信じて送り出した姫騎士が敵を殲滅してきた（戦争は勝たないと悲惨なのでよかった）

帽子男 @alkali_acid

信じて送り出した姫騎士が敵を殲滅してきた。 （戦争は勝たないと悲惨なのでよかった）

帽子男 @alkali_acid

姫騎士をひとり育てるのに要する国費を思うと、そうそう山賊や獣鬼に捕まって陵辱されてほしくないんだよな。 「陛下。やはりこの身軽な乳当てと腰当てのみの鎧の方が私にはよかろうかと」 「全身甲冑にしろ。それから騎兵三百と弓兵四百、歩兵千と輜重五百を預ける」

帽子男 @alkali_acid

輜重が多い。

帽子男 @alkali_acid

「こたびも快勝でした」 「うむ。我が軍の凱旋に城下からは歓呼がやまぬ大義なり。ところで…」 「は！（得意げ）」 「また単騎先攻したそうだな」 「弱敵にてまずは初戦にて畏怖せしめんと」 「弓兵から動かせって言ったよね？」 「矢は高うございます」 「（つまんねえことばっか覚えやがって）」

帽子男 @alkali_acid

配下武将が姫騎士しかいないがすぐに陵辱展開に突っ込んでゆく件について。 「はー…きっつ…」 「陛下」 「おお宰相か」 「たかが獣鬼の徒党風情に大軍を動かしすぎでは。姫様ならばせいぜい歩兵の三百もあれば」 「いかんいかん絶対にいかん」 「しかし費えが…」

帽子男 @alkali_acid

「我が軍の将は姫しかおらぬのだぞ。あれを失ったら費えどころではないわ」 「姫様は万夫不当。獣鬼ごときに遅れをとるはずが」 「いやいやいや…今回も冒険者雇って探らせたら獣鬼に催眠使うやつ混じってたから。だから弓兵から動かせつったのに近づく前にそいつだけ仕留めないとやばかったのに」

帽子男 @alkali_acid

「なんと…」 「騎兵突撃の速度で何とかなったようだが…次からは弓兵を先に動かすのを徹底させねば」 「しかし矢は高うございます」 「（ちっ）」

帽子男 @alkali_acid

王の命令で催眠対策の魔除けがやたら多い城下。 ちょっと迷信深くてきもいと思われている。

帽子男 @alkali_acid

娼館経営の規制がやたら厳しい。 「これは禁制のびやくというやつではなかろうな」 「肌のすべりをする油でございますが…」 「おかしなにおいだ」 「香草に漬けまして」 「とにかく没収だ」

帽子男 @alkali_acid

「あまり規律を厳しくなさいますと兵も民も落ち込みますゆえ」 「ちっ…くそが…姫がお忍びで行く酒場のうちこことこことここは裏では盗賊組合の差配だな」 「よくご存じで」 「冒険者を雇って調べた。城下で商売したければ一人で飲みに来る女にちょっかいをかけるなと念を押しておけ…」

帽子男 @alkali_acid

奴隷商が追放になる。 「まっとうに商売していただけのものどもですぞ」 「ならん」 「しかし国が成り立ちませぬ」 「絶対にならんわぼけ」

帽子男 @alkali_acid

「姫様が陛下の意を汲みおひとりで王令に従わぬ奴隷商を討伐に」 「おあああああああ！！！ただちに兵を送れ！！ただちに」 間に合った。 「はあはぁ…はぁはぁ…心臓に悪い」

帽子男 @alkali_acid

「都外れの廃城に近頃錬金術師が住み着きよなよな怪しげな術を試みているとか」 「あそこは修復せよと先ごろ命じたはずだが」 「大軍を動かしすぎ庫に金貨がありませぬ…」 「うぬ」 「周辺から若い娘が消えていると…そのような噂が…おかしな異形の姿も」 「…なるほど…遠巻きにして火を放て」

帽子男 @alkali_acid

「しかし中に囚われた娘らがおるやも」 「ええい構わん！火を放て火を！！距離を詰めずに油を吸わせた布玉を投石器で次々叩き込め。よいな！姫には火攻め以外は許さぬと伝えよ！！」 だが姫は先に単騎潜入して娘らを救出成功したのだった。

帽子男 @alkali_acid

「なんか陛下って残虐で最低…」 「その点姫様はやっぱ勇敢だし慈悲深いよな」 どんどん評判の悪くなる王。 唇をきゅっと噛む。

帽子男 @alkali_acid

とはいえ王とていつでもキレちらかしている訳ではない。 「陛下あああ！離れ山から火竜が飛来いたしました！！！百年の眠りから覚め！！財宝を奪い乙女を貪り食っております」 「ふーん」 「姫様がまた手勢も連れずおひとりで討伐に」 「そう」 「陛下？」 「倒したら報告せよ」

帽子男 @alkali_acid

「しかし火竜ですぞ天を舞い、炎を雨の如く降らせるあの」 「姫のことだし地面を回転してれば躱せるでしょ」 「陛下？い、つもうざいくらい過保護な陛下が」 「わかったわかった。先回りして伝令の早馬を送れ。車をな、荷車でもよい。穴…というか幌があればそれをずらりと竜の荒らしそうなところに」

帽子男 @alkali_acid

討 伐 成 功 「さすが陛下！火竜はなぜか地上に降り立ち、荷車のひとつにのしかかり激しく腰を振っているところを見事姫様の槍の錆に」 「そうかそうか。あ、そうだ竜の財宝は国庫に金貨一枚残さず収めよ」 「すでに姫様が竜の害にあった土地の民と領主に分配いたしました」 「ぐぅ…よい…心がけだ」

帽子男 @alkali_acid

ちょっと詰めが甘いところがあるな王もな。

帽子男 @alkali_acid

姫騎士。金のかかる女。

帽子男 @alkali_acid

「姫様はまた縁談を断りましたぞ…やはり陛下が選ばれた婿候補がちと野蛮すぎたのでは」 「馬鹿もの。肩に毛皮つけて犬歯が出てるぐらいの方がよいのだ…近頃はそれでも油断できんが」 「こちらの肖像の…地味ながら実直そうな王子などは」 「ならぬ。寝取られ顔だ」 「は？」

帽子男 @alkali_acid

「宰相そなた…ひとめで情が移ったな？」 「はあ、そこそこ整っていながらなんとなくどこにでもいそうで、親しみが持てる。まるで自分のうつしみのような」 「そういうのがいかんのだ。姫を盗られたあげくそのざまを眺めながら一人で慰めそうなのは絶対にならん」

帽子男 @alkali_acid

「ではこちらの氷の貴公子などは…栄えた大国の貴種で、身持ちも固く」 「冒険者を送って調べたがな。そやつは性悪な令嬢と、貧乏貴族の娘に縁がある」 「はあ？」 「例えばこの性悪な令嬢が急に成り上がりはじめ、我が姫が当て馬にされたらどうする」 「まさかそのようなことは」

帽子男 @alkali_acid

「陛下…調べものに冒険者を盛んに雇われるのはよいのですが…あれも費えが…」 「腕の立つのは高い」 「国庫がまた空でございます」

帽子男 @alkali_acid

「というか陛下がそろそろお妃を」 「やっておるわ！こやつは触手を使いそうな魔女…こやつは絶対に城中のものを異形に変えて帰還した姫を襲わせそう…こやつは…」 「陛下…考えすぎでは」 「よいか。そちとて身辺と気性をとことんまで調べて下級の官吏から予自ら抜擢したのでなければ」