【スワローズ妄想劇場】戦国絵巻燕の城 こぼれ話 第６話

トゥ・レイン・スワロー @to_rain_swallow

【スワローズ妄想劇場】戦国絵巻・燕の城 こぼれ話第6話 「ガイエル、故郷に帰る」 #swamou #swallows

スワローズ妄想劇場 @swa_mou

【戦国絵巻燕の城】こぼれ話第6話「ガイエル、故郷に帰る」南青山城下に現れて数年。ガイエルは、すっかりこの国に溶け込んでいた。頼りになる武将達。異国の人間にも関わらず気軽に挨拶を交わしてくる住人達。（もう、このままで良いかな。）と考え、首を振る。 #swamou

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（いや、俺は本来居てはいけない人間。それに・・）胸から古くなった写真を取り出して眺める。（帰らなきゃ。家族が待ってる）と、遠くに大きく真っ黒な雲が見えた。稲妻を伴いこちらに近付いて来ているように見える。（あれは・・あの時と一緒だ！俺の役割は終わったということか？） #swamou

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一瞬迷ったが「帰ろう。我が家に。」と呟くと城下を東へ、数年前、自分が倒れていた場所に建てた家に歩き出した。・・・城から半里弱のところにあるガイエルの家に呼び出された武将達。畠山は出された料理を構わず食い散かしている。青木が訊ねる。「急に呼び出して、どうしたんだ？」 #swamou

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「いや、なんとなく、かな。」ガイエルが曖昧に答える。外は雨が降りだした。宮本が「元気ないじゃないか。」と探るように見つめる。ガイエルは一つ大きく呼吸をすると切り出した。「もうすぐ、お別れなんだ。」皆が一斉にガイエルを見る。 #swamou

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「帰るって言っても・・何処に？どうやって来たか自分でも分からないんだろ？」と館山が捲し立てる。「いや、どうやって来たかは分かってた。帰る方法がなかっただけ。」と言うと、今度は増渕が「駄目ですよ、誰が僕に南蛮の戦法を教えてくれるんですかっ」と、涙目になりながら言う #swamou

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「もう充分だよ。増渕は一人で立派に戦える」と優しく答える。畠山が手に飯を持ったまま言った「で、お前は結局、何者だったんだ？」外では激しい風が吹いている。ガイエルは、また一呼吸置いて言った「君達に助けられた」村中が「たすけてもらったのはこっちですよ？ぼくらはとくに」 #swamou

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と言うのを途中で遮り「いや、正確には君達の子孫に助けられた。だから君達に死んでもらっては困るんだ。だから助けた。」皆、理解出来ない顔でガイエルを見つめる。「西暦2011年9月21日・・と言っても分からないな。今から400年位後だ。僕と君達の子孫は同じチームに居た。 #swamou

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そして僕は体力に限界を感じて引退することにした。ああ、理解しなくていいよ。言いたいだけだ」ガイエルは続けた「会見を済ませてタクシーに乗っていたら腕時計がグルグル回りだして・・台風で乗っていたタクシーに木が倒れてきた。慌てて外に飛び出したら・・この世界だったんだ。」 #swamou

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外では風が更に強まり家が軋んだ。「そして今日、同じような台風が来て腕時計が回り出した。」相川が軋んだ家の柱に掴まりながら言った「随分急だな！君を慕った住人達はさよならも言えないのかい？」「それは・・申し訳ない。だが、次はいつ機会があるか分からない。分かってくれ！」 #swamou

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家は今にも倒れそうだ「さあ、出るんだ！一緒に未来に連れていけない！」皆が家から飛び出したと同時に家は跡形もなく崩れた。風が止む。皆で瓦礫を退かして探したが、ガイエルの姿はなかった。「まったく、最後まで不思議な奴だったな。」石川は晴れ上がった空を見上げた（・・おや？）#swamou

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ヒラヒラと空から何か落ちてくる。拾い上げてみた。大きく、真っ赤な楓の葉だった・・彼が居なくなった事を知った住人は悲しみ、楓の葉が落ちてきた場所に石碑を立てた。現在その場所(赤坂7-３)にはガイエル所縁の建物が建てられ今も真っ赤な楓が飾られている。こぼれ話第6話・完 #swamou

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【スワローズ妄想劇場】戦国絵巻・燕の城 こぼれ話第6話の2「つい、このあいだ」 #swamou #swallows

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【戦国絵巻燕の城】こぼれ話第6話の2「君達を未来には連れていけない！」崩れそうな家からみんなを追い出そうとした。村中が叫ぶ「よくわからないけど、とおくにかえるんですね！どうちゅうきをつけて！」と、握り飯を投げてきた。きっと途中で食べろ、というつもりなのだろう。 #swamou

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それを懐に入れて小さく手を振る。(さようなら、みんな)そして辺りが白く光りガイエルは気を失った。「・・エルさん・・ガイエルさん！」体を揺さぶられガイエルは目を覚ました。目の前には近藤通訳が立っていた。「探しましたよ！どこ行ってたんですか？」そう言われ辺りを見渡す。 #swamou

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見覚えのある光景に安堵する。(ああ、戻って来たんだ。)目に入った「成田空港」の表示。紛れもなく現代だ。ぼんやりとするガイエルへ「コーヒー買ってきます」と告げると近藤は売店へ向かった。(いや、あの戦国の体験は夢だったのかな？)そう思いつつ近藤からコーヒーを受け取る。 #swamou

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もらったコーヒーは彼の好みに反してとても苦かった。(長い付き合いの近藤は、いつも砂糖をいっぱい入れてくれるのに、意地悪してるのか？)と、甘いものが欲しくなり、ポケットを探る。出てきたのはチョコバーでも、メープルクッキーでもなく、握り飯だった。 #swamou

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(夢じゃ、なかったのか。)涙を浮かべながら握り飯を頬張る。途端にチームメートの顔が浮かび、堪らなくなって近藤通訳に訊ねた。「館山は大丈夫か？」「はい？ああ、元気にトレーニングしてましたよ？」「石川は？」「エースですから。問題ありません」「畠山は？」「彼は2軍です」 #swamou

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「え？落ちたのか？何か怪我でも？」「やる気の問題かと。」「そうか・・」一通り聞いて彼は「じゃあ、行こうか」と出発ゲートに向かった。慌てて近藤が呼び止める。「そっちじゃないですよ！出口はこっちです！」「出口？」近藤は困った様に「今来たばかりの選手に帰られては困ります」#swamou

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今来たばかり・・？ガイエルは、畠山の事と合わせ、朧げに浮かんだ考えに答えを出すべく、近藤に質問した。「村中は？」「は？ああ、昨年少し投げただけの選手をよく知ってますね。」(間違いないだろう・・今は)ガイエルは自分の導き出した答えを確認するように最後の質問をした。 #swamou

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「相川は？」「相川？横浜ベイスターズの相川ですか？」そう言った近藤を遮るように「いや・・良いんだ。ありがとう。」と言った。(今は・・俺が来日した2007年のシーズン前か)どうやら2011年には戻れなかったようだ。色々な考えが頭をよぎった。 #swamou