アムネスティ・インターナショナル報告書「ウクライナ軍の戦術が民間人を危険に晒している」日本語訳

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7月上旬、ニコラエフでは農業倉庫がロシアの攻撃を受け、農夫一人が負傷した。この攻撃からその数時間後、現地を調べたアムネスティ調査員たちによって、攻撃を受けた穀物貯蔵庫の付近にウクライナ軍の兵士、車両がいたことが確認されている。

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その他目撃証言から、民間人が住み込みで働く農場と道路一つ隔てて隣接した倉庫を、ウクライナ軍が使用していたことも判明。ハリコフ、ドンバス、ニコラエフ東部で調査員たちが住宅地や隣接する公共施設の損害を調査したが、その際にはウクライナ軍が市街地の付近から砲撃しているのが確認できた。続

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Bakhmut住民に聞き取りを行ったところ、ウクライナ軍は住民がいる高層マンションから道路一本を隔てた建物に拠点を置いており、両者は20mしか離れていなかったとのこと。5/18にはロシアのミサイルが建物の前面に命中し、アパート5つが損壊。付近のビルも被害を受けた。

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この攻撃を生き残った住民Katerynaは「何が起きたかわからなかった。窓の破片と瓦礫が自宅内に散乱していた。でも、健康を害している母が避難を拒んでいるので、今もこの家から逃げれない」と話している。

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住民3名の証言によると、ミサイルが命中したビルではなく、そのビルと道を隔てた反対がわの建物にウクライナ軍の拠点があったという。近くにあった家の前には軍のトラック二台が止まっており、この家もミサイル攻撃で打撃を受けていた。

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アムネスティ調査員も現地調査を行い、ビルの内外で確かに軍隊のいた痕跡を確認した。ビルの窓は黒いプラスチック製のシートで覆われており、土嚢や米製品の外傷初期治療キットが転がっていたのだ。(続)

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「軍に苦情を申し立てようとか、そんなことは考えてない。でも、軍の行動の皺寄せが我々に及んでいる」 被害を受けた家のある住民が、このように語っていた。（続）

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-病院に軍事拠点を設営- アムネスティ調査員は、ウクライナ軍が病院を軍事拠点として用いている事例を5箇所で確認した。うち2箇所では何十人もの兵員が病院に出入りしており、病院は休息や食事の場所として使われていた。

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その他の事例では、病院の付近からウクライナ軍の兵士たちが発砲していたことが確認できた。 ハリコフ郊外では、ウクライナ軍が病院の敷地に基地を設けており、そこをロシア軍が爆撃した際に、病院検査室のスタッフ二名が負傷した。病院を軍事目的に使うのは、明らかな国際人道法違反と言える。続

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-学校の拠点化- ニコラエフおよびドンバスでは、ウクライナ軍が学校を拠点として用いる事例が常態化している。開戦以降、学校は閉鎖されているが、多くの事例において学校は住民が暮らす地域の近くに位置している。

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我々が調査した29の学校のうち、22箇所ではウクライナ兵が学校を拠点として使っていたり、過去に使用していた形跡（迷彩服、遺棄弾薬、軍用レーション、軍用車両）が見つかった。

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ロシア軍はウクライナ軍が駐留している学校の多くに攻撃を加えている。少なくとも3つの町では、ロシア側に学校を爆撃された後、ウクライナ兵たちは近隣にある別の学校に移動し、そこを新たな拠点として使用した。これにより、周辺住民は同様の爆撃リスクにさらされていた。続

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オデッサでは、ウクライナ兵が住宅地に宿営し、住宅地を軍事拠点として利用。民家の近くの木立に装甲車を隠し、人口密集地の学校を拠点にしていた。4-6月の間、その学校の付近にロシア軍の攻撃があり、住民に死傷者が出た。6/28にロケットが打ち込まれた際は子供と老女一名ずつの死亡が確認されている

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Bakhmut(Artemivsk )では、ウクライナ軍が大学の建物を拠点として使用していた。5/21にここが爆撃され兵士7名の戦死が報じられた。大学は高層アパートと隣接していたため、このアパートにも損害が出た。50m離れた複数民家も損壊した。爆撃を受けた大学には、確かに軍用車の残骸が発見された。

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国際人道法は、使われていない学校に布陣することは、特に禁じていない。しかし、兵員たちは特別の理由がない限りは、民間人居住エリアの近くにある学校を使うことを避け、彼らの巻き込みを減らす義務がある。

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軍事上の必要性に迫られて学校に布陣する際は、周辺住民にその旨を通告し、彼らの避難を助けることが求められている。だが、ウクライナ軍がこのような努力を行った痕跡は見られなかった。

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武力紛争は子供たちの学ぶ権利を大きく阻害するが、学校の軍事利用が行われると、戦争が終わった後も、学習機会の喪失が続く危険がある。

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ウクライナを含む114の国家が「学校安全宣言」を承認しており、この宣言では、「軍事上の代替手段がない状況に限り、交戦陣営は放棄された学校を軍用に使うことが許される」と定めている。

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-ロシア軍の無差別攻撃- ここ数ヶ月のうちにロシアの行った攻撃の多くは、（精密誘導能力のない）無差別攻撃兵器を用いたものであり、その中には国際的に使用が禁じられているクラスター弾頭も含まれていた。広大なエリアを破壊する爆弾も広く用いられていた。

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一方で誘導兵器の投入も確認されており、特定の目標のみを破壊する高精度の誘導弾もあった。 ウクライナ軍は市街地に布陣しているが、だからと言ってロシアの無差別攻撃が正当化されるわけではない。

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交戦を行う勢力には、常に軍事目標と民間の建造物を識別して戦うことが求められている。彼らは適切な兵器の選択など、有効な防御策を講じて民間人の巻き込みを最低限に抑える義務がある。

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Agnès Callamardはこう述べている。「ウクライナ政府は、今すぐ市街地への布陣を止めるか、軍の展開する地域から民間人を避難させる義務がある。軍隊が病院を陣地として使用することは許されないし、軍隊が学校や住宅を拠点に使って良いのは、他の代替手段が尽きた時に限られている」

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2022/7/29にアムネスティはこれらの調査結果をまとめ、ウクライナ国防省との接触を試みた。しかし現時点において、彼らからの応答は確認されていない。 全訳ここまで。