【スワローズ妄想劇場】戦国絵巻燕の城 第１５話

トゥ・レイン・スワロー @to_rain_swallow

【スワローズ妄想劇場】戦国絵巻・燕の城 第15話 「遠い道程」 #swamou #swallows

スワローズ妄想劇場 @swa_mou

【戦国絵巻・燕の城】第15話「遠い道程」撤退する自軍の列を見ながら、飯原はぼんやりと考えていた。（俺の・・・せいで・・）3日前、尾張国へ遠征したものの疲れが頂点に達していた南青山城の軍勢は為す総べなく撃退された。そして昨日、攻勢に転じた尾張軍をなんとか防いでいた。 #swamou

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しかし、最後に飯原隊が尾張軍大将、谷繁の決死の突撃に対応しきれず防衛線を突破された。小川公はこれ以上の損害を防ぐべく、自領への撤退を決定。今日は撤退戦が展開される予定であった。最近は自軍の足を引っ張ってばかりの飯原は（俺の、せいで）と、もう一度同じことを考えた。 #swamou

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（腹を切ろう）と決意した。手近な木の下で鎧を脱ぎ脇差を腹に向けた。（今回の敗戦、お詫び申し上げます・・・）と、脇差を振り上げた時、「何をしているかっ！」と野太い声がした。飯原が顔を上げると最年長の家老、伊勢が立っていた。飯原は立ち上がり、神妙に答えた。 #swamou

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「は、今回の敗戦の責、偏に私の不始末。腹を切りまする。御免！」と答えると、「ほう、今回の敗戦、貴様の責と?」と言いながら伊勢が近づいてきた。目の前に来たと思った時、伊勢が拳を振り上げ、思い切り飯原を殴り飛ばした。倒れる飯原に、伊勢がしゃがみ込んで言う。 #swamou

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「貴様一人の力だけで負けるほど、この軍は弱くは無いわ！」髪を掴んで顔を上げさせる。「思いあがるな。この軍は皆の力で戦っているんだ。」敵陣に突撃していく宮本を指さしていう。「俺達の目的までは一筋縄では行かない遠い道程だ。でもその道程で誰かが失敗しても誰かが補う。 #swamou

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宮本は行ったぞ。あの手勢では討たれてしまうのは間違いないのに。味方の撤退を助けるために。お前はどうするんだ？逃げるか？助けるか？」飯原は宮本と撤退する自軍の兵を見て、暫くの沈黙の後「行きます。」と一言だけ言うと残った手勢をまとめ、宮本の後を追った。 #swamou

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「赤川の重装歩兵はまだかっ！」宮本は敵を押しとどめるのに有効な重装歩兵の到着までここで立ち塞がるつもりであった。だが多勢に無勢。じわじわと押されていく。「宮本殿！」飯原が加勢に加わる。「遅い！」宮本は叫ぶと「棒禄分は働いてもらうぞ！」ニヤリと笑いながら突撃をする #swamou

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飯原も「はい！」と続き、協力して敵の先陣を深く切り裂いた。飯原が叫ぶ。「宮本殿、赤川隊が来ました！」重装歩兵を率いる赤川が街道に立ちふさがっていた。「よし、退くぞ！」二人と手勢は素早く引き返し、赤川隊の後ろに入った。それを見た尾張軍は突破しようと試みた。 #swamou

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しかし、赤川を中心とした重装歩兵の守備は固く、悉く跳ね返された。「いかがいたしましょう、谷繁様？」武将の森野が大将の谷繁に話しかける「こちらも深追いはしなくて良い。決戦はもう少し後だ。今日はこの位にしといてやろう」と、谷繁は強弓を取り出し引き絞り、放った。 #swamou

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矢が赤川の盾を貫き、鎧の直前で止まったのを見ると満足したように引き揚げた。自軍の最後尾につき、引き上げる飯原。と、さっき殴り飛ばされた場所に伊勢が座っていた。（待っていてくれたんですね。ありがとうございます、伊勢様。）と伊勢に近づくと、伊勢は無言で手を伸ばした。 #swamou

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「はっ、おかげさまで、立ち直りました」と握手すると伊勢は口を開く「いや、そうではない。お前を殴り飛ばした時、腰を痛めたようだ。立ち上がれん。貴様、ワシを城までおぶって帰れ。鍛錬じゃ！」飯原にとって城までの遠い道程は、いつもより厳しいものになりそうだ。第15話・完 #swamou