fromPerpSpaceさんによる、準結晶(2011ノーベル化学賞)の解説

非常に詳しく解説してくれています。 flour_doubletさんと佐藤健太郎さんによる簡単な解説→http://togetter.com/li/197011
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がっくん @perpQ

ちなみに84年の準結晶の発見は高温超伝導(86年),フラーレン(85年)と並んで「物質科学の3大発見」と呼ばれています。他の2つはノーベル賞をすでに受賞していたので、準結晶もいずれ、と思われていました(準結晶業界の人間だけかもしれません^^;)

2011-10-05 21:23:37
がっくん @perpQ

確かにそうですね。よく聞かれるので後でツイートします。RT @koichi1741: @fromPerpSpace 一般の人は、で、それでなんの役に立つの?とか言う人が多いかもしれません…

2011-10-05 21:26:05
がっくん @perpQ

準結晶は合金で発見されましたが、最近では高分子やコロイド粒子なんかも順周期的に並ぶことが知られていて、非常に普遍的な並び方であることがわかってきています。

2011-10-05 21:28:33
がっくん @perpQ

少々お待ちをwRT @271831410082: @fromPerpSpace 高次元結晶や縮小すると同じパターンが現れる話をしてください。

2011-10-05 21:30:55
がっくん @perpQ

準結晶に関しては大きく2つの興味があります。物性と原子が並ぶメカニズムです。物性物理は周期を大前提にしているので、準結晶は特異な物性を示すのではないかと期待されました。結果的には半金属的振る舞いを示すのみだったため研究者人口は減ってしまいました。

2011-10-05 21:39:35
がっくん @perpQ

今でも応用研究をしている方はいます。(触媒や熱電材料、マグネシウムの加工性の向上など)しかし「準周期性」を生かした研究はほとんどないです...残念.

2011-10-05 21:44:01
がっくん @perpQ

今の準結晶研究は主に「原子が並ぶメカニズム」に興味がもたれていると思います。これは純粋に科学で、すぐに応用につながるものではありません。(僕は工学系なんですけどね)。しかし不思議だと思いませんか!?どうして原子たちはペンローズ・タイルのような複雑な並びに収まるのか?

2011-10-05 21:47:23
がっくん @perpQ

とりあえずここでひとまず終わりにします。ご質問あればどうぞ。

2011-10-05 21:52:37
がっくん @perpQ

まずは高次元と自己相似のリクエストがあったのでそこから。

2011-10-05 21:53:14
がっくん @perpQ

ペンローズがペンローズ・タイルをどのように作ったのかは僕は知らないのですが、何通りか作り方があります。そのうちの一つが高次元法です。5次元空間中の超立方格子を考えそこから2次元の薄膜を切り出して投影することでペンローズ・タイルを得ることができます。

2011-10-05 21:58:39
がっくん @perpQ

簡単に2次元から1次元にしましょう。図を用意します

2011-10-05 21:59:28
がっくん @perpQ

1次元の準結晶を考えます。図の横軸が「物理空間」で実際に目に見える空間です。縦軸が「直交補空間」で目には見えない仮想的な空間です。この仮想的な空間に周期的な正方格子点を置きます。 http://t.co/ZuIsmGe7

2011-10-05 22:07:31
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がっくん @perpQ

ここから青い2本の線(窓)に挟まれた格子点だけを選んで物理空間に投影すると、1次元の準結晶にが得られます。ポイントは格子点の傾きが黄金比(1+√5)/2となっていることで。無理数の傾きであることからどこまで行っても周期が発生しないのです!

2011-10-05 22:11:40
植田 幹也 @mic_u

@fromPerpSpace ここがわからないです!なんでやー。→「このペンローズ・タイルの頂点に原子を置いて波を当てるとシャープな点が正五角形状に並んだ回折図形が得られるのです!」

2011-10-05 21:57:04
がっくん @perpQ

準結晶の回折図形がシャープなピークを示す理由は高次元法で理解できます。ざっくり説明すると、準結晶は(高次元中での周期構造×窓関数)なのでフーリエ変換はF[高次元中での周期構造]*F[窓関数] (*はconvolution)みたいな感じで計算できてδ関数が出てきます。

2011-10-05 22:16:57
がっくん @perpQ

自己相似性はシンプルに説明できないなぁ..

2011-10-05 22:39:17
がっくん @perpQ

先ほどの図の窓を狭くすると幾つかの格子点が取り除かれて、もともとの配列から黄金比だけスケールの異なった配列が得られます。これは準結晶が自己相似性を有していることを意味しています。ここからもう一つのペンローズ・タイルの生成法につな http://t.co/yR84dbR4

2011-10-05 22:45:01
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がっくん @perpQ

ペンローズ・タイルは2種類のタイルでできていますが、ペンローズ・タイル中のタイルをそれぞれ図のように分割すると黄金比だけスケールの異なった新たなペンローズ・タイルが生まれます。 http://t.co/u8CvSu5n

2011-10-05 22:52:21
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sin cos tan greener @greenerltd

@fromPerpSpace 幾つか質問をば。「準結晶が準結晶として定義できる最大のサイズはどのくらいですか?準結晶にも転位はあるのですか?」

2011-10-05 22:20:32
桑(退席中) @aki_kuwa

@greener21 @fromPerpSpace あ、それ自分も気になりました 「準結晶の単結晶として確認されているこれまで最大のサイズ」

2011-10-05 22:22:19
がっくん @perpQ

今のところ一番大きい準結晶はmmスケールです! I.Fisher et al., Mater. Sci. & Eng. A (2000) 294-296, 10-16 http://t.co/NHBjGSBF

2011-10-05 22:58:19
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がっくん @perpQ

準結晶中にも転位は定義できますが、通常のように運動することはできません。そのため金属であるにも関わらず非常に脆いです。(ちなみにバーガース・ベクトルは高次元空間中に定義されます)

2011-10-05 23:01:48
がっくん @perpQ

@mic_u 回折図形は周期的にはならないよ。よく見てね→ http://t.co/bYcbiGTM δ関数状のピークが現れる理由が(数学的には)高次元空間中の周期構造

2011-10-05 23:05:25
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shige @hshigema

@fromPerpSpace その意味では、なんでウイルスのキャプシドが、正二十面体構造をとるのか、は単純に少ない役者で大きな構造を作るため、みたいな言われ方をしてるので、興味あるよ。がっくんせんせ~

2011-10-05 22:06:34
がっくん @perpQ

局所的に正二十面体構造が安定になるところは共通したテーマですね!準結晶の場合はglobalにも秩序が発生しているのがおもしろいところです。 RT @hshigema: その意味では、なんでウイルスのキャプシドが、正二十面体構造をとるのか、

2011-10-05 23:09:16