Obinata先生【練習問題】包括利益と当期純利益の相違点

Obinata @tobin1022

【練習問題】 連結貸借対照表における退職給付にかかる負債を例にして、包括利益と当期純利益の相違点を説明しなさい。 （600-700字、20点）

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【練習問題の解説】 負債を対象にして包括利益と当期純利益の相違を説明するから、次の論点がポイントになる。 ①包括利益の場合 負債の測定→純資産の確定→包括利益の計算

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②当期純利益の場合 実現した収益　マイナス　対応する費用で当期純利益が計算され、負債は収益費用の計算結果として測定される。

Obinata @tobin1022

ここからが少し難しい。 問題文から、「連結上の退職給付にかかる負債はPBOで測定される」ことを結論にする。 そのためには 当期純利益計算では、未認識債務の平準化処理（繰延償却）が認められ、平準化処理をした場合には、PBOにならない。 ことから、議論を再スタートする。

Obinata @tobin1022

負債をPBOと一致させるため、その他の包括利益の計算において、未認識債務を即時償却し、当期純利益計算で得られた負債額に未認識債務を追加する。 という流れになる。

Obinata @tobin1022

ただし、当期純利益計算において未認識債務を即時償却している場合には、純利益計算のもとでも負債はPBOで測定され、当期純利益と包括利益とに相違は生じない。両者の違いは、未認識債務の償却タイミングの違いであり、リサイクリングをする限り、会計年度を通算すれば両者の合計額は一致する。

Obinata @tobin1022

この「ただし書き」が隠された論点である。 当期純利益と包括利益の相違は、単年度だけを取り出して観察したときであり、長期間を観察すれば相対的な差でしかない。 リサイクリングという単語に5点くらい配点するのが、よくある配点パターン。

Obinata @tobin1022

【追加解説】 「相違」に過剰反応して、リサイクリングと通算すれば一致を忘れるのは、会計士受験生としては、かなり甘い！ すでに知っているはず！ 一時差異と永久差異の話と同じ。 どうやっても残る差異＝相違なのか、通算すれば（長期的には）消える差異＝相違なのか？

Obinata @tobin1022

この論法の基本形は、 減価償却の定額法と定率法の比較 でやっているはず。 資産の取得から途中売却あるいは除却までを通算すれば、総費用額は償却方法にかかわらず同じ。 形を変えているだけ。 何度も強調しているように、基本はとてつもなく重要！ しっかり身につけておこう。

Obinata @tobin1022

練習問題、および解説、いかがでしたか？ 典型論点、基本項目だったでしょ。 答案構成に裁量の余地は、それほどないでしょ。 最大の難関は、隠された論点？ それとも、入口の、負債に絡めた定義？

Obinata @tobin1022

おそらく、受験生個人ごとに、癖があって、いつも同じようなポイントでひっかかる（論点漏れする）と思う。心配することはない。インプットはすでに十分。本番で思い出せる。 慌てない！ 問題文をよく読む！ ☆★☆ メインの結論を強調するポイント、説得力を増すポイントを加える！ ★☆★

Obinata @tobin1022

【練習問題の講評】 ただし書き以外ができた人は、合格十分。 本試験でのボーダーは、おそらく8-12点の半分程度。 ①包括利益と当期純利益の定義と、②連結上はPBOがオンバランスで、③その他の包括利益で即時償却が書ければ、合格水準。 差がつくのは、丁寧に部分点を拾えるかです。

Obinata @tobin1022

解説を聞いて、なるほどと思えた人は実力十分！心配いらない。 そうなの？という人は、部分点狙いに徹する。余計なことは書かない！ 積極ミス＝余計なことを書いて間違っているのは減点だからね！ 確実な知識を丁寧に書くこと。欲張らない！　これ、重要だよ。試験委員は情け容赦ないと考えよう！