七人の侍考察 SEI

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SEI (わしむ) @seik11874

#七人の侍 村人の集会の場面。こういうシーンって、情報密度が下がりがちなんだけど、まったくそんなことない。すべての村人の言葉、表情、言動に意味がある。

2022-08-21 20:06:46
SEI (わしむ) @seik11874

#七人の侍 この農民の悲劇は、土地に縛り付けられたものと、その外からくるものの対比である。 現代では、銀行にカネかりてマイホーム立てている層が農民。それに対する脅威はなにか?そのような脅威の到来を予言というか示唆している作品でもある。もしかしたらそれはITとか気候変動なのかもしれない

2022-08-21 20:10:39
SEI (わしむ) @seik11874

#七人の侍 「腹減った侍」これは、要は「力はあるが人間的存在」ということではないか。脅威の力はもちつつも「空腹」という人間的属性をもっている。そのように、ヒーローを定義している。それが面白いと思う。

2022-08-21 20:11:38
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#七人の侍 旅する農民が、街のやくざみたいなものにバカにされる。街とムラの対比。都会と田舎。しかし、どちらが豊かといえるのかは現代においても難しい問題だ。

2022-08-21 20:13:26
SEI (わしむ) @seik11874

#七人の侍 農民は、都会においても搾取される存在である。 農民は、富を生産するの能力がある。しかし、それを守るすべのないゆえに弱者である。 これは、現代で言う情報弱者のサラリーマンである。

2022-08-21 20:15:29
SEI (わしむ) @seik11874

#七人の侍 「侍の良し悪しなんてわからない」 弱者は、強者がなぜ強者たりうるかを知らない。 ゆえに、弱者はずっと弱者なのだ。

2022-08-21 20:17:10
SEI (わしむ) @seik11874

#七人の侍 この宿場の琵琶法師はどういう位置づけなのか。 やくざものに保護されているようにも見える。 これは、弱者たちの小さな宗教=心の安らぎ、なのかもしれない。

2022-08-21 20:18:08
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#七人の侍 リーダーの勘兵衛(志村 喬)は最初から、侍の象徴である髷を切り落とすところから登場する。 彼は、もう強者-弱者との境界という次元から少し飛び出た存在といえるのかもしれない。それは僧侶= 宗教的存在、つまり救世主との可能性を示している。

2022-08-21 20:21:20
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#七人の侍 勘兵衛の最初の活躍を、農民たちとは別サイドで菊千代と勝四郎が見ている。彼らは、未熟な侍たちでロールモデルを探している。農民とは違う視点が追加される。ここに「七人の侍」の豊かな意味の場が展開され始める。

2022-08-21 20:25:07
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#七人の侍 勘兵衛は押し込み強盗を捉えるのに、刀を使わない。 これは、この映画が典型的なチャンバラ時代劇ではなく、「戦術」についての映画であることを最初から提示している。

2022-08-21 20:26:14
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#七人の侍 菊千代は、この勘兵衛の「戦術」に興味を持つ。しかし、勝四郎は「ヒーロー」としての勘兵衛に畏敬を示す。この違いが、菊千代と勝四郎の今後の侍としての成長を分けるものに成る。

2022-08-21 20:27:51
SEI (わしむ) @seik11874

#七人の侍 菊千代が戦術に興味を示すのが、彼がもと農民で野武士に悲惨な目に合わされたこと、しかし偉そうな武士は農民を誰も助けてくれなかった。単なる力が自分を救うわけではないことをどこかで感じ取っているのだと思う。

2022-08-21 20:29:29
SEI (わしむ) @seik11874

#七人の侍 しかし、菊千代はその勘兵衛の「凄さ」が戦術というものであると説明できない。だから、じろじろ見つめるだけで言葉が出ないのだ。しかし、この「勘」をもっていることが魅力なキャラである。これを演じきっている三船敏郎は素晴らしい。

