Obinata先生 減価償却方法を変更した場合、およびプロスペクティブ・アプローチをとる理由

1
Obinata @tobin1022

【出題済みの易しい練習問題】 減価償却方法を変更した場合 (A)変更時点の「適正な簿価」を新たな取得原価とする。 (B)残存価額は、従前の見積りをそのまま使う。 続く

2022-08-14 08:25:27
Obinata @tobin1022

(C)耐用年数が延長されないように、従前の残存耐用年数を、変更後の残存耐用年数とする。 (D)以上の計算要素を用いて、変更後の償却方法を適用する。 おなじみのプロスペクティブ・アプローチの説明です。減価償却計算の3つの計算要素を丁寧に説明することがポイント。論点抜けはないですか?

2022-08-14 08:28:56
Obinata @tobin1022

大日方隆。大学教員(財務会計)。勤務先は東京大学経済学部・経済学研究科。前勤務先は横浜国立大学経営学部。学部4年時に会計士試験合格。元TAC講師(1984-1989年)。ここでのつぶやきはアカウント主(大日方隆)の個人的見解であり、勤務先とはいっさい関係ありません。

Obinata @tobin1022

【減価償却方法の変更:解説】 減価償却計算の3要素に触れるのは、償却方法の変更が他の要素には影響をあたえないことを明記する必要があるからです。 とくに、(残存)耐用年数は、税務計算に従うと自動延長されることがあり、その場合、金商法会計では適正と認められない点には注意が必要です。

2022-08-14 09:02:33
Obinata @tobin1022

また、「適正な簿価」も重要です。償却過不足などの誤謬はプロスペクティブでは修正できず、そぎ修正しなければなりません。 なお、「適正な簿価」には、特段の断りがなければ、資産除去債務の計上にともなう簿価増額分も含みます。

2022-08-14 09:06:25
Obinata @tobin1022

【減価償却方法の変更でプロスペクティブ・アプローチをとる理由】 過去問の模範解答を見たら、どこの学校もほぼ同じで、基準・適用指針をコピペするという誤りを犯していました。 結論から言うと、理由が書いてありませんでした。専門学校の講師陣にも、丸暗記の弊害がでているようです。

2022-08-14 09:11:18
Obinata @tobin1022

理由は、 ①日本の会計基準を海外の会計へコンバージさせるため、 ②IFRSの考え方をそのまま採用したから です。 それが、なぜ?にたいする解答です。IFRSの考え方を説明しても、だから?となります。

2022-08-14 09:16:32
Obinata @tobin1022

海外の会計 → 海外の会計基準 お詫びして、訂正します。

2022-08-14 09:25:52
Obinata @tobin1022

ASBJが決断に苦悩した事情や(無理な)言い訳を書いても、理由の説明にはなりません。 受験生がASBJの立場にたって解答するのは、やや滑稽に思います。もちろん、それを解答に要求しているとしたら、出題者の感覚のほうが異常ですけど。

2022-08-14 09:24:51
Obinata @tobin1022

【減価償却方法の変更:難しい話】 従来、日本では減価償却方法は①会計方針とされ、②変更はプロスペクティブで処理されることが多かった。 IFRSでは、サービスの消費パターンの見積りと償却方法を適合させるべきとされ、消費パターンにかんする見積りの変更は、プロスペクティブ処理されている。

2022-08-14 09:44:58
Obinata @tobin1022

会計方針の変更が利益操作目的で濫用されないようにするため、遡及修正の会計基準が必要となった。 それだけだと、償却方法の変更は遡及修正されることになり、企業側が反発するだけでなく、IFRSとの相違も解消されない。

2022-08-14 09:47:58
Obinata @tobin1022

そこで、ASBJは、減価償却方法の変更を見積りの変更に分類するという方針(戦略)を採用した。 ただし、会計方針としての位置づけ、継続性の対象となるという伝統は継承した。

2022-08-14 09:50:40
Obinata @tobin1022

その結果、減価償却方法の選択にかんする会計基準がなく、サービス消費パターンと償却方法との合致が義務づけられていないにもかかわらず、その変更を消費パターンにかんする見積りの変更とする不整合が会計基準に生じた。 その不整合を明言できないため、ASBJは苦し紛れの言い訳をせざるを得ない。

2022-08-14 09:53:42
Obinata @tobin1022

この問題についての議論が錯綜しているのは、同時に、見積りの変更の会計処理が整理され、確定されたからである。 本来は、減価償却方法の変更は会計方針の変更の問題であるにもかかわらず、先に決まっている「見積りの変更の会計処理」を援用したことで、問題の本質が見えにくくなっている。

2022-08-14 10:05:00
Obinata @tobin1022

減価償却方法の変更の問題は、見積りを変更したときにどのように会計処理すべきかという問題ではない。 会計方針の変更と見積りの変更とは次元が違うのに、あたかも両者がオーバーラップするグレーゾーンの問題というのは、ASBJのごまかしであり、理論的な話ではない。

2022-08-14 10:07:55
Obinata @tobin1022

なお、ASBJの名誉のために付言すると、コンバージェンスはあたえられた制約であり、無理な言い訳をしていることは、ASBJは百も承知である。 だからこそ、その言い訳を理論的理由とされるのはASBJにとっては不本意なはずであり、コンバージェンスを理由とされるほうが、ASBJの名誉を守ることになる。

2022-08-14 10:13:02