テンペスト・オブ・メイヘム #9

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」

2022-10-13 23:08:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

KRAAACK!時間が凝縮され、互いの視界はハイスピードカメラじみて泥めいて鈍化した。二者が同時に着地した瞬間、サツバツナイトは側頭部にニンジャスレイヤーの踵を受けていた。凝縮した時間が解放される!「……イヤーッ!」「……グワーッ!」鮮血が円状に迸った! 22

2022-10-13 23:15:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

短打戦を制したのはニンジャスレイヤーである!しかしサツバツナイトは、それでも戦えていると言ってよかった。ニンジャスレイヤーの凄まじきカラテに、サツバツナイトは食らいついていた。かつて己が長くイクサを共にしてきたナラク・ニンジャのワザマエがヒントだった……! 23

2022-10-13 23:19:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」側頭部に蹴りを受け、その勢いで半回転して上下逆さになりながら、サツバツナイトはニンジャスレイヤーの脚を殴りつけた!咄嗟の打撃だ!「ヌウッ!」だがその必死が通った!怯むニンジャスレイヤー!サツバツナイトは床に頭頂部を接し、コマめいて回りながら蹴る!「イヤーッ!」 24

2022-10-13 23:22:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ヌウッ!」ニンジャスレイヤーは上半身を反らして躱し、そのまま手を床について蹴り返す!メイアルーアジコンパッソだ!一方サツバツナイトは逆さ蹴りから流れるようにやはり手を床につき、蹴り返した!メイアルーアジコンパッソ返しだ!「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」25

2022-10-13 23:28:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「「イイイヤアアアーッ!」」

2022-10-13 23:31:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グワーッ!」サツバツナイトは螺旋回転しながら吹き飛ばされていた。ナムサン。ニンジャスレイヤーはメイアルーアジコンパッソの最後、二倍速度で二回転の勢いを乗せて蹴りを繰り出し、サツバツナイトの肩に叩きつけていた。床を転がり、呻くサツバツナイト。ニンジャスレイヤーは一歩一歩近づく。27

2022-10-13 23:35:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「スウーッ……」サツバツナイトは肘をついて身体を持ち上げ、起き上がろうとする。その背中が震える。「……ハアーッ……」「ブザマ。オヌシはこの短き切り結びの間に儂に二度敗れた。即ち二百度敗れたに等しい」ニンジャスレイヤーは言い放ち、片目を渦巻かせた。足跡が燃え上がった。 28

2022-10-13 23:39:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「スウーッ……ハアーッ」「忌々しきチャドー呼吸はオヌシのブザマを長引かせるのみよ。二百度オヌシが儂に縋りつこうとも、儂はオヌシを二万度叩き潰す」「……スウーッ……ハアーッ……!」サツバツナイトは呼吸を深めた。空気が彼の周囲で渦巻いた。彼は立ち上がった。ナラクは前傾した。 29

2022-10-13 23:43:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

サツバツナイトはニンジャスレイヤーを睨んだ。流れるように、彼はジュー・ジツを構えていた。不用意に手を出しておれば、ニンジャスレイヤーは反撃を受けただろう。ニンジャスレイヤーは前傾姿勢に再びカラテを漲らせた。サツバツナイトは言った。「回数など問題ではない。オヌシは私を倒せぬ」 30

2022-10-13 23:47:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「言いも言うたり」ニンジャスレイヤーの背が沸騰した。「その身をもって、愚かな言葉を確かめるがよいわ」「……スウーッ」サツバツナイトは深く吸い、吐いた。「ハアーッ」彼の輪郭は橙色の光を強く帯びた。ナラクの中で、凄まじい重荷に耐えながら、内なるマスラダがフジキドに視線を返した。 31

2022-10-13 23:55:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

マスラダはただ頷いた。フジキドがなにを為そうとしているかは知らず、ただ、決断的意志の向かうところを理解した。(やってくれ)……ナラクの荒れ狂う炎はたちまちそれを遮り、無尽蔵の破壊衝動と憎悪を上塗りした。(((マスラダ。寝ておれ。此奴を滅ぼし、全ニンジャを!カツ・ワンソーを!))) 32

2022-10-14 00:01:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

アトモスフィアが張り詰めた。目撃者はブッダただ一人。「天には忌まわしきキンカク。地にギンカクの光。オヒガンが近い。かくなるうえは儂は自由。小僧は儂を活かす臓器として在ればよい」「……否。オヌシはマスラダ=サンと共にある。それがオヌシをオヌシたらしめるものだ」 33

