田口俊樹の新訳レイモンド・チャンドラー『長い別れ(The Long Good-bye)』で気になるところ

キンドルで試し読みできるところしかやらない。 元テキストはまあ、ネットで英文探せばあるんじゃないかな。
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砂手紙 @sandletter1

1・『The Long Good-bye』は、著作権保護期間が終了しているもののうち、もっとも有名なもののひとつです。だから誰がどのように訳しても、えーと、日本国内なら2011年以降だったら大丈夫だったんじゃないかな。ただ、日本語化するのはあまり簡単じゃないのね。

2022-05-05 20:21:43
砂手紙 @sandletter1

2・当時の風俗・地理・警察組織とか、知らないこといろいろあるから。昔と比べると調べるのは簡単ですけどね。カリフォルニア州モンテシーノがどこにあるか、とか、housebrokenとは何か、とかすぐにわかる。ちなみに犬猫の「下のしつけ」のことです。

2022-05-05 20:22:18
砂手紙 @sandletter1

3・清水俊二訳では「家もない(のとおなじ)」になっててびっくり。今はペットの交換会みたいなのがあるからすぐわかるはず。 田口俊樹の翻訳に関しては、自分は「誠実でしっかりしているけど、センスを感じさせない」という評価。

2022-05-05 20:22:47
砂手紙 @sandletter1

4・センスばかり目立つよりは全然いいのですけど、どうも日本語として読むとぎくしゃくした感じがする。今戸の狐みたいに、顔は揃ってるけど、違う解釈も可能なんじゃないかな、という判断ですね。とりあえずふたつだけ示します。

2022-05-05 20:23:15
砂手紙 @sandletter1

5・英文「For eating money」日本語訳「食べていくために」。これは、車を売ってしまったテリー・レノックスが事情を女に説明するセリフ。ただ「○○のために」なら「for money to eat」になりそうな気がするんだけど、昔の英語だからわからない。ここは理由のfor(~だから)かもしれないのね。

2022-05-05 20:23:52
砂手紙 @sandletter1

6・eat moneyは「金がかかる」、だから車を売った。意味的にはそれで問題ない気がします。「金食い虫だったんでね」とかすると、センスだけの訳になっちゃう。次、英文「He gets so goddam English when he's loaded」日本語訳「酔っ払うとこの人、ろくでもないイギリス人になっちゃうのよ」。

2022-05-05 20:24:30
砂手紙 @sandletter1

7・清水俊二訳だと「酔っ払うと、イギリス人みたいに言葉がていねいになるのよ」。実はEnglishとイギリス(人)とは同じじゃないのよね。通常はUkと略されているように、4つの連合王国のうちのひとつがイングランド。だから「イングランド人のように」かな。

2022-05-05 20:25:02
砂手紙 @sandletter1

8・自分の解釈としてはそれは「英語(イギリスなまり)」で「人」ではないという判断。で、「loaded」ってのは確かに「酔っ払う」という意味があるんだけど、ていねいに「Thank you so very much」って言ってる(日本語にするなら「はなはだかたじけない」かな)のは「loaded」のときだけだから、

2022-05-05 20:25:34
砂手紙 @sandletter1

9・「(酔って)運ばれるとき」とかって解釈も可能。 まったくねえ、だから雑に英文読んで雑に内容理解(誤解)してるほうが楽なわけなんですよ。

2022-05-05 20:26:07