岩波書店『定本 漱石全集』注釈を校正する。随分怪しいことだらけ。

良く調べてみると引用文の言葉が入れ替えられていたり、典拠が怪しかったりと。
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“岩波書店『定本 漱石全集第三巻』注解は、 浮世の勧工場  「勧工場」は今日のデパートの前身で、種々の商品の販売所。 (『定本 漱石全集第三巻』岩波書店 2017年)  ……としている。” 岩波書店・漱石全集注釈を校正する45 @mokuhyokabuka #note note.com/kobachou/n/n1a… pic.twitter.com/wyRPwnROUK

2023-01-04 08:50:31
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“これはデパートというより、商店街や闇市、ショッピングセンターに近いのではなかろうか。” 岩波書店・漱石全集注釈を校正する45 だんだらの赤毛布は浮世の勧工場 |小林十之助 @mokuhyokabuka #note note.com/kobachou/n/n1a…

2023-01-04 08:51:01
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“この「銀箭」に岩波書店『定本 漱石全集第三巻』注解は、 銀箭  本来の意味は水時計・漏刻の目盛りである銀製の矢・棒。夕立のはげしい雨脚を表現して幸田露伴が『魚』の中で「豪雨銀箭の如くに降り」と用いた。

2023-01-04 08:44:17
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“(『蝸牛庵瑣談』明治三十八年一月「心の花」初出。『潮待ち草』東亜書房、明治三十九年に収載)。漱石の用法は露伴の用法によるか。久保忠夫『三十五のことばに関する七つの章』(一九九二)の二三三頁を参照。現在ではこの用法は定着している。 (『定本 漱石全集第三巻』岩波書店 2017年)

2023-01-04 08:44:58
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“まず疑われるのは漢籍に既に「銀箭」の雨の意味での転用がなかったかということだ。漢学の知識のない者が文字面だけで「銀箭」を雨のイメージで捉えなおしたと考えることがむしろ不自然であろう。

2023-01-04 08:45:49
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“それに幸田露伴の性格を考えれば、むしろ本来の字義に拘る方なので、自分勝手に根無し草のアクロバティクな用法を編み出したとは考えづらい。” 岩波書店・漱石全集注釈を校正する46 |小林十之助 @mokuhyokabuka #note note.com/kobachou/n/nb1…

2023-01-04 08:46:22
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“当然漱石が今今幸田露伴がひねくり出したばかりの珍表現を真似るものでもあるまい。まず「銀箭」の雨の意味での転用は明治以前にさかのぼることが出来るという前提で、あせらずじっくりと調べ直すことが必要ではなかろうか。”

2023-01-04 08:46:58
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“岩波はこの張本毛剃九右衛門に関して、海賊で、貿易商人と称していたと註釈をつける。これでは「実は慷慨家かも知れない」というところがつながらない。” 岩波書店・漱石全集注釈を校正する50 毛剃九右衛門の豆腐屋主義は西郷隆盛|小林十之助 @mokuhyokabuka #note note.com/kobachou/n/n0e…

2023-01-04 08:40:16
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“つまりいわば爆笑問題の時事ネタ毒舌漫才のような形で、近松近松門左衛門が張本毛剃九右衞門というキャラクターを際物として創造して、政治批判をしたという事実が抜けている。” 岩波書店・漱石全集注釈を校正する50  @mokuhyokabuka #note note.com/kobachou/n/n0e…

2023-01-04 08:41:08
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“岩波はこの「木強漢」に「一本気で飾り気のない男のこと」と注を付ける。これでは意味が通じない。「親の恩、兄弟の情、朋友の信、これらを知らぬほどの一本気で飾り気のない男ではない」? これは「一本気で飾り気のない男のこと」ではなく、素直に無骨ものという意味であろう。”

2023-01-04 08:35:15
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“岩波の注、そして広辞苑のみにある「飾り気がない」というニュアンスがいくら探しても見つからない。ここからは推測だが、「飾り気がない」というニュアンスが含まれる文字に「木疆」があり、「木訥」と同義とされている。この「木疆」「木訥」の意味が「木強漢」にまぎれこんではいないだろうか。”

2023-01-04 08:36:07
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“漱石が『野分』で用いた「木強漢」のニュアンスは「情を解せず義を知らざる木强漢の徒」という『和文評釈』のものと近かろう。” 岩波書店・漱石全集注釈を校正する53 ビステキの立て引きは木強漢、暗い所でくさくさする|小林十之助 @mokuhyokabuka #note note.com/kobachou/n/n58…

2023-01-04 08:36:40
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岩波書店・漱石全集注釈を校正する55 のんべんぐらりん念晴らし高柳周作は折れべきもの|小林十之助 @mokuhyokabuka #note note.com/kobachou/n/nc5…

2023-01-04 08:29:31
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“岩波はこの「世の中と自分の関係が……」に注解をつけ、北村透谷の恋愛観を紹介している。 北村透谷『厭世詩家と女性』には次のようにある。「恋愛は一たび我を犠牲にすると同時に我れなる「己れ」を写し出す明鏡なり。(中略)双個相合して始めて社界の一分子となり、社界に対する己れをば明らかに…

2023-01-04 08:30:54
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“これは正確には、 「世界は一たび我を犠牲にすると同時に我れなる「己れ」を写し出す明鏡なり。(中略)双個相合して始めて社会の一分子となり、社会に対する己れをば明らかに見る事を得るなり。 透谷選集 北村透谷 遺稿||島村抱月 等編新潮社 1914年”

2023-01-04 08:31:28
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“つまり「世界」が「恋愛」にすり替えられている。それともどこかに別の版が存在するのだろうか。それにしてもこの引用には珍しく出版社と出版年がない。  ここはどういう了見か漱石の恋愛論を無理に北村透谷の社会と己との関係論に当て嵌めてしまってはいまいか。”

2023-01-04 08:32:02
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“悪意があるとは思えないものの、この引用は失敗している。その代わり、白井道也の恋愛観の補足説明としては都合よくでき過ぎている。これが査読論文の一部、参考文献の例示であればどうだろう。都合よくできすぎている分だけ、なかなか言い訳のできないところではなかろうか。”

2023-01-04 08:32:28