- cameoromen
- 9698
- 0
- 0
- 0
三人の高校生が、興味本位の好奇心から、面白半分でやってきました。そこは町中から少し離れた、雑木林の中にある建物で、夜の闇にとけ込むようにして、雑木林を背景に、2階建ての横に長い建物の輪郭が、見えた。 #kaidan2
2009-12-21 22:00:54この建物の、2階の一番奥の部屋で、首つりの死体が発見されて、その部屋に幽霊が出るというんですね。A君が持って来た、懐中電灯の明かりを頼りに、3人が建物に近付いて行くと、玄関口の、ドアが開いたままになっていた。懐中電灯の明かりを中に向けると、そこは、ロビーで・・・ #kaidan2
2009-12-21 22:01:42壁際に、型の古い清涼飲料水の、自動販売機が置いてある。あちこち錆び付いていて壊れているのがひと目でわかった。床にはたくさんの空き缶が転がっている。肝試しに来た連中が持ってきた缶に違いない。 #kaidan2
2009-12-21 22:02:54A君が、「おい、今おれ、思いついたんだけどさあ、ここでひとりずつ、恐い話をしてさ、この空き缶を持って、2階の一番奥の部屋へ行って、置いてくるというのはどうだ」と言った。 #kaidan2
2009-12-21 22:03:56言い出したのはA君ですから、A君が、まず最初に恐い話をしたわけだ。「じゃあ、おれ、この缶だぞ」と空き缶を1つ、つかんで見せた。そして、もう片方の手に、懐中電灯を握ると、ロビーの奥の階段を上がって行った。 #kaidan2
2009-12-21 22:05:19ジワッと冷たい汗がふき出して、背筋をつたって流れ落ちてゆく。恐怖心をおさえて、ゆっくりと後ろを振り向いて見ると、そこは、黒一色の闇だったんですよ。 #kaidan2
2009-12-21 22:11:50そのとき初めて、自分が真っ暗な闇の中で、たったひとりなんだと気がついた。懐中電灯の明かりは、前方を照らしているんで、気がつかないんですよね。前のほうは明るいから。でも自分の後ろは真っ暗なんですよねぇ。 #kaidan2
2009-12-21 22:12:47(いやだなぁ)と思った。通路を進んでいくと、幾つかの部屋の前を通る。どの部屋もみんなドアが開いたままか、壊されてなくなっているかして、真っ暗な室内がのぞいている。そこになにかが潜んでいて、今にも、ワッと飛び出て来るんじゃないかと思えて恐いんです。 #kaidan2
2009-12-21 22:13:31そうするうちに、懐中電灯の明かりの中に、一番奥の部屋のドアが照らし出された。 ドアには、吹きつけの黒いラッカーで #kaidan2
2009-12-21 22:14:03あれ?考えてみたら、ほかの部屋は、みんな入り口が開いているのに、このドアだけは閉まっている。 ノブをつかんで回すと、ゆっくりと手前に引いた。 #kaidan2
2009-12-21 22:14:59かすれた音を立てて、開いてゆく。懐中電灯の明かりを室内に向けると、床一面、ほこりに覆われていて、その片隅に、汚れたマットレスが、1つ、無造作に置いてあるのが見えた。一歩、二歩、三歩、A君が入って行くと #kaidan2
2009-12-21 22:16:27