タイトボンドIIIの「間接的な食品との接触」「FDA認可」とは何なのか

食器やまな板に使える接着剤として紹介される「タイトボンドIII」の「間接的な食品との接触」「FDA認可」とは何なのかまとめ
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2SC1815J @2SC1815J

割れた食器の接着に「タイトボンドIII」を用いて安全なのか再整理(これまでのまとめ+α togetter.com/li/1951160 )。 米国では、食品と接触する成形品に使用される物質は「間接食品添加物」として、FDA規制の対象となっており、食品と接触する包装等に用いられる接着剤も、その対象に含まれる。→

2022-09-29 22:30:35
2SC1815J @2SC1815J

1)あらかじめFDAによって承認されている「食品と接触する包装等に使って良い物質リスト」(21 CFR 175から177)にある物質を、定められた条件に従って使用する場合、「間接食品添加物」に関するFDA規制に適合していることになる。これは個別製品に対してFDAが認可を与えるものではない。→

2022-09-29 22:38:41
2SC1815J @2SC1815J

また、一般に食品中または食品上において安全であると認識されている物質や、食品包装材に意図された用途において安全であると一般に認識されている物質も、所定の制限を条件として、「間接食品添加物」に関するFDA規制に適合していることになる(21 CFR 174.5)→

2022-09-29 22:52:15
2SC1815J @2SC1815J

2)リストアップされていない新規の物質を食品と接触する成形品に用いる場合、FDAに申請し、認可を受けることで、FDA規制に適合していることになる(FCN制度)。こちらは個別製品に対する認可となる。 「タイトボンドIII」や「ゴリラウッドグルー」は、1)のケースと思われる(21 CFR 175.105)。→

2022-09-29 22:55:21
2SC1815J @2SC1815J

ということは、「タイトボンドIII」などを安全に使うには、FDAはこれらの接着剤に含まれる物質はどのような条件で使用すれば規制に適合すると定めているのかという点が重要となる。(個別製品に対して、FDAが「この接着剤は食器やまな板に使って大丈夫」というようなおふだを出すことはない。)→

2022-09-29 22:58:02
2SC1815J @2SC1815J

接着剤が「間接食品添加物」に関するFDA規制に適合するための条件は、米国連邦規則集 21 CFR 174(間接食品添加物に適用される一般規定)や同175.105(間接食品添加物:接着剤)ecfr.gov/current/title-… に記載されており、同175.105の冒頭部は、まとめ togetter.com/li/1951160 に私訳を掲載した。→

2022-09-29 23:03:50
2SC1815J @2SC1815J

「間接食品添加物」に関するFDA規制に適合する上で、適正製造規範(GMP)に含まれていなければならない制限は、21 CFR 174.5 (a) ecfr.gov/current/title-… に記載があるが、定量的な記載ではない。→

2022-09-29 23:20:00
2SC1815J @2SC1815J

また、21 CFR 175.105 (a)(2)で、FDA規制に適合するには「適正製造規範の制限を超えないように」といっても、個人が割れた食器を修理するために接着剤を使用するようなケースでは、具体的にどのように考えれば良いのか。食品包装に詳しい方などから、情報をいただけましたら幸いです。(いったん了)

2022-09-29 23:25:27

2SC1815J @2SC1815J

あるメーカーの文書 label.averydennison.com/content/dam/av… に「The FDA recognizes three types of food contact substances (FCS): direct, indirect and incidental contact」「Direct contact substances」「Indirect contact substances」「Incidental contact substances」という表現がある。→

2022-09-30 21:00:47
2SC1815J @2SC1815J

しかし、現行のFDAの規定を見ても、「direct contact substances」「indirect contact substances」「incidental contact substances」や「direct food contact」「indirect food contact」というような用語は見つからない(後述するように「incidental food contact」という記述は見られる)。→

2022-09-30 21:02:19
2SC1815J @2SC1815J

21 CFR 174から178の「Indirect Food Additives」(間接食品添加物)のカテゴリで、175.125(感圧接着剤)には「food-contact surface of labels」という記述は見られる。これは、例えば野菜や果物などの表面に直接貼るシールに安全に利用できるような接着剤の話。→