2022-10-14 00:11:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ほざくがいい!かつてありし儂の残滓に過ぎぬニンジャよ!」ニンジャスレイヤーの背が高く燃え上がり、ジグラットの空虚な闇を照らした。「もはやカラテで抗うすべもなく、言を弄するばかりか!」「ならば確かめてみるがいい」サツバツナイトは手招きした。「来い。ニンジャスレイヤー=サン」 34

2022-10-14 00:18:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは地を蹴った。サツバツナイトはコンマ01秒に己の呼吸を圧縮し、強く吸った。彼はチャドーとなった。そしてジュー・ジツを捨て、両手を広げた。まるで柔らかいトーフを貫くが如く、ニンジャスレイヤーは容易くサツバツナイトの胸を貫き、心臓を摘出していた。 35

2022-10-14 00:24:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イエ!」サツバツナイトの赤い目が光った。ニンジャスレイヤーは訝しんだ。胸を貫き、背中側から腕を飛び出させ、脈打つ心臓を握りながら。サツバツナイトの肉体に残存するチャドーが、筋肉をなお駆動させ、赤黒い腕を咥え込み、動きを封じた。サツバツナイトは口を動かした。(モト!)36

2022-10-14 00:27:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

サツバツナイトの両腕が動いた。そしてニンジャスレイヤーの両側頭を、両掌で、挟み込むように打った。そしてそのまま押さえ込んだ。両手と胸の致命傷、その三点を通し、サツバツナイトのチャドーはニンジャスレイヤーの体内に吸い込まれてゆく!「AAAARGH!」ニンジャスレイヤーが咆哮する! 37

2022-10-14 00:31:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((おのれ……フジキド!)))ナラクの叫びが木霊する世界で、マスラダは焦点を取り戻した。そこはピザタキだ。窓という窓が割れ、赤黒く燃える鎖が店の中に入り込んできている。鎖はマスラダの両腕に絡みついている。鎖は店の外、ネオサイタマ各所のアブストラクト・オリガミから伸びて来たものだ。 38

2022-10-14 00:34:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……」マスラダは腕を動かした。それまで彼の身体を四方八方に引き裂かんとしていた力は、今、ある種の調和を取り戻していた。『ガガピー……オイ!通じた!』カウンターのUNIXモニタにノイズが走り、タキが映し出された。『いつまでも応答がねえから。何かヤバイ事になってるんじゃねえのか!?』39

2022-10-14 00:38:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「なってるが、どうにかする」マスラダは答えた。視線を動かすと、カウンターの上に赤黒のアブストラクトな影がアグラしていた。燃える影はマスラダを睨んだ。マスラダは睨み返した。「おれが臓器とか言っていたな」燃える影は言葉にならぬ呪詛を吐く。店を満たすアトモスフィア。チャドーの力か。 40

2022-10-14 00:44:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

今なら、鎖を御する事ができる。マスラダは直感した。部屋の中で絡まる鎖を、彼は内なる炎で溶接し、天井に突き刺した。クリスマス飾りめいて……否……そう喩えるにはあまりにサツバツとした鎖が店の中で静かに熱を持つ。外を見る。手を離しても、鎖の引力は保たれている。 41

2022-10-14 00:48:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『ニンジャスレイヤー=サン。サツバツナイト=サンは……』幼いナンシー・リンがマスラダの脚を掴み、見上げた。マスラダはナンシー・リンの頭に手を置いた。そして店のドアに向かった。ドアを開く。01の風とともに、現世の光景が飛び込んでくる……。……010001……。……01010……「イヤーッ!」 42

2022-10-14 00:51:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは掴んだ心臓ごと、自身の腕を引き戻した!彼の手は今、サツバツナイトの胴体、胸の中に位置していた。彼は深く呼吸した。「スウーッ……!」「……!」サツバツナイトの目の焦点が揺れ、ニンジャスレイヤーを凝視した。ニンジャスレイヤーは腕を引き抜いた!「イヤーッ!」 43

2022-10-14 00:55:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……!……ゴボーッ!」サツバツナイトは吐血し、膝から崩れた。胸の穴は無惨に焦げながら、溶接じみて塞がれていた。ダメ押しとばかり、ニンジャスレイヤーはサツバツナイトの肩を掴み、呼吸を深めた。「……フウーッ……!」体内に残存していたサツバツナイトのチャドーが還元されてゆく。 44

2022-10-14 00:59:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

全てのチャドーを吐き出し切ると、ニンジャスレイヤーはよろめき、呻いた。アブストラクト・オリガミのショックに続いて、チャドーへの拒否反応じみた衝撃の余波に、彼はしばし耐えた。霞む視界で、彼はサツバツナイトを見た。「後は……やれ!」「……ス……スウーッ……ハ、アーッ……」 45

2022-10-14 01:02:46