- motikinako_kuzu
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その魔物は、かつて少女が魔女より受け取った茶器や焼き物を隠した場所を両親に告げた。そして自分に良く似た少女は、魔女様の元で幸せにしているから、その茶器や焼き物を売り、村を捨てて、町で裕福に暮らして欲しいと告げた。
2022-04-29 19:11:45それから、私が先日、石工の魔女の居城に誘われた時の事。魔女の居城は以前ほど荒れてはおらず、入り口には鼻唄などを歌いながら掃除をする一人の使用人がいた。
2022-04-29 19:13:29ひらひらとしたメイドの服に身を包んだ少女は、魔女の居城にはふさわしくなく、生身であるように見えた。魔女の客だと告げると、奥へ通すのでついてくるようにと言う。
2022-04-29 19:14:08洗練された所作で、なんの違和感も感じさせないほどのなめらかさで、彼女は、使用人服の腹部を開ける、そこには肋に囲まれたがらんどうの骨滋がある。
2022-04-29 19:15:55骨滋の中から、茶器を取り出しながら、元少女は客人に恍惚した視線を向けている。美しくつくってもらった自分の、もっとも工夫の凝らされた部分を客人に鑑賞して貰いたくて。
2022-04-29 19:17:07「魔女様に作っていただいたんですよ、この皮膚は、元の私の剥製なのだそうです、勿論魔女様の手で、かつての私と比べられないくらい、美しくしていただきましたけど……♡」 剥製とは信じられないほど精巧な作りの彼女が、頬を染めて魔女の話をする。
2022-04-29 19:18:28つまるところ、少女は幸せであった。魔女は素材を得るには必ず対価を支払うが、彼女は、素材にして貰うこと自体が、美しい石像の群れの中で、自らも永遠に美しく、美の創造主の伴侶として生きることが、何よりの対価だったのだろう。
2022-04-29 19:20:30元少女…魔に魅入られたせいで、真偽を無条件に見抜く魔眼のような物を得た。本当に魔女の資質があったので領主は別に間違ってない。魔法の瞳を得たので魔女様の素材探しツアーに同行したときすごくたのしい。 魔女様……気まぐれなちっちゃいまじょさま。何年生きてるか分からない。天災みたいな物。
2022-04-29 19:25:23