38人にとっての価値のある無しは彼女に関係はなく、ただ彫り抜く魂にふさわしい、究極の美しさを形にするための素材、それが彼女から見た石だの、玉だの、土だのであった。如何に高価なものでも求められた対価を必ず支払う。如何に無価値なものでも必ず魂の対価を支払う。不思議な客であった。
2022-04-28 16:20:09求めても得られない場合は時として災厄となった。なぜなら、その素材の内に眠る魂を救済し、彫り抜くのが彼女の唯一の関心であったから。
2022-04-28 16:20:49巨大な紫水晶を譲らず、魔女をはね除けた王国は、その晩の内に美しい空を舞う石造りの女性の群れに襲われ、誰一人怪我をすることもなく、まるでだだをこねる子供をあやすかのようなあっけなさで紫水晶を略奪されたと言う。魔女からすればそれはやがて彫られる魂の救済作業であった。
2022-04-28 16:22:11かつて石工の魔女の居城には一人の少女が訪れていたことがあった。迷信を信じず、物怖じをせず、人懐こく、そしてこれが魔女にとってもっとも大事なことだったが、彼女は居並ぶ石像の美しさに理解を示した。
2022-04-29 09:13:59石のものも、大理石のものも、レンガのものも、水晶のものも、翡翠も真珠も紅玉も青玉も、全て美しい女性の姿をしているのを見て、最初に少女が魔女の居城に訪れた時は美しさのあまりにへたりこんで、一時間は動けなくなったものだった。
2022-04-29 09:15:20少女は魔女からすればただの侵入者でしかなかったが、魔女は伴侶たる石像を作ることだけがその関心事であったから、少女が度々居城に忍び込むのを自由にさせていた。数度忍び込んだある日、少女は居並ぶ石像の一つに指を触れた。
2022-04-29 09:16:34真珠で作られたつややかで、滑かな肢体だった。足の先に触れるだけで少女は恍惚を味わった。吐息が触れんばかりに近くで足先から視線を上にずらしていく。石像の足の間には真珠造りの屹立がそびえ立っている。石像は皆両性具有だった。
2022-04-29 09:18:13両性具有の女性の姿の、悪魔のような翼を生やした巨大な真珠像が、動き、話しかけた。それに合わせるかのように他の石像からもひそひそと気配がする。人ならざる者のひしめく気配。少女はそのただ中で、しかし、周囲の石像のあまりの美しさが、そしてその美が形を保ったまま生きているのを見て、
2022-04-29 09:21:00ついぞその年まで理解することがなかった、信仰にも似た心地のまま、とろんと、目の前の真珠像にすがり付くように意識を失ってしまったのだった。
2022-04-29 09:21:43少女がふと、目を覚ますと、自分は石で作られた、そのわりには固すぎず座り心地がよい不思議な小さな椅子に腰かけていた。石机が目の前にあり、石机の上には見事な、どこでも見たことがないような陶器の茶器が置いてある。
2022-04-29 09:23:03部屋自体は殺風景だった。なんの飾りもなく、石椅子と石机と陶器だけが見事に美しい。それから部屋の置くには巨大な、人が入れそうな二枚貝が鎮座していて、その隣にはまた石像がじっと鎮座しているのだった。
2022-04-29 09:24:34気の強そうな顔の石像が、少女が目を覚ましたのに気がつくと、やはり動き出して、少女の前まで歩いてきた。悪魔と人を混ぜたような容姿、両性具有の美しい姿をしている。屹立を隠すこともなく、見せつけるように少女の前まで歩いてきた。少女はほう、とあまりの美しさに吐息を漏らした。
2022-04-29 09:25:56石像はすこしうれしそうに笑い、茶器から少女に茶を注いだ。 「飲むと良い、魔女様が一段落するまで待つのだ」 勧められはしたが、結果として茶はあまり進まなかった。 石像が少女の前に座り、ぽつぽつと世間話の相手になったから。そして話の間中、そのうつくしさに魅入ってしまっていたから。
2022-04-29 09:28:15石像は少女がため息を漏らす度に嬉しそうにして、少しずつ姿勢を変えた。 「美しいだろう、魔女様の手によるものだ」 少女は知るよしもなかったが、石像にとって部外者とそこまで話すのは珍しいことだった。 「姉妹達も皆それぞれに美しい。後程見に行くと良い、理解できるものは歓迎する」
2022-04-29 09:30:09やがて、少女に注がれた茶が冷めた頃、石像は少し表情を変えた。 「魔女様がお会いになる」 石像は二枚貝に手をかけ、ゆっくりと開いた。 貝の隙間からはどろりとした白濁の何かが床に溢れだす。
2022-04-29 09:32:25貝の中には先程の、真珠造りの石像と、小柄な少女が絡み合って寝そべっていた。一糸も纏わない身体にはベッタリと白濁が纏わりついていて、貝の中はねっとりとしたなめらかさに煌めいている。互いの秘裂からは互いの白濁が大量に溢れ帰っており
2022-04-29 09:34:44小柄な少女、つまり石工の魔女は、幸せそうに石像に微笑んで軽く口づけをした。そのおねだりに答えて真珠の像は石工の魔女を強く抱き締めて、喉まで犯すかのように口腔を貪る。そのまま多幸感でふたりともゆるやかに白濁を自身の屹立から漏らすように溢れさせた。
2022-04-29 09:36:25