近未来SFウォーゲーム「対衛星攻撃兵器:軌道戦闘」ASAT: Orbital Combat - レビュー
ASAT: Orbital Combat wargamevault.com/product/130998… は、近未来における地球衛星軌道上の宇宙機同士の戦闘を扱ったウォーゲームです。リンク先からPDF形式で販売。プレイには若干の工作が必要です(マップの印刷と組み合わせ。カウンターはお好みで)。
2018-06-16 16:17:25マップはできた。黒いのがオリジナルで、白いのは公式オプションのtoner-friendly version 黒バックのほうが格好いいけど、数字は白い方が読みやすいわね。 pic.twitter.com/GyjFljWNLY
2018-06-16 11:36:30マップには地球を中心とした衛星軌道がスクエアで区切られています。ゲームの単純化のため、本作では円軌道のみを扱い、楕円軌道や放物線軌道は扱いません。各スクエアは5,000kmに相当します。 pic.twitter.com/xzQ2ywt6qI
2018-06-16 16:19:06一番低い軌道Aが大気圏直上の地球低軌道(LEO)。ISSが周回しているのはこのあたり。ここから上がって準同期軌道、地球静止軌道、そしてその外側の墓場軌道までが本作の戦場です。衛星とその軌道を巡る攻防戦がテーマですので、扱う範囲はこのあたりになります。 pic.twitter.com/KRyJsvsYvv
2018-06-16 16:24:11ゲームスケールは1ターン1時間。1ユニットが人工衛星または有人宇宙機1機です。ユニットは各軌道にこんな感じで配置されます。ここで各軌道に振られている数字が本作のポイントです。 pic.twitter.com/sBA2ye29j5
2018-06-16 16:27:27各ユニットは、毎ターン現在の軌道上を、その軌道に記載されている数字(軌道速度)のスペースだけ反時計回り方向に自動的に進みます。写真に各衛星の1ターン後、2ターン後の位置をディスクで示してみました。地球に近い低高度ほど軌道速度が速く、遠ざかるほど遅くなります。これ、テストに出ます。 pic.twitter.com/Umz4EVQ6v9
2018-06-16 16:31:24余談ですが、ロケットは地球の自転速度を利用して自転方向に打ち上げられるため、特に指定のない限りは衛星の周回方向は共通です。逆軌道に遷移するルールもありますが、それ相応の推力と推進剤を必要とします。
2018-06-16 16:33:48さて本題はここから。では軌道上で推力を用いて加減速した場合はどうなるでしょう?今回はMiG-21 Orbital Variantに登場していただきました。高度22500kmに位置しているこの機体は、放っておけば現在の軌道を維持し、軌道速度である4スクエア進んで黄色ディスクの位置に移動します。 pic.twitter.com/LMsHFjWgSI
2018-06-16 16:39:18ここでMiG-21OVの最大推力である、3推力で加速した場合を考えてみます。軌道上で加速すれば、軌道が膨らんでより高い高度に遷移します。そして坂道を駆け上がるわけですから、これに伴い機体速度は減少。軌道速度と機体速度が釣り合う軌道に到達します。
2018-06-16 16:42:52これを本作の移動ルールでは、加速値に等しい数だけ外側の軌道に移動し(写真赤へクスマーカーの経路)、到達した軌道の軌道速度で前進することで再現します。3軌道分上昇して赤ディスクの位置に移動し、軌道速度は3に減少しました。
2018-06-16 16:46:45減速はこの逆です。減速すれば軌道速度を下回って落下しますので、内側の軌道へ遷移。この過程で加速し、機体速度は増加。やはり軌道速度と機体速度が釣り合う軌道に到達します。もちろん大気圏には落ちないよう注意しましょう。
2018-06-16 16:48:57こちらは先の写真では、青へクスマーカーから青ディスクへの経路に相当します。3軌道分降下して青ディスクの位置に移動し、軌道速度は6に減少しました。言葉で説明すると面倒ですが、移動ルールとしては加減速の分だけ内外に軌道を遷移し、到達した軌道の軌道速度で前進するだけです。
2018-06-16 16:53:41こちらは軌道速度を維持した場合(黄)、毎ターン1推力ずつ加速した場合(赤)、同じく1推力づつ減速した場合(青)それぞれの、4ターン分の軌跡です。加速するとどんどん遅れてゆき、減速すると加速するという軌道運動のパラドックスが、簡単なルールで見事に再現されています。 pic.twitter.com/INMRjs97Q3
2018-06-16 17:00:41このほかにドッキングや前述の軌道反転のようなレアケースの処理もありますが、移動ルールは実質上これだけ。衛星軌道上の機動戦闘という、ともすれば難解なルールになりそうなテーマを、ここまでシンプルにまとめたアイデアはさすがです。
2018-06-16 17:08:09理論上は降下加速して追い抜いて、上昇減速しながら追いつくのを待つか、上昇減速して一周後に追い抜かれたところで、降下しながら肉薄することになるんだと思いますが。
2018-06-16 17:18:05やはり空戦同様に位置と速度エネルギーのトレードオフなので、ヨーヨー機動的なテクニックが有効。今回は据え物切りかつ戦闘艇が最上位機種なので、タイミングを計って軌道を合わせられればばあとは作業。 pic.twitter.com/QnIapUl4uE
2018-06-16 19:08:20今回は上昇していったん追い抜かせた準同期機動の衛星を降下撃破。その後LEOまで降下して、残る衛星の撃破に成功。LEOの方は、大気圏に突っ込むので目標軌道を通り過ぎでから速度を合わせる機動ができず、頻繁に地中の陰に入ってロックオンが切れるので、完全にタイミング待ちになりますね。 pic.twitter.com/yXoWtNnbLR
2018-06-16 19:08:55しかしこの攻撃ルール、照準判定に成功しても、損傷判定で射線がすり抜けてスカになることが頻繁に起きるので、なかなかムカつくw 「大きいものほど当たりやすい」という理屈通りなんだけど。
2018-06-16 19:11:50@FORGER1999 全力機動で最短ターン経路を考えると難しいですが、ゆっくりタイミングを計る飛び方なら結構簡単でした。射撃は未来位置に弾幕を叩き込むイメージで、結構届きます。汎用の機関砲(2)、レーザー、レールガン、120mm砲(笑)(10)、ミサイル(遠近いろいろ)。照準ルールがキモです。
2018-06-17 08:21:40