タイバニ二次創作『ミス・タイガー、あるいはレディビーストの知られざる真実』(作:我乱堂氏@SagamiNoriaki)

執筆:我乱堂氏 @SagamiNoriaki ご本人から許可をいただいたのでまとめておきます。 タイバニ最終回記念と言う事で。 ルポルタージュ調に描かれたある女性ヒーローの顛末。 誰なのかはタイトルや本文を見ていただければお分かりになるかと。
二次創作 アニメ tigerandbunny
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我乱堂 @SagamiNoriaki
なんとなく思いついたタイバニ二次ネタ『ミス・タイガー、あるいはレディビーストの知られざる真実』…マーべリック事件から六十年…関係者のほとんどが故人となったシュテルンヒルトを一人のルポライターが取材して回っていた。すでに斜陽の街となったここでは、かつてヒーローTVが人気を博していた
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続き)すでにヒーローTVは局を変え、舞台を変え、番組企画そのものは継続しているものの、かつては違うものになっていた。その過渡期に活躍した一人の女性ヒーローレディビーストの真実を彼は探していた。レディビーストは公称21歳、実年齢27歳でデビューした遅咲きのヒーローだが、その能力で
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続き)多彩な活躍をし、ヒーローTVが舞台を変える過渡期において多大な人気を得ていた。しかし彼女については「本当の能力を隠しているのではないか」という疑惑があった。というのも何度かの場面で彼女は「ハンドレットパワー」以外のネクストを使ったとしか思えない活躍をしているからである。
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続き)そんな噂が関係者だけではなくファンの間で広まりつつある中、彼女は五年という比較的短い期間で引退する。その後ヒーローTVは賞金稼ぎのネクスト能力者の活躍を報道する番組となっていき、彼女の名前も忘れられていく。そのライターが彼女を取材しようと決めたのは、祖母が彼女に助けられたと
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続き)いうこともあるが、その祖母が「あの人はずっと後にもヒーローをしていたのよ」と言っていたのが気になっていたからである。取材をしていく内に、レディビーストが登場した頃、webの中では彼女がミスタイガーの変名ではないかという噂があったと知ることになった。
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続き)ミスタイガーというのはヒーローTV初期において活躍していたワイルドタイガーの娘で、彼が一分間しか能力が使えないのをサポートするためにサウザンドスキルという、いまだ一人しか確認されてない能力を使ってアシスタントして「二部リーグの救い主」と言われていた。
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続き)当時は一部リーグと二部リーグに別れていたが、ミスタイガーは父のためという名目で二部に所属し、時に単体で活躍し、その可憐な容姿も相俟って、一部リーグのヒーローにも劣らぬ人気を得ていた。彼女はしかしそれでも一部に上がることはなかった。それは若すぎたために重犯罪を扱わせるわけには
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続き)いけない、という常識的な理由で説明されていたが、当時の女性ヒーローには十代で一部リーグにいた者も複数いた。彼女だけがずっと二部だったことの理由とするにはそれは不自然に思えた。
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続き)ライターは当時のヒーローで彼女の同僚だった人物と接触することができた。彼もまた二部リーグで燻り続けていたが、よく彼女の話し相手をしていたのだという。そして彼が語ることによると「彼女は、ミスタイガーは強すぎたのさ」という事実だった。彼女は最強のヒーロー足りえる存在だったのだ
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続き)あらゆるネクストをコピーし、それを応用できる彼女は、しかもヒーローになる以前にマーベリック事件にも非公式でだが活躍していたという事実があった。彼女がその気になれば自分たちの地位が脅かされる…と当時の彼女に助けられたヒーローたちがそう思っても不思議ではない。
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続き)ヒーローTVもまた、彼女が台頭することを望まなかった。ただ一人のヒーローが一人勝ちするよりも、複数のヒーローたちが鎬を削り競争する方が視聴率がとれると判断した。結局、彼女は父であるワイルドタイガーが完全に能力を失うのと同時に引退する。父かのためというのは彼女には真実だった
