毎月14日は『ツイノベの日』 2011/10/14お題「鉄道」
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#twnvday #twnovel 14の日は駅に着く。この列車に乗り始めて一年以上、今ではすっかりそれが当たり前の認識になった。扉はきっちり140文字ぶんだけ開いて、そこから何かが降りる月もあれば、素通りする時だってある。すべては気まぐれのまま、線路はまだ果てしなく続いている。
2011-10-14 09:39:14青春18きっぷを買った。「青春」という言葉に惹かれた。僕は電車に揺られ続けた。退屈な時間を持て余し、高校での自分の立ち位置について考え始めた。思考の淵に沈んでいて、向かいの座席に年老いた男性が座ったことに気がつかなかった。老人は言った。「悩め若人。それが青春だ」 #twnvday
2011-10-14 10:18:06#twnvday #twnovel ガタンゴトン。使い古された擬音だけれど、本当にそう聞こえるから不思議なものだ。どこか懐かしい感じすら覚える。出来ることならいつまでもこの音に揺られていたい。でも、旅には必ず終わりがくるものだ。揺れが止まった汽車から、星の野原へと足を踏み出した。
2011-10-14 10:18:44暗闇に沈む駅のホームに一人立つ。赤さびが付いた線路を草が隠しているが、昔は銀に輝くの線路だったなあ。やがて目の前に赤い電車が現れた。ドアから僕の大切な人がホームに降りて懐かしそうに手を伸ばす。「もういいのですか?」私は手を取る。「長い間生きた。もう充分だ」 #twnvday
2011-10-14 10:30:38「鉄道関係になるとは思ったけどまさか廃線巡りとはねぇ」「不満?」「じゃないけど、新婚旅行なんだからもう少しロマンチックっていうか」「え、前は電車が通ってたと思ったらロマン感じない?この線はさ」彼の講釈は始まると長い。…さて、昨日わかったことをいつ打ち明けようか。 #twnvday
2011-10-14 11:14:17この恋は山手線に似てる。ぐるぐる同じ所を回るだけで、ちっとも遠くへ行けない。絶望した右手で吊り革を掴む。左手は彼女の為にあけておいたが、その手は僕を頼らず下車してしまった。違う列車に乗り、僕の知らない場所へ行くのだろう。僕は一人、まだぐるぐると答えを探してる。 #twnvday
2011-10-14 11:14:50#twnvday 名前に『鬼』が入る駅には鬼が出るという。七歳未満の子が夜一人で駅にいると背後から「鬼の子にならんかえ」と老婆が声をかけるそうだ。だが決して返事をしても動いてもいけない。鬼の元に連れていかれるから。たとえ「もう角が生えとるぞ」と言われたとしても。 #twnovel
2011-10-14 12:04:09#twnvday 僕は君にいかれてる。でもYou drive me crazy なんて言わないよ。だって僕らは「乗り鉄」だもの。大宮の鉄博で出会い、青春18きっぷで旅をした。今日僕らは結婚し、特急のB寝台で最初の夜を過ごすんだ。なぜAじゃないかって? 狭さも時にはスパイスなのさ!
2011-10-14 12:14:19#twnvday 「貴方の次の相手は『鉄道使い』よ」「どんな奴です」「鉄道の路線に詳しいの。いつどこに行くにはこれに乗ればいい、みたいな。しかも世界中あらゆる乗り物対応」「そりゃ凄い」「でも、そんな彼にも致命的な弱点があるわ」「何ですか」「極度の乗り物酔いなの」 #twnovel
2011-10-14 12:20:25鉄道は人の夢を乗せて走る。ある時は空を走り、海を走って行く。鉄道は何処まで走り続けるか僕には解らないけれど、僕は未知なる世界を夢見て鉄道に乗り旅を続ける #twnvday
2011-10-14 12:26:11#twnvday 50を過ぎて恋をするとは思ってなかった。旅先であった同い年の彼女。古い映画の話で盛り上がり、たちまち僕の人生は生き生きと色づいた。「小さな恋のメロディ」みたいにトロッコをこいでいこうよ、ふたりで。僕らはもう十分に大きいけれど、冒険をするにはまだ遅くはないんだ。
2011-10-14 12:33:42#twnvday 自他共に認める「鉄子」の彼女。好きな作曲家はドヴォルザーク。鉄オタだった彼の「ユーモレスク」。初めの8小節は眠ろうとするときに走り出す列車の音を表してるんだと。「ふうん、君の家はさぞかしドボルザークだらけなんだろうね」「まあね」「行ってもいい? 鉄子の部屋に」