2022-09-30 21:04:00
2SC1815J @2SC1815J

21 CFR 178.3570(偶発的に食品と接触する潤滑剤)には「incidental food contact」という記述が見られる。これは、例えば食品加工機械などに使われ、偶発的に食品が触れてしまうかもしれない潤滑剤の話。→

2022-09-30 21:05:10
2SC1815J @2SC1815J

21 CFRには「indirect food contact」という記述は見られないが、食品が入ったガラス瓶の外側に貼るラベルの接着剤のように、食品と機能性バリア(この場合、ガラス)によって分離され、間接的に接触しているケースを、direct、incidentalとの類比的に「indirect food contact」としたのだろうか。→

2022-09-30 21:09:37
2SC1815J @2SC1815J

(ただし、21 CFR 175.105(接着剤)(a)(2)では、機能性バリアによって食品から分離されていなくても、所定の条件に従っていれば、安全とされている。) 先のメーカー文書では「Indirect contact substances」とは、物質と食品の間に機能性バリアが配置されているが、食品と接触する可能性があるもの→

2022-09-30 21:10:21
2SC1815J @2SC1815J

例えば「an indirect food contact approved adhesive」(間接食品接触が認められた接着剤)は、接着剤と食品との間に機能性バリアがあれば、剥がしたり再度貼ったりできるラベルを利用するパッケージに使えるかもしれないというような説明なのだが、これが21 CFRのどこから来ているのか不明。→

2022-09-30 21:11:07
2SC1815J @2SC1815J

食品に直接添加する物質ではないという意味で「indirect」だが、そのなかには「direct」「indirect」「incidental」に食品に接触するものがあるという解釈上の整理は、それはそれで分かりやすくはあるが、そのように分けた「indirect」接触について、21 CFRには定義がないように見えるのが困る。→

2022-09-30 21:11:36
2SC1815J @2SC1815J

「タイトボンドIII」や「ゴリラウッドグルー」に限らず、「indirect food contact」という語句が検索でヒットすることを考えると、以前はそうした語句がFDAの規定に見られたのだろうか。

2022-09-30 21:12:44
2SC1815J @2SC1815J

Googleでも「indirect food contact」に対して、「indirect food contact definition」や「indirect food contact examples」がサジェストされるくらいなので、米国でも「indirect food contactの定義って何なのよ」と思って調べている人は多いのだろう。

2022-09-30 23:37:10
2SC1815J @2SC1815J

ある接着剤会社のページ resinlab.com/adhesives/fda-… が言うように、「FDAは、接着剤とコーティング剤を直接または間接的に食品と接触させることを承認(approve)していません。代わりに、これらの製品の製造者は、特定の条件下でFDAに準拠していることを表明することができます」が正しいのだと思う。

2022-09-30 23:42:08
2SC1815J @2SC1815J

だから、kure.com/product/k1773/ のように「FDA(米国食品医薬品局)の規定(175.105)に準拠し、間接的な食品との接触が認められています」という説明はロジックがおかしくて、「準拠しているから、~が認められている」ではなく、「~であれば、準拠している」という順番だろう。

2022-10-01 01:05:16
2SC1815J @2SC1815J

「間接的な食品との接触であれば、FDAの規定(175.105)に準拠している」と考えたとして、「間接的な食品との接触」が「機能性バリアによって食品から接着剤が分離されている状態」のみを指すのであれば、事実上、その接着剤は食器の修理には使えないだろう。

2022-10-01 01:06:03
2SC1815J @2SC1815J

それは例えば、「ジャムが入ったガラス瓶の外側にラベルを貼るのに使える接着剤です」というようなもので、「食品と接触する可能性がある場所(食器のフチの割れの修理など)に使える接着剤です」ということを意味しないからだ。

2022-10-01 01:08:59
2SC1815J @2SC1815J

「間接的な食品との接触」(機能性バリアによって食品から分離されている状態)に加えて、これこれの使用条件であれば、FDAの規定(175.105)に準拠すると説明があれば、割れた食器の接着に使っても安全か判断できるかもしれないが、はたして「タイトボンドIII」や「ゴリラウッドグルー」はいかに。

2022-10-01 01:17:37
2SC1815J @2SC1815J

長々とツイートしてきたけれど、個人的には、昨日届いた「タイトボンドIII」で、もうお茶碗の修理を終えており、接着した箇所には食べ物が触れないようにして使うつもりなので、この件はこれにておしまい。

2022-10-01 01:25:10