虹霓のショータイム2022ハロウィン

🎩🌈虹霓のショータイム🌈🎩 @NIJIshow_

唐突な座長の申し出にイダは一応窘めるも、満更でもない声色と表情からは説得力を微塵も感じられない。

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「誰も来ないよ。鍵閉めた♡」 座長はそう言うなり、机に膝をついて身を乗り出すと、目を閉じて唇を少し突き出しながらキスを待つ態勢に入る。

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そんな愛しい恋人の姿に、呆れる間も無く思わず笑みを溢すと、彼に倣って上体を少し曲げ、自らも顔を近付けた。

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───唇が触れ合う寸前……

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ザァアアーーーーーー

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突然の大きな音と横から入った光に、2人は同時に目を開けた。 キスが中断された事でサックスのBGMも途切れ、ピンクだった照明も元の色味に戻る。

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「え、なに！？」

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音のする方を見ると、電源をつけていなかった筈のテレビが画面を光らせている。 かつてはロワの被り物だったテレビだ。

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「急につくとかめっちゃ怖いんだけど」 「昼間来た整備士に直してもらったばかりだろう？どうして…」

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怪訝な顔で話す2人を他所に、テレビの画面が再び切り替わる。

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──────────── 　雨雲が虹を覆い隠す日も 　　そう遠くないだろう 　　　　　 ────────────

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──────────── 　　　　　10.31 　　　　　 ────────────

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謎のメッセージと日にちが暫く映された後、プツンッという音と共に映像が途切れる。

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テレビは何事も無かったかのように静止した。

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「……、…今のは一体……」

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何も映らなくなった画面を呆然と見つめるイダの横で、座長がすかさず動きだす。

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何も言わずに胸元からドライバーを取り出すと、テレビの裏側へ回り込みカチャカチャといじり始めた。 チラリと見えた座長の真剣な表情から、すぐに何かを察したイダは、ただ黙って彼の作業を見守っていた。

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どうやらこちらに送られて来た電波を利用して、送り主の何かしらの情報を入手できないか探っているらしい。

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暫くすると、ザーーという耳障りな音と共に画面が再び明るくなり、よくある砂嵐を映し出す。

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座長はテレビの前へ移動し、画面の変化を確認しながらチャンネルを回していく。 彼の操作するツマミが、ある位置まで達した時、唐突に映像が切り替わった。

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「え……ちょっと待ってよ…」 画面に映る光景に、流石の座長も思わず眉を顰める。

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仮面やガスマスクで顔を隠した集団が、何処かへ目配せをしながら武器を手にしている映像だった。

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そして背後の壁に貼られた見覚えのあるサーカスのポスター。 彼らの居場所までは特定できないが、ご丁寧にナイフやダーツの矢が刺さったそれで、嫌でもこれから行く先を把握できてしまう。

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「彼らが此処へ来る、という事か……」