構築主義は言語論的転回の発想に基づいているので、ジェンダー論、ナショナリズム論、オリエンタリズム論はどれも歴史学にポジティブな影響を与えた言語論的転回的発想と言えるのではないでしょうか。また、言説や表象の歴史学的研究も、元来は言語論的転回の発想に由来していると言えそうです。 twitter.com/Koji_hist/stat…
2022-09-10 01:05:39言語論的転回的発想を(悪い意味での)ポストモダニズムに還元しないで、替わりに色々な実証研究に活かされてきた方法論的態度として概観した日本語の解説をご存知の方がいたらご教示くださいませ。m(__)m twitter.com/Koji_hist/stat…
2022-09-10 00:40:06言説・表象の歴史研究:「過去の文献に書かれていることを通して、史実に迫ろうとするのではなく、あるいは書かれた内容が真実かどうかを吟味するのではなく、書かれた内容そのものを対象とする、つまり何が書かれたのかを問題にする歴史学です」
2022-09-10 01:09:24
『メタヒストリー : 一九世紀ヨーロッパにおける歴史的想像力』(ヘイドン・ホワイト, 1973)
歴史学における「言語論的転回」には雑多な意味が含まれているため、議論に混乱がある。中々このあたりの状況と経緯を整理した文献がないので分かりにくいのだけど、以前、それについての発表をお聞きしたので、それから色々な部分を端折って、ごく一部をかいつまんでとりあげてみると……
2022-09-10 01:09:10「言語論的転回」が最初に歴史学に導入されたのはアメリカの思想史界隈(M.Jay:1982)で、この時点では言語の構築性に着目する意図。その先駆的実践例としてホワイトの『メタヒストリー』が振り返られる。…
2022-09-10 01:11:07- ヘイドン・ホワイト Hayden White (1928-2018) - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/ヘイドン・ホワイト
- 『メタヒストリー : 一九世紀ヨーロッパにおける歴史的想像力』 | ヘイドン・ホワイト, (岩崎稔 訳)〔作品社, 1973:2017〕|本 | Amazon https://www.amazon.co.jp/dp/486182298X
…しかし、『メタヒストリー』は、言語に着目する構造的な分析と、実証主義歴史学を批判する歴史認識論の二つの側面があり、そこが混同されて用語:「言語論的転回」と結びつけられたため、話がややこしいことに。…
2022-09-10 01:11:08…90年代初頭、歴史認識の問題が議論される中でホワイトへの批判(1992)が起こる。また、『Past&Present』誌での論争(1991)。ここで「全ては言説なので真実と嘘を選り分けて記述する必要は無い」という立場を批判する議論がなされる。…
2022-09-10 01:11:08…ここがこじれホワイト擁護vsホワイト批判の論争に発展、ホワイトの議論が主に歴史認識論の点で捉えられるようになり「言語論的転回」と歴史認識論がセットで扱われるように。 ということで、歴史学における「言語論的転回」のつかみどころのなさはホワイトをめぐる状況にも影響されているらしい。…
2022-09-10 01:11:09…ただ、もちろん「言語論的転回」的なことが歴史学で行われてこなかったわけではなくて、ケンブリッジ学派や社会史のリン・ハントなどの成果もあったけど、それらは当初「言語論的転回」を称したわけではなく、後に「言語論的転回」の例として捉えられるようになったため、…
2022-09-10 01:11:09- リン・ハント Lynn Avery Hunt (1945- ) - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/リン・ハント
また、個人的な印象だけれども、近世イギリス史分野では、「言語論的転回」が導入される当初にJ.C.Davisのランターズ否定論『Fear, Myth and History』(1986)が出て界隈の印象を悪くしてしまったのも影響があるのではないかとも思っている。
2022-09-10 01:11:10- Fear, Myth and History: The Ranters and the Historians: Davis, J. C. (1986) | Amazon.com: Books https://www.amazon.com/dp/0521262437/
奇しくもゼロ年代前半を大学で史学の徒として過ごした身としては「言語論的転回」は史学の足元を切り崩す危険思想的な眼差しもあったように思う。 史学から仏教に転じて「『律蔵』を史料として扱う」は非常にイメージしやすかったけれども、下田先生のエクリチュール論になると戸惑いも感じたり。 twitter.com/Koji_hist/stat…
2022-09-10 08:43:38こうして見渡してみると、言語論的転回というのはある種の「キワモノ的な飛び道具」というよりは色々な研究で幅広く応用されている前提であって、方法論的発想とでも言えるもので、それは多くの場合どうやって史料を集め、史料のどこに注目するのか、という分析の際の方針を示していると思うんです。
2022-09-09 23:22:14- 『仏教とエクリチュール : 大乗経典の起源と形成』(下田正弘, 2020)|東京大学出版会 http://www.utp.or.jp/book/b498522.html
「そういう『史学理論』に手を出す手合いに限って、史料(古文書)読めないんだよなァー(大声」的な眼差しに少し居心地の悪さもあったし、そういう国史の世界で何故か「ヘゲモニー」や「所有論」云々はオーケーなのも今思えば不思議だった。
2022-09-10 08:46:35
@Koji_hist 大学時代、言語論的転回の議論を了解した上で、柔軟に活用する先生方のゼミや演習に在籍しておりました。 古典期アテナイの法廷弁論のような、虚構や相手への中傷があちこちにあるために、事実を正確に抽出する手段が無いような史料を読む際など、言語論的転回の議論が役立つと感じることがあります。
2022-09-10 00:31:24@Koji_hist あと最近、古代の歴史叙述に関わるモノグラフの中に、ヘイドン・ホワイトが提起した問題を積極的に評価するものもあります(例えば、Greenwood, E., Thucydides and the Shaping of History, London, 2006. や、Hazewindus, M.W., When Women Interfere, Amsterdam, 2004. など……)。
2022-09-10 00:39:49- Emily Greenwood, Thucydides and the shaping of history (2006) | WorldCat.org https://www.worldcat.org/ja/title/905861608
- Minke W. Hazewindus, When Women Interfere Studies in the Role of Women in Herodotus' Histories (2004) https://www.worldcat.org/ja/title/1183955157
度々のリプライ失礼します。言語論的転回を系譜的に位置付けたものとしては、長谷川貴彦「現代歴史学と世界史認識」(『岩波講座世界歴史01』所収)が便利かと思います。 言語論的転回が提起した問題を整理したものに岡本充弘『開かれた歴史へ』がありますが、古書価格が…。 twitter.com/Koji_hist/stat…
2022-09-10 01:15:56- 『世界史とは何か』(「岩波講座 世界歴史」第1巻, 2021)|岩波書店 https://www.iwanami.co.jp/book/b591589.html
- 『開かれた歴史へ : 脱構築のかなたにあるもの』 | 岡本充弘〔御茶の水書房, 2013〕 |本 | 通販 | Amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4275010124
When Was the Linguistic Turn? A Genealogy by Judith Surkis