【スワローズ妄想劇場】戦国絵巻燕の城 第10話
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本編「第10話」
【スワローズ妄想劇場】戦国絵巻・燕の城 第10話「広がりゆく暗雲」 #swamou #swallows
2011-08-22 02:05:00【戦国絵巻燕の城】第10話「広がりゆく暗雲」知らせを聞いた君主、小川公は思わず立ち上がった。「館山・・館山が倒れただと!」隣国との決戦に備え、磐石の態勢で送り出した軍勢の総大将が突然倒れたのだ。 #swamou
2011-08-22 02:08:58筆頭家老の荒木は「早馬で駆けつけた伝令が申すには、突然倒れたとの事。病なのか・・・あるいは敵の間者に毒を盛られたか」と伝えた。小川公は顔面蒼白になりながら「して、容態は!」と尋ねる。「予断を許さぬとの事。軍勢は如何なさいますか?」 #swamou
2011-08-22 02:11:02「無論、全速力で引き返させろ!館山を死なせてはならん!」・・・隣国の城の目前で全軍撤退の命令を受け、混乱を極める陣に容赦なく隣国の軍勢が迫る。「何としても館山様の輿を守りぬけ!」佐藤が配下に檄を飛ばす。 #swamou
2011-08-22 02:13:17奇襲を受ける形になった佐藤隊、村中隊は何とか館山を逃がそうと殿(しんがり)を受け持つがその数はみるみる減っていく。とうとう2人だけになり、背中合わせになる会話する。「さとうさん、こりゃきりがないですねえ」敵兵を切り倒す村中が笑顔すら浮かべて佐藤に話しかける。 #swamou
2011-08-22 02:15:44佐藤は(館山様の輿は逃げおおせたようだ)小さくなっていく味方の姿を横目で確認すると、「そうだなあ。ここまでかな。」笑顔につられて朗らかに返す。と、山の向こうに見慣れた旗印が見えた。先日負傷して後方に下がった増渕隊だ。 #swamou
2011-08-22 02:18:07気づいた村中が「あ、ますぶちさんですね。でもちょっとおそかったですかね」というと「そうだね、増渕隊の速度じゃ僕らが生きている間に包囲を突破できないだろうなあ。増渕さん、せめて仇は取ってくださいよ!」と佐藤は目の前の敵兵を切り倒した。 #swamou
2011-08-22 02:19:43「あとはー教えたようにやれば大丈夫でーす!」黒い服を着た南蛮人が増渕に声をかける。「有難うございます」と精強な騎馬隊を率いる増渕が応える。「しかし、物騒な宣教師ですね、ガイエルさん」ガイエルは妙な日本語で「お礼の意味もあるしー布教にもお金大切ですかーらね!」 #swamou
2011-08-22 02:22:04数年前、南青山城の道端に倒れていた南蛮人は宣教師のガイエルと名乗り、布教を認めてもらった代わりに南蛮の技術や兵器をこの国に伝えていた。増渕は後方に下がった10日間でガイエルから南蛮の戦法を習得していた。ガイエルが叫ぶ「では、グッドラック!」 #swamou
2011-08-22 02:24:17その言葉の意味は良く分からなかったが増渕隊は敵の包囲網に突入していった。並みの進撃速度ではない。手にしていたのは槍や刀ではなく鉄砲。「鉄砲騎馬」の突撃がにより、騎馬隊の幅に加えて鉄砲射程分の幅が切り開かれる。包囲した陣を真っ二つに切り開くと二人を馬に乗せ走り去った #swamou
2011-08-22 02:26:23「くそっ、またしても!」前回、村中を取り逃したうえに恥をかかされた隣国の武将、阿部は配下に命じ、南青山城の通り道にある小屋に兵を潜ませ、休みに入ったところを襲う算段をしていた。その内の一つに潜む野間口は窓の隙間から外を伺う。と、不意に背後に気配を感じる #swamou
2011-08-22 02:27:36「誰だ!」蝋燭のそちらの方に向けると黒い影のようなモノが立っていた。「それ」が話し出す。「今、彼らを死なせるわけには行かないんだよ。僕らの歴史が変わってしまうからね。」ゆっくりと近づいてくる。「くっ来るな!なんだよ歴史って!意味が・・・」 #swamou
2011-08-22 02:28:39蝋燭の炎がゆらゆらと壁に2つの影を映し出す。その2つが近付き交差すると「ゴキッ」という音と共に影が1つ崩れ落ちた。残った方の影の口がかすかに動く。「忍びないな」・・・蝋燭の炎が消えると、影も消えた。 #swamou
2011-08-22 02:30:57・・・いまだ意識の戻らぬ館山を乗せた輿と3人を乗せた馬は無事に南青山城に辿り着いた。だが更に低下してしまった戦力。順調であった南青山城の行く末に、暗雲が垂れ込めようとしていた。第10話・完 #swamou
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