ちいさな言語学者の小冒険

R As Well @Luzwell

子どもが「救急車」という言葉を覚えて毎日「キュウキュウチャ」と言っていたのが、一週間ほどで「キュウキュウチャ」と呼ぶのをやめて新たに「ピーポー」と呼ぶようになっていた。呼び名の進み方って一方通行ではないんだね。

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子どもに何かを譲らせるときに「順番だよ」と言い聞かせていたためか、何やら言葉の理解に誤解が生じたようで、ぼくではなく妻に抱っこしてほしいときなどに「ｼﾞｭﾝﾊﾞﾝ、ｼﾞｭﾝﾊﾞﾝ」と言ってぼくをどかすようになった。

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地球ドラマチックのアルマジロの回を見たかったので「アルマジロは、しまじろの仲間だよ。名前も「マジロ」まで一緒だ」と説明したけど子どもは納得せず、しまじろうDVDに切り替えられた。

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妻がお風呂から戻ってくるのを待っている子どもが「ママ、きないねぇ」と言っていて、まだカ行変格活用を知らないなと思った。

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平仮名マグネットで遊んでいた子どもが「れ」と「え」を間違えていて、言われてみると確かに形のニュアンスが似ているかもしれない……と思った。

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「痛いの痛いの飛んでいけ！」で飛んでいった痛みがどこにあるかを探して、子どもと一緒に家の中をウロウロしていたら、妻に「世界観についていけない」と言われた。

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子どもは自分の知っている言葉と結びつけてひらがなを覚えているのだけど、「アンパンマンの『あ』、サンタさんの『さ』」などの普通な用例の中に、たまに「血が出ちゃったの『ち』、すなおとこの『す』」などの異質な言葉が登場する。

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子どもがただのお湯のことも「ミルク」と呼んでいて、確かに、大量に入っているお湯ではなくこっちの少しの粉の方が「ミルク」の本体であると理解するのは難しそうだなと思った。

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子どもがABCビスケットを食べながら「これは何？」と言って"Z"を見せてきたので、「これはZだよ」と教えたら、「えーびーしーでぃー……」と歌いながら確認を始めて、それでいくと一番最後だから結構時間かかるよと指摘した。

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五十音表と数字が一体になったマグネットで遊んでいた子どもが、「22」のマグネットを持って「に！」と言っていて、マグネットの裏を見ると「に」と書いてあり、「に」が22番目のひらがなであることを知った。

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会話というものを覚える過程なのか、最近子どもはぼくの発言をたびたび先取りするようになって、先日は「保育園行かない、パパと公園で遊ぶんだ」と言ったあと、「うーん、気持ちはわかりますけどねぇ」と自分で返事をしていた。

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冬至のイラストを見た子どもが「お風呂でみかんが泳いでるよ」と言って笑っていて、確かに「浮いている」という状態は教えたことがないかもしれないと思った。

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ケーキ屋さんごっこの途中で子どもが「いま、お会計持ってくるからちょっと待っててね」と自分で言い出したものの、「お会計」がなんだかわからないので、自分なりにおもちゃ箱を漁ってお皿、しまじろうのぬいぐるみ、フライ返し、赤い紐、黄色い三角ブロックなど様々な「お会計」候補を持ってきた。

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子どもとお風呂で数字を数える遊びをしていて、１から１０に増やしていくときは４のことを「し」、７のことを「しち」と呼ぶことがあるのに、１０からカウントダウンするときは絶対に「よん」「なな」であることに気がついた。

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早く3歳になりたい子どもは、マンションの管理人さんに「いくつなの？」と聞かれて「まだ2歳」と答えていた。

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何がきっかけだったのか、ぼくと話している最中に子どもが急に「二物衝撃」のような遊びを始め、「電気コーヒー」「あたまコップ」「冷蔵庫フランスパン」などの言葉を発明しては大笑いしており、ぼくは「それが言葉の持つ無限の世界なんだよ」と思った。

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妻に投げキッスの仕草を教わった子どもが、自分なりの理解をもとに「唾を飛ばすよ、見ててね」と言って投げキッスをたくさんしてくれた。

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子どもが「なんで、"は"に点々をつけると"ば"になるの？」と質問をしてきて、咄嗟に「まさかこの子ども、濁点をつけると無声音が有声音になるというルールから考えると、ハ行とバ行が対応関係になるのはおかしいということに気づいた？」と妙な深読みをしてしまって、言葉に詰まった。

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「おいしい？」と聞くと「おいしいー」と言いながら野菜スープをいつも残す子どもに、「ところで、おいしくないときはおいしくないって言ってもいいんだよ」と教えると「おいしくなーい」と笑顔で言っていた。

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おままごとで料理をしていた子どもは、隣で座っていたぼくに「お料理しているところ見たいよーって言って」と言い、そのようにぼくが言うと、「いいけど、そこにいると熱いのがかかっちゃうぜ、キミ」と普段のぼくの返事を完全に再現していた。

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先日うどんを出してあげたときによほど美味しかったのか、平仮名の「あ」を見かけると「アンパンマンの、あ」と言っていた子どもは、最近は「揚げ玉の、あ」と呼ぶようになった。

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ぼくが晩ご飯にパンを食べているのを見た子どもは「パパ、それはパンご飯だねぇ」と喜んでいて、ぼくは妹が幼い頃に考案して聞かせてくれた「え、遠足？」という「え」しか被っていないダジャレのことを思い出していた。

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洗い物をしている最中にEテレをつけていたら、子どもが「パパ、パプリカだよ！」と言うので、「フーリンが出ているのかな」とチラ見したら、家庭菜園指南の番組でおじさんがパプリカを手に持っていた。

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「ディズニーって英語？」と聞いてきた子どもに、「英語だけど、日本語でもディズニーだよ」と教えると、「日本語に、"でぃ"があるの？　"でぃ"がないとディズニーができない」と言うので、「そうだよ。どう書くと思う？」と尋ねると、少し考えてから「"り"に点々？」と意外と良い線を行っていた。

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普段、平仮名が一文字ずつ書かれたマグネットを使って子どもに言葉を教えているせいか、町の看板などで「クリニック」のような言葉を見かけると、まず子どもは「"ク"が２つあるの？」と文字被りの感想を言うようになった。