数多一人140字小説まとめ

数多一人140字小説まとめ
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数多一人(山のあまちゃん) @amata_kazuhito

歌に恋して、ステージに恋して、歌を紡ぐその人に恋をする。 ダメとわかっていても、色んな"好き"を生み出すその人自身を好きにならずにいられない。 本当に恋なのかはわからないけれど、好きなことには違いない。 ただ、この"好き"は抱えていると、ただただ暖かい……

2017-07-17 17:01:59
数多一人(山のあまちゃん) @amata_kazuhito

「母親になる自信がない」 ずっと昔そう言って、彼の言葉から逃げ出してしまった。私には母がいないから、母親のなり方なんてわからないから。 今、私の娘が同じことで悩んでいる。この子には父親がいないからかもしれない。 だけど、私はいるから伝えよう。母親のなり方なんて誰も知らない事を。

2017-07-18 11:06:38
数多一人(山のあまちゃん) @amata_kazuhito

物が燃えてるのが好きだ。そう言うといつも危ない人なのかと思われる。別に火事が好きなわけではないし、生きたままの生物を燃やしたいとも思わないのに…… ただ、物が燃えた時、みんな違う香りがする。その香りがまるで、その物たちの一生を固めた空気のように思えた。 私もいつか良い香りに……

2017-07-19 15:12:49
数多一人(山のあまちゃん) @amata_kazuhito

子供はみんな魔法の世界を持っている。知らないことがあるから、わからないことが多いから、彼らの目には魔法が写ってる。 子供は知ることで成長する。科学の眼鏡を掛けながら、少しずつ目を曇らせながら。魔法の不思議は、科学の眼鏡を通らない。だからただの誤認にわけられる。 今も魔法はここに。

2017-07-19 23:07:06
数多一人(山のあまちゃん) @amata_kazuhito

運命の赤い糸が観測された。 まだまだ懐疑的な人も多いが、おそらくは本物だと思われるらしい。原理もわからないが、簡単な観測機でだれでも確認できる物だった。 だけど、私の糸は地面に繋がっていた。 運命の相手が元々いないのか、地球の反対側にいるのか、それとも…… 明日、旅に出よう。

2017-07-20 23:55:12
数多一人(山のあまちゃん) @amata_kazuhito

「ねえ、このマンションに幽霊が出るって噂知ってる?」 「なにそれ、初めて聞いた」 以前一人暮らしの女性が、結婚の約束してた彼氏に振られて自殺をし、幽霊になった話だ。 同じ建物に住む君は、意外と怖がりだったようだ。 「じゃあ、上の部屋に戻るね」 上の部屋が空き家だといつ気付くかな。

2017-07-21 23:15:51
数多一人(山のあまちゃん) @amata_kazuhito

花が枯れている。 三日前に来たときには紫の花が綺麗に咲いていたのに今では見る影もない。これが何の花なのか知らないけど、お気に入りの一輪だったのに…… 嫌なことがあった。どこにでもある、世の中に溢れている嫌なこと。 この花のように自分も…… ふと気付く、この花の奥に実があることを。

2017-07-27 20:54:24
数多一人(山のあまちゃん) @amata_kazuhito

「人生は麻雀に似てる」 そう彼は言っていた。努力すれば得られる物が多いが、どんなに努力しても運が無ければ全て盗られることもある、と。 彼は人生という麻雀でどんな努力をしたのだろうか?そして、今恋人に殺されているのは運が悪かっただけなのか? 「役満に振り込むのも意外と楽しいものさ」

2017-07-27 21:17:23
数多一人(山のあまちゃん) @amata_kazuhito

殴る。殴る。殴る。 とにかく八つ当たりが苦手だ。人でも物でも、自分勝手に意味もなく傷つけるのが、吐きたくなるほど嫌だった。 ある日適当な人形に自分の名前をつけた。そして、嫌なことがあるたび殴った。これは自分だから大丈夫。 ある日人形がなくなっていた。仕方ないから、自分を、壊した。

2017-07-28 22:07:05
数多一人(山のあまちゃん) @amata_kazuhito

チクチクチクチク。 もうすぐ彼との初デートだ。物語のように少し遅れて行くつもりが、一時間早く着いてしまった。彼がくるのが待ち遠しい。時計よ速く進め。 あと数分、心臓が飛び出しそうだ。もう少し落ち着きたい。ゆっくり進んで時計さん。 彼が来た!今この瞬間、最高に幸せだ!時計よ止まれ!

2017-07-28 23:56:14
数多一人(山のあまちゃん) @amata_kazuhito

世界で一番おもしろい小説を思いついた。 今すぐにでも文章に書き起こしたいと思い、いつも通りツイッターを起動した。 この小説に関して、わたしは真に驚くべき比喩を産み出したが、この140文字という枠に記すには余白が狭すぎるようだ。

2017-07-29 09:27:29
数多一人(山のあまちゃん) @amata_kazuhito

「あんたのこと、すいとうよ」 君がそう呟いた時、何を言われているのかわからなかった。東京から引っ越してきてまだ一年、知らない方言ばかりで困っていた僕を助けてくれた君。いつものように教えてもらおうとしたら、今は教えないと言った。 次にこの言葉を聞いたのは、僕が君に告白した時だった。

2017-07-29 21:27:21
数多一人(山のあまちゃん) @amata_kazuhito

君が好きで、君を応援したくて、誰よりも君の幸せを想っていた。 君に会うために何度も訪ね、君の歌に全力で答え、君の売りたいものは何でも買った。 だけど、何かが違った。僕はただ、君が好きなだけだったはずだ。 どこで間違えたのか悩みながら、目の前のアイドルグッズたちを眺める。

