SF文芸評論家 藤田直哉の邂逅 札幌市内のメイドカフェにて

藤田直哉(1983年生まれ、札幌市出身) ある高校生との邂逅
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藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

ローカルCMネタばっかりやっているとバカだと思われるので、少し文芸寄りの話に戻すと、写真で見せた一枚目の北海道上空は千歳の近隣のはず。佐藤友哉さんが書いてくださったエッセイや、太田さんが北海道に行ったときの印象を書いた文章を読んで、色々と考えながら帰省していたんです。

2010-05-07 20:39:06
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

飛行機の中では、『ユリイカ』の西尾維新特集を読んでいたんですね。前島さんが、ゼロ年代の作品は北海道系と京都系に分かれると述べていらっしゃったけど、〈戯言シリーズ〉的な、仲間とか、コミュニケーションとかのある京都っぽさとは違う、尖った孤独が千歳にはあるなぁと思った。

2010-05-07 20:40:54
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

で、佐藤さんが確かエッセイで、「アニメショップとかもない」と歎いていらっしゃったので、札幌市街に行ったら、今ではもうアニメの店やメイドカフェが結構できていて、時代が変わったと思った。

2010-05-07 20:42:40
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

で、メイドカフェに入ってみたら、結構和気藹々とコミュニケーションしているんですね。いや、和気藹々は嘘なんだけど(笑) 客同士がコミュニケーションできるような席の配置だったので、僕はお客さんと話をしてみたわけ。普通に高校生がいたりして、なかなか面白い話を聞けた

2010-05-07 20:50:27
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

彼は電車で一時間以上かかる、田畑ばかりの田舎からわざわざ来ていて、で、「オタク」は学校では別に迫害されるわけでもなくて大勢だと言っていた。そしてメイドさんに特別カクテルを注文して、擬似告白みたいなのを受けているわけ。僕は面白いから彼と話をしていたのだけれど

2010-05-07 20:52:00
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

僕がトイレに行っている間に、彼は僕にカクテルをおごってくれ、僕がメイドさんから告白を受けるという、粋なことをしてくれたわけ。これは粋だなぁ、と思って、しかし「お前は毎日通っているようだが金はどうしているんだ?」と聴くと、おじいさんの年金をくすねて来ているという(笑)

2010-05-07 20:53:10
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

これは奢ってもらうわけにはいかないってことで、その伝票の分を結局僕が奢ったのだけど、まぁなんというか、これが佐藤友哉の小説の中に西尾維新の骨董アパートが出てきたような、そんな不思議な感覚になってしまって、「この時代だったら佐藤友哉の作風はああなるだろうか?」とか考えてしまった

2010-05-07 20:54:50
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

今の@someruさんの発言も受けて、佐々木友輔さんの作品論にも書いたことなんだけど、結局、「故郷がないことが故郷」みたいな部分があって、北海道が真っ当に「故郷」になったり、人々が熱狂できたり共有できたり、オタク趣味でも共有できる人がいる感興になっていて、僕が失ったと思ったのは

2010-05-07 21:04:26
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

誰にも理解されず、趣味を一人で追求して、社会や他人と緊張感を持ってシビアに生きていたあのヒリヒリした「孤独」みたいなものがなくなっている気がした。それはいいことなのかもしれない。でも、僕の故郷は圧倒的に失われていた気がした。故郷が故郷でないことこそが故郷だった、的な。

2010-05-07 21:06:53