小檜山青が語るエロとアニメについて鬼滅はポリコレを学のに最適な作品だ?

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鬼滅の刃はフェミニズムも100点

小檜山青 Sei Kobiyama @Sei_Kobeee

『鬼滅の刃』の「遊郭編」はフェミニストというか女性だけの問題でもない。妓夫太郎にせよ天元にせよ、社会が少年を救わないことによる被害者も描かれているわけでして。そういう話なのだけど、遊郭というだけで女がガタガタ言うとなるとすればそのことそのものがおかしい。

2021-02-26 20:28:13
小檜山青 Sei Kobiyama @Sei_Kobeee

『鬼滅の刃』のジェンダー描写はむしろ進歩していて。優秀な女医なのに剣心の胃袋を掴むことが求められ、23歳くらいでありながら17歳前後薫と比較されていた『るろうに剣心』の薫を思い出してみよう。しのぶや珠世は随分と進化した明治の知性ヒロインだ。誰もしのぶがメシマズかどうかなんて言わない。

2021-07-03 14:21:24

「フェミのみなさ〜んw セクハラする善逸が人気で、乳柱・甘露寺蜜璃がいる『鬼滅の刃』が流行してますよ〜www 涙目ww 息してるぅ?www」

彼女はフェミニズム論争で真っ先に槍玉にあがりそうな人物とでも言いましょうか。

『鬼滅の刃』には、大正時代らしい当時の最先端を歩んでいたフェミニストが存在しています。

津田梅子型の胡蝶しのぶです。

女医である珠世もその枠に入れてもよいでしょう。

甘露寺蜜璃の場合、そのファッション同様、2010年代以降のフェミニストと解釈できる言動があります。

・鬼殺隊女性のセクハラ服は、しのぶのように断固拒否することができると示されている

・蜜璃はモジモジしているようで、あっけらかんとセクシーな時には拒絶や羞恥、嫌悪感を見せていない

・蜜璃の現代人から見ればセクシーなポイントは、大正当時からすればむしろマイナスであると示されている。男の目や社会の目を意識して露出しているわけでもない

・しのぶと実弥が、セクハラ隊士・前田を制裁している。善逸も叱られている。セクハラは不愉快で悪だという価値観がある

・殿方探しが目的のようで、蜜璃は社会に役立つ正義に目覚めている

・典型的フェミニストであるしのぶと対立していない、むしろ仲は良好

・怪力かつ意思強固である。腕力で屈服させられ、搾取される危険性がない。これは美少年である伊之助も同様

その性格は素直で善良、ロマンチックな恋に憧れているのです。

彼女は武勇のみならず、その美しく素直な心根で戦い続けます。

【フェミニズム批評】観点からも高評価のキャラクターでした。

実は『鬼滅の刃』は、連絡にカラスを使うところなどからして『ゲーム・オブ・スローンズ』に通じる要素もあります。

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大河とファンタジー

『麒麟がくる』の駒のことを「ファンタジー」だと貶すSNSの意見があり、それを取り上げた記事がありました。

歴史もので駒のように非実在の人物を出し、その目線で描くことは定番の技法です。

そんなことにケチをつけたら大河になった吉川英治『宮本武蔵』は成立しません。

大河でも『三姉妹』や『獅子の時代』は実在しない人物が主役です。

駒は歴史に干渉せず、実在人物の生死を左右したことはありません。

今年の善児のほうがトリッキーな動かし方です。

駒みたいな無名の市民がうろうろすることが嫌いなら、「ファンタジーだ!」とけなすのではなく、もっと歴史通らしい言い回しはあります。

「豚に歴史がありますか?」

民百姓に語るべき歴史なんかないのだから、駒みたいな戦災孤児出身者なんて要らんということなら、ハッキリそう言えばいい。

それを自らは安全なポジションに置くような言い回しでは卑怯です。

本題です。

今回はそんなファンタジー要素の塊のような比企尼が登場しました。

比企尼は死亡状況が不明。

高齢でもあるし、比企一族の滅亡前に亡くなったとすることが妥当に思えます。

それを本作はあの地獄の中に置き、死亡状況がわからないことを逆手にとって生存させ、呪いをかけるように出してきました。

こういうことがファンタジー要素ではないかと思います。

日本における「ファンタジー」という言葉の使い方はそもそもがおかしくて、なんかありえないようなご都合主義とか、ただ単に自分の気に入らないプロットをさして呼ぶようにも見えます。

ファンタジーはかなり定義が厳しく、かつご都合主義でもなく、残酷な仕掛けにもなるものなのですが。

このドラマの描く時代は「なろう系主人公でも降り立って数時間で即死する」くらいハードにできるわけで。

呪いをかけたり、不吉な予兆として出す方がむしろ向いている。

中世は迷信も通用しますので、ファンタジー要素とは非常に相性がよろしく『鎌倉殿の13人』は序盤から頻出しました。

後白河院が頼朝の夢枕に出る。

金剛が「ぶえい」と泣く。

むしろ悪夢のようなファンタジー要素を使っているので、斬新でおもしろく、かつ世界基準だと思えます。

歴史劇とファンタジーの組み合わせといえば『ゲーム・オブ・スローンズ』が定番にしました。

続編『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』も間もなく配信されます。

『ゲーム・オブ・スローンズ』では、原作にいたのにカットされた人物もおりまして。

ある女性が一族ごと惨殺されると、ゾンビのように復活してうろつき、呪いをかける設定がありました。

比企尼はその再現のように思えましたね。

これはすごいことでしょう。