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続き)その引退した彼女がレディビーストとして再びヒーローとなるのに十年以上かかったが、その間に父の再婚、彼女当人もまた結婚、出産、離婚という人生の大事を経過していた。元同僚は「結局ね、子育てには金がかかったってことだったらしいよ」
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続き)年の近い継母との折り合いの悪さもあって、父にも頼らず夫の慰謝料(離婚原因は彼の浮気だった)も底を尽きかけた頃、ヒーローTVから声がかかった。能力をひとつだけという条件で一部リーグのヒーローとして活躍して欲しいということだった。当時のヒーローに女性はたった一人だったのだ。
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続き)かつてとは違い、世間慣れもした彼女は少しだけ悩んでヒーローTVの条件を受けた。彼女を厭うていた一部リーグのヒーローたちは、もう全てが入れ替わっていた。ここからの五年間が、彼女の人生でもっとも輝いてた時代であった。
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続き)元同僚は「だけど、ちょっと人間不信のけがあったよね」と、その輝きに隠された影を語った。少女時代のどれほど頑張っても頭打ちだった待遇、姉と慕った人が継母になってからの態度の変化、熱烈な恋愛の末に結ばれていたはずの夫の裏切り…
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続き)それらを経て、彼女は猜疑心のフィルターを通してしか世間に触れることができなくなっていた。ヒーローとして五年間という短い期間でしか活動できなかったのは、度重なる同僚とのトラブル、ギャランティの交渉での強硬な態度が原因であったという。
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続き)その後の彼女はどうしたのか。元同僚は「彼女は相変わらずヒーローだったのさ」と謎めかした言い方をしてぼかしたが、やがてヒーローTVが賞金稼ぎとして活躍するネクスト能力者の報道番組となった中で、十五年にも渡ってトップテンに入り続けていたチーム「ワイルドタイガーズ」のリーダーだと
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続き)判明する。祖母がいっていたこと、元同僚がいっていたことはこのことを指していたのだ。しかしここでライターは取材を断念する。このチームはその後警備会社を経営するちょっとした企業になったのだが、二十年前に経営陣の一人がインサイダー取引に関与していたことが判明し、社会的責任をとって
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続き)経営陣は総入れ替わり、創業者である彼女も会長職を引いてのち姿を表舞台から完全に消してしまったのだ。会社は株価が下がったところを敵対的買収にあい…今は本社ビルだけが残されて別企業が使用しているという状態だった。
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続き)ミスタイガー、あるいはレディビーストであった彼女はその後どうしてしまったのか、最早追跡は不可能だった。自分の作った会社を潰す切欠となった経営陣の一人とは、彼女の息子だった。彼女は自分の大切な家族にも裏切られたのだ。世を捨ててしまったのは無理からぬことだった。
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続き)…取材を終え、帰途につくライターを強盗たちが襲う。彼はこの街には似つかわしくない姿をしていた。そこに一人の女性賞金稼ぎが助けに入った。彼女は巧みにネクスト能力を使用して応戦していたが、やがてライターが人質にとられると、圧縮された空気の弾丸を放った。複数の能力を使う――
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続き)ライターはふと思い至る。彼女はいくつもの能力をコピーしてきた。その中には恐らく外見を変える能力もあっただろうし、一時的に若返る能力もあっただろう。もしかしたら、不老の能力ですらあったかもしれない。
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続き)そして思い出す。「彼女は相変わらずヒーローだったのさ」それは、かつてではなくて、もしかして現在進行形のことを指していたのではないか――
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最後)ライターの表情を見た彼女は、何かに気づいたのは、何処か恥ずかしそうに笑うと、映像の中のようにポーズをつけた。それは、ずっと報われず二部リーグに押しとどめられていた少女時代の、ミスタイガーのポーズだった。
我乱堂 @SagamiNoriaki
…てな感じの。だいたい、かいちまったかな。まあ、気が向けば何処かに投下するかもしれないが、しないかもしれない。まあありがちな話だよね。
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