2011-10-14 12:55:39#Twnovel 一目みただけで僕はそいつが悪魔だと分かった。電車のボックス席に座っていると向かい側に急に現れた。彼は一冊の分厚い本を読みながらしゃべり始めた。「最近どうです。少し困ったことがあったりしませんかね」それを聞いて僕はこれが悪魔の囁きというやつかと妙に納得した。
2011-10-14 12:57:27#twnvday 男が線路を敷いていました。男は自分で敷いた線路を走る列車に乗りたいのです。男は毎日働きます。線路はどんどん延びていきます。ある日、ついに線路が完成しました。男は過労で死にました。男は棺に入れられ、男が敷いた線路を走る列車に乗せられて、故郷に送られていきました。
2011-10-14 13:06:36#twnvday 廃線の跡をふたりで辿った。学生時代、この列車であなたと恋に落ちたんだ。今はサイクリングロードのこの路を、あなたの背中を追い自転車で走る。4月の桜、5月の藤、紅葉の秋、ぼた雪の冬。列車の窓辺にはいつもあなたがいた。朽ちた駅名の看板をなぞり、また新しい旅に出よう。
2011-10-14 13:10:48窓の外にはきらびやかな地上の星空が広がる。そのひとつひとつには、ときめきの灯、調和の灯、不穏な灯、孤独な灯、終わりの灯、それぞれの灯りが灯る。それを見やりながら隣に座る君と暖める灯に対峙する僕。ふたりの灯はどう変容するか、まずは次の停車駅まで。 #twnovel #twnvday
2011-10-14 14:06:52廃線跡を見に行った。朽ちた枕木とバラスト、胸までも伸びた雑草の荒地。遠く野犬の群れと辺り一面を染める夕日が、不安を煽る。わたしはあなたにしがみ付き、あなたはそれを愛情だと勘違いして抱きかえす。不吉のサインもただ懐かしい思い出に変える、幸せだったふたり。 #twnvday
2011-10-14 14:29:30#twnovel 車掌さんが回ってくる。僕はそわそわと周りを見回す。どうしよう、捕まっちゃう。逃げようか。その時、隣からすっと切符が差し出される。「連れはもうこないわ。あげる、これ」お姉さんは鼻先で笑う。「帰りの切符もあるわよ。ちゃんと用意しといたのに…アイツ」 #twnvday
2011-10-14 14:31:37峠、とだけ名のつく駅を見に行った。倉庫のようなくらい駅舎に、申し訳程度の遮断機。ちいさなホーム横を、当たり前のように猛スピードで新幹線が通り過ぎた。あなたは嬉々として写真を撮りまくる。わたしはあなたが、ひょいと列車に引っかかり連れ去られそうで悲鳴を飲んだ。 #twnvday
2011-10-14 14:33:56単線に乗りに行こう!嬉々としてあなたが言った。収穫後の、キャベツ臭いキャベツ畑を抜け海に出る。まる一日を費やし、ただ行って帰った旅。あのね。わたしの田舎の最寄駅も、単線なんだよ。ぽつりともらした不満に、じゃあご挨拶に行こう、と彼は応えた。単線を見に、でなく。 #twnvday
2011-10-14 14:38:56彼は電車に乗ってった。どこか遠い星でなく、そこここに、嬉々として出かけまわっているに違いない。わたしは毎日、通勤で電車に乗る。もう涙は出ない。たたん、たたん、と感じる振動に微笑む。こんな素敵な朝は旅に出なきゃ!だなんて、誘惑して。あなたは今でも困ったひと。 #twnvday
2011-10-14 14:45:48きみは電車に乗ったとたん走り出す。誰に似たんだか。先頭車両の、いちばん前に行きたいのね?歌い出す。「発車~~オーライ~♪」それバスの歌…(笑)わたしはきみのちいさな肩を抱き、一緒にうたう。あかるく、あかるく、生きるのよ。 #twnvday (すいません禁じ手だなw)
2011-10-14 14:53:45絶望して列車に飛び乗った。あの世への直行便だ。車掌はちらりと僕を見たが、何も言わなかった。窓を過ぎる景色は思った程悪くない。早まったのかもと後悔していると車掌が来た。「次の信号で停車します。乗り続ける絶望とあの時の絶望のどちらを選びますか?」僕は迷わなかった。 #twnvday
2011-10-14 15:04:03鉄道が好き。線路も好き。この路はどこに向かうんだろうって想像するのが楽しくてしょうがない。環状線のようにぐるぐる回るの?それとも県を跨いで遠くに行くの?沢山の夢を運び続ける君が、本当に行きたい場所はどこなの?走る君を横目で見ながら、今日も私はトレインを口ずさむ。 #twnvday
2011-10-14 15:38:43#twnovel #twnvday 「もう少しで間に合ったのに残念ね」しかし実にどうでもよさそうに彼女は言葉を放り出す。お別れだわ。彼女の後ろでは鉄がぐずぐずと溶け出している。熱気が鼻にも口にも入り込む。列車はどんどん溶け落ちていく。お別れ?さて、僕が帰るのか、彼女が還るのか。
2011-10-14 15:41:06