2017-07-30 23:44:45
数多一人(山のあまちゃん) @amata_kazuhito

眠い。なんだかとても眠い。 仕事が一区切りつくと、最近は猛烈に睡魔がおそってくる。集中してないつもりはない。むしろ、一息つく時まで緊張の糸が張ったままなのだろう。 それにしても眠い。だが、ここで寝るわけにはいかない。 殺し屋が現場で寝てるなんて、とんだお笑い草になってしまう。

2017-07-31 09:13:46
数多一人(山のあまちゃん) @amata_kazuhito

逃げる。逃げる。逃げる。 社会から、家族から、友達から、とにかく逃げる。 お金から、服から、道具から、心から、逃げる。 今まで積み上げた人生から、これから待ち受ける人生から、逃げる。 思い付く物全てから逃げたが、今の自分からは逃げられなかった。 さて、まずは誰を訪ねようか?

2017-07-31 17:16:22
数多一人(山のあまちゃん) @amata_kazuhito

どっと笑いがおきた。どうやらボケがうまくいったらしい。みんな笑っている。ほっと一息。 しかし、いつも通り彼だけはきょとんとした顔をしてるだけで、全く笑う素振りがなかった。 「君っていつも笑わないね?」 「だってさ、僕には君が泣きそうに見えるから」 そうか、私は泣きたかったんだ。

2017-08-01 01:39:34
数多一人(山のあまちゃん) @amata_kazuhito

ベランダのナスに虫が着いている。奴等はどこからやってきたのか? 近くに畑があるわけでもないし、そもそもここは二階である。どれだけ旅をしてここまで来たのだろうか? 生きるため、幸せのために旅をする。そんな生き方をはたして自分はできるだろうか? 彼等を尊敬しながら、そっと命を刈る。

2017-08-01 10:30:01
数多一人(山のあまちゃん) @amata_kazuhito

ここはどこだろう?私は誰だろう? 知らない部屋にいる。頭の中が霞みがかっているように、ぼやけて何も思い出せない。 もしかして、記憶喪失というものだろうか?となるとこの部屋は……もしかすると、自分の部屋かもしれない。 ふと、目の前の本棚にある知らない漫画を読んでみる。大笑いした。

2017-08-01 22:16:20
数多一人(山のあまちゃん) @amata_kazuhito

@plantsopera あの人と自分は正反対なところばかりだ。 私は几帳面で彼はズボラ。和食が好きな私と洋食好きな彼。服装のセンスや人付き合い、生活態度、趣味、みんな違う。 ただ二つ、同じところがある。一つはお互いを心から愛していること。そしてもう一つ、同じ性別だということ。 この愛を法では守れない。

2017-08-02 01:49:01
数多一人(山のあまちゃん) @amata_kazuhito

歌には世界を変える力がある。 世界といっても、地球上全てということではなく、自分が見てる範囲、知ってる範囲だ。知らない人、知らない場所は小説の世界と何が違うのか? 私は、私の世界を変えるため、歌を響かせる。 家族、友達、そして最愛の君。 君らの世界を明るくするため、私は歌う。

2017-08-02 13:49:26
数多一人(山のあまちゃん) @amata_kazuhito

きみの笑顔は月のよう 満面の笑みはまるで満月 声をあげれば半月みたい そっとこぼれる三日月笑顔 だけど君が輝く笑顔は新月笑顔 遠くで見つめる優しいまなざし 君は目だけで笑って見つめる 僕だけが知ってる優しいほほえみ 心を撫でる静かな笑顔 #140字詩 #月

2017-08-02 14:06:18
数多一人(山のあまちゃん) @amata_kazuhito

パンが焼けた香りがする。 今日も憧れの彼女に会いに、パン屋へ通う。花のように可愛い笑顔が咲いた。先週から名札が変わり、徐々に現れる指輪の跡が、僕の心を小さくこする。 「いつもありがとうございます。今日も美味しいパンが焼けましたよ」 今日もいただく。彼女のパンは美味しいのだから。

2017-08-03 17:12:50
数多一人(山のあまちゃん) @amata_kazuhito

「AIが愛を語るようになる、AIだけに」 「言っておくけど、アイと読んでラブを意味するのは日本と中国くらいだぞ」 「なるほど。じゃあ英語ならどうなるのかな?」 「アイだから……I、つまり自分について語るとか」 「じゃあ、合わせて自己愛について語るんだな!」 とんだナルシストだ。

2017-08-03 21:43:04
数多一人(山のあまちゃん) @amata_kazuhito

「みんな~!ありがと~!」 今日のライブも終わった。アイドル活動は想像以上に順調だ。何も問題はない。 だけど、最近はつい考えてしまう。私のなりたかったアイドルはこれだっただろうか?ファンの期待に答えているけど、違う存在になってないか?私は何者になった? 鏡を覗くと、仮面があった。

2017-08-04 00:22:21
数多一人(山のあまちゃん) @amata_kazuhito

どうやらタイムリープに成功したらしい。若かりしあの頃を薔薇色にするための努力が実を結んだ。 本当に20年前なのか確認しようと携帯を探したら、ポケベルが出てきた。コンビニに行こうとしたら、酒屋だった。家にパソコンすらなかった。 はたして、俺は本当にこの時間を生きていたのだろうか?

2017-08-04 08:23:07
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