2022-08-21 20:30:56
SEI (わしむ) @seik11874

#七人の侍 「百姓に竹槍を持たせる」戦略。 それでは難しい。ではどうするか? その問いが七人の侍の妙の面白いところである。

2022-08-21 20:32:55
SEI (わしむ) @seik11874

#七人の侍 勘兵衛は優れたコンサルタントともいえる。 知恵と執行(strategyとoperation)の分けるものの大きさをよく知っている。できないものはできない。無闇に、リスクを負うべきでないことも知っている。

2022-08-21 20:35:54
SEI (わしむ) @seik11874

#七人の侍  協力してくれる侍が、娘をとられることを恐れる侍。 死ぬことと娘をとられることのどちらが怖いかを諭す長老。農民は「恐怖する存在」である。彼らの統治には恐怖のコントロールが必要なのだ。弱者というものはそういうものである。

2022-08-21 20:41:28
SEI (わしむ) @seik11874

#七人の侍  勘兵衛はやや卑怯な方法で、侍の実力を示す。 これはコンサルタントがよくやる方法だ。急ぎで使える人間を選ぶために、彼らをおだてて情報を出し、その情報の内容で彼の実力を測る。コンサルタントというのはそのように、相手の腹を探ることに長けた存在であるのだ。

2022-08-21 20:43:25
SEI (わしむ) @seik11874

#七人の侍  五郎兵衛のスカウト。道行く侍の中で柔和な表情で、旅慣れた服装であることを気に入る。本当の強さは、外に出そうとするものではないということを示している。

2022-08-21 20:49:49
SEI (わしむ) @seik11874

#七人の侍  なけなしの米を盗まれる与平(左 卜全)の表情。これはなかなか表現できるものではない。 彼らの苦しみにどう向き合うかよくわからないが、勘兵衛だったらこうするかもしれないという施しをする勝四郎。こういう強い侍以外の関係も描かれるのが面白い。

2022-08-21 20:52:12
SEI (わしむ) @seik11874

#七人の侍 昔の知己を見つけた七郎次に、仕える城が焼け落ちたときに、「そのときどう思った」と尋ねる勘兵衛。 「別に何も」という七郎次。 「カネにも名誉にもならない戦があるがどうするか?」と聴く勘兵衛に、「やります」と即答する七郎次。 強き者の相互理解はシンプルなのだ。

2022-08-21 20:54:57
SEI (わしむ) @seik11874

#七人の侍 「こんどこそ死ぬかもしれんぞ」と訊く勘兵衛に、にやりとする七郎次。強き者は、生きるべき場所ではなく、死ぬべき場所を探している。

2022-08-21 20:56:34
SEI (わしむ) @seik11874

#七人の侍 平八のスカウト。カネがないから薪割りをして茶代を賄おうとしている。とにかく明るく楽しそうにふるまう平八。「人は斬り出したら切りがないから逃げることにしている」このユニークな発想がムードメーカーとなると見込まれスカウトされる。

2022-08-21 20:59:12
SEI (わしむ) @seik11874

#七人の侍 久蔵のスカウト。唯一といってもよい、侍らしい果たし合い。シンプルな強さ。むき出しの暴力と死。これに魅せられてしまう、エリート候補の勝四郎。知略の強さの勘兵衛に師事し頭ではそのほうが良いと思いながら、暴力の香りに魅力を感じてしまう。これも男というものなのだろう。

2022-08-21 21:04:10
SEI (わしむ) @seik11874

#七人の侍 侍にとって功績は何かを語る勘兵衛。下剋上、強きものに従うという関係は、源平合戦以降の考え方であり、それは現代にまで及んでいる。平家の時代の武士は、強弱だけではなく、血縁が重視された。だから、平家物語は日本のイデオロギーの分岐点を示す文学であるといえる。

2022-08-21 21:11:14
SEI (わしむ) @seik11874

#七人の侍 6人が集結したところで現れる泥酔した菊千代。もちろん、勘兵衛のテストには不合格。この、焦点のおぼつかない三船敏郎の表情は歌舞伎の見得のようなものを感じる。菊千代は非凡さと平凡さを持ち、農民と侍の中間の存在である。この二面性が黒澤の提示する、本当の強さなのかもしれない。

2022-08-21 21:16:19