篠田謙一『人類の起源』を読んで

自分用のまとめです。
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孫二郎 @344syuri

篠田謙一『人類の起源』読了。人類がどのような足取りを辿ってきたのかを、最新の分子生物学に照らして探る一冊。自分の関心の幅に寄せて読むと、まず200人から500人の集団の中で婚姻が行われている点に目を奪われる。『サピエンス全史』によればチンパンジーの群れは20頭から50頭とほぼ1/10である。

2022-09-23 03:27:49
孫二郎 @344syuri

自然な状態でのホモ・サピエンスのネットワークは、ダンバー数と呼ばれる150人が限界という。となると、500人もの群れがあるということは、複数の部族グループが連合しているに違いない。霊長類研究の立場からは雌雄の体格差が大きいほどハーレムも大きくなるが、人間は大きすぎず小さすぎない。

2022-09-23 03:27:50
孫二郎 @344syuri

総合的に見て現生人類の特徴は「単雄単雌だが乱交の傾向もある」というあたりになるので、「不倫は文化だ」という古い迷言も意外に外していないというか、むしろ文化を超えて本能の域で正鵠を射ているのかもしれない。

2022-09-23 03:27:50
孫二郎 @344syuri

さて、これは個人的にはすこぶる具合がいい。この「複数の家族たちのバンド」はトッドのイメージする原初的家族形態に容易に一致するからである。またハラリの示唆するような「革命」ではなかったにせよ、ホモ・サピエンスの脳内に何らかの虚構を共有する仕組みができたことも間違いないであろう。

2022-09-23 03:27:51
孫二郎 @344syuri

本書は他にも世界中の民族のルーツについて触れており、自分の先祖に思いを馳せたい方へもオススメの一冊となっている。人類学者全てへの挑戦状とも取れるゴーギャンの名画、「我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか」を終章のタイトルに引いて本書は幕を下ろす。

2022-09-23 03:27:51
孫二郎 @344syuri

追記:この読み方はかなりクセが強いというか、チェリーピッキング的ですらあることは一応自覚しております。本書を虚心坦懐に読みたい向きは、記述順通り、新技術による進化した分析・多様な「人類」との混血・出アフリカとその後の人類の広がりと読み進めていくのがよいかと思います。

2022-09-23 09:25:51