- kankancank28207
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いんたーねっとRAFちゃんねる
牛肉を焼いた時に出る脂肪をドリッピングと言い、イギリスではこれを貯蔵してパンに塗りつけたり、料理用の油として再利用する習慣がある。 ところがこのドリッピングが元で大騒動になった事があった。それが、リーズのドリッピング暴動。 pic.twitter.com/o8uGQMErPF
2022-12-29 08:30:391865年、イングランド北部ヨークシャーの大都市リーズの治安判事チョーサーに仕えていた女料理人、エリザ・スタッフォードは、料理の副産物として得られるドリッピング0.9キロを地元の洋裁師に売った 使用人がこうした役得にありつく事は当時珍しくなく、たとえば執事なんかはワインをがめてたりする
2022-12-29 08:34:25ところがチョーサーはこれを見てカンカンになった。 「泥棒メイドめ! 訴えてやる!」 こうしてスタッフォードは起訴される事になった。彼女からしたら理不尽極まりない。 「職務上の謂わば副産物です! 皆やってる事ですよ!」 「黙れ! 小さなことでも何度もやれば多額の損失だ!」
2022-12-29 08:36:16黙認されてる慣習とは言え、大真面目に盗難で訴えられたら確かにそれはそうなので、スタッフォードは有罪となり、禁錮一ヶ月となった。 このニュースはリーズじゅうに広まり、主に貧困な階層の人達を激怒させた。 「ドリッピングひとつで労働者を刑務所にぶち込むとは、なんてケチ臭い野郎だ!」
2022-12-29 08:39:14街中にチョーサーを侮辱する文言が書かれ、すれ違う人達から彼は侮辱を受けた。ドリッピング! ドリッピング! と彼はからかわれたり、囃される。 「何でこんな事に! 私が何をした!」 リーズは貧富の差が激しい街で、富める者が貧しい者にお目溢しをするのは暗黙の了解。彼はそれをしなかった。
2022-12-29 08:42:50ドリッピングの代償は高くついた。チョーサーの家の壁にも落書きがされ、外出してもしなくてもドリッピング野郎と大声の合唱に彼は追われる。今や彼は街一番の嫌われ者だった。 そしてスタッフォードが釈放される日、15000の群衆が午前9時から刑務所の前で待機する。
2022-12-29 08:45:03しかしスタッフォードは午前7時に釈放されており、リーズを後に彼女の故郷に向かっている最中だった。 肩透かしを食らった群衆は振り上げた拳のおろしどころに困る。 「ドリッピング野郎の家に行くぞ!」 ヒロインを迎えて大騒ぎする予定だった群衆は別の方向にシフトした。
2022-12-29 08:47:13チョーサーの家の周りは既に700人ほどの群衆に囲まれて雪玉をひたすら投げられていた。そこに本体が合流すると、もうタダでは済まない。投石が始まる。家の中でチョーサーはガタガタ震えた。 「殺される! ドリッピングのせいで殺される!」 流石に看過できないと警官隊が駆けつける。
2022-12-29 08:49:16「お前らもあのドリッピング野郎の味方か!」 完全に暴徒と化した群衆は警察にも投石を始め、衝突した。 「抑えられません! 軍隊の投入を!」 リーズ市長は最早警察ではどうにもならないと、近くに駐屯していた第8騎兵隊に救援を要請し、何とか暴動は収まった。死者1人、負傷者多数の大騒動だった
2022-12-29 08:52:22暴動が終わると、群衆は自分達のやっていた事があまりにアホらしい事に気づき、この事を忘れたがった。渦中のチョーサーも2度とドリッピングに関して口にしたいとは思わなかった。暴動の参加者で逮捕されたのは1人で、僅か一週間で釈放される。 法は法として、民衆には独自のバランス感覚がある。
2022-12-29 08:54:36それが蔑ろにされたと感じた時、民衆による私的制裁のスイッチが入るし、一度入れば民衆にもそれは止められない。行くところまで行って暴力を振るって発散するまで止まる事はないし、終わった後も懲罰的な事をやれば再度燃え盛る。 法は民衆のバランス感覚の後追いをしているのね。
2022-12-29 08:56:41この一連のツイート、1865年の出来事らしいんだけど、まんまインターネットでよくある光景で読んでて嫌な汗がでる… twitter.com/elizabeth_munh…
2022-12-29 15:32:50かなりうろ覚えだが、昔は枝肉は解体業者の取り分だったが、ダイエーの中内功がそれで争って、精肉業界と関係がかなり悪化したとかなかったかな。古今東西よくある話なのだと思う。(こっちは暴動にはなってないと思うが twitter.com/elizabeth_munh…
2022-12-29 14:45:02@elizabeth_munh 第二次大戦中のアメリカでは廃油からグリセリンを抽出して弾薬を作っていて、家庭廃油の回収を積極的に行っていました。ディズニー短編の「Out of the Frying Pan and into the Firing Line」など有名ですが、廃油を肉屋に持っていくと配給キップを余分にもらえたそうです。 pic.twitter.com/dsMg9DFfSe
2022-12-29 13:11:51@elizabeth_munh 宗教絡みかと思ったら、なんかイギリスらしい話だった。階級社会ではあるけど下層には下層の矜持、上層には責任が建前としてあるのは面白いですよね。
2022-12-29 10:41:07@elizabeth_munh イギリス今いるのでちょっと興味持ってみてみたら、今でも聞いたことあるような話で、歴史の意義を感じました!面白かったです
2022-12-29 12:00:25@elizabeth_munh 本題とはクッソ無関係も、アメリカドラマのナイトライダーで化学廃液を不法投棄してる悪徳業者の 「業界における二つ名」である「垂れ流しのジョン」をグーグル本格にかけたら、 「drooling john(ドリッピング ジョン)だったのを思い出しブヒ (「その筋」では有名人)
2022-12-29 10:01:39海外(アメリカ)のバーベキュー料理動画によく出てくる。そこに出てくるドリッピングは「WAGYU(和牛)」だった。 twitter.com/elizabeth_munh…
2022-12-29 19:32:42