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@SEI__jou
鹿児島県の離島・甑島で年に一度、大晦日の夜にだけ仮面を被った神々が家々を訪れ、子どもたちを戒めては励ます来訪神行事「トシドン」を拝見いたしました。 鹿児島らしく焼酎で歓待されてちょっといま上手く書けないけど、感動して泣いてしまった。一生忘れられない、物凄い行事でした。 pic.twitter.com/LNIZXvqx2F
2022-12-31 22:24:40
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@SEI__jou
波と風の音しか聞こえてこない暗闇の中、壁や戸を叩いて家々をめぐる異形の神々。トシドンさまを敬う子どもや大人たちの敬虔な心持ち。トシドンさまに限らず、生活のあらゆる場面に感じられる信仰。「絶対に観光行事にはしない。年に一度、子どもたちのためのもの」という島の人々の固い意志。 pic.twitter.com/FxcHmxk68g
2022-12-31 22:29:36
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ただ子どもたちを脅かすだけではなく、美点を褒め、餅を授けて一年の無事な成長を願うトシドンさまの親心。高校進学とともにほぼ全員の子どもたちが島を離れる離島にあって、トシドンさまになる親御さんたちが持つ燃えるような親心。それに向き合うかのように、真剣にトシドンさまに向き合う子どもたち pic.twitter.com/KDxVPe2gea
2022-12-31 22:34:26
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あとでまた整理して書きたいけれど、今晩見聞きしたこと、まっ暗闇のなかトシドンさまたちとこの島を歩いたことを、わたしは一生忘れないと思う。 pic.twitter.com/aV9MhKNnPI
2022-12-31 22:40:07
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@SEI__jou
鹿児島県の西岸、九州本土から約30km離れた下甑島で、大晦日の夜に村の男たちが仮面をかぶって「トシドンさま」（年殿様）と呼ばれる神様になり、家々を訪問して子どもたちを叱り、褒め、歌わせ、餅を授けて帰ってゆく…。 「甑島のトシドン」、記憶が薄れないうちにメモしておきます。（長文） twitter.com/SEI__jou/statu… pic.twitter.com/5RBq4sL9Wb
2023-01-04 20:43:23
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@SEI__jou
夜道を歩いてきたトシドンさまたちは、壁や扉を激しく打ち鳴らして家に乱入してくる。この時点で迫力が凄い。 「おるとかおるとか」 「早う開けんか早う開けんか」 訪れたのは、兄妹喧嘩が多いという兄と妹の住む家でした。 pic.twitter.com/NjMx62XodX
2023-01-04 20:47:58
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父母の言うことを聞いているか、と聞かれ「はい」と答える兄。しかし兄妹喧嘩について追及されると固まってしまう。 「嘘はいかんぞぉ」 「兄妹喧嘩が多いのぉ」 「空から見とるぞぉ」 兄は肩を強張らせ、ぬいぐるみを手にしていた妹はポロポロ泣き出してしまう。 pic.twitter.com/rqqpGVdsj6
2023-01-04 20:53:50
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すかさずトシドンさまは、兄妹の良いところを褒めだす。 「○○ちゃんは優しくなったと聞くが、ほんとうか？ まわりの人の言うことを聞いてやさしくできるようになったと」 「いい事だねぇ」 「良か良か」 pic.twitter.com/8OPsw45gsc
2023-01-04 20:57:31
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トシドンさまは子どもたちが歌わないと帰らない。促された兄は、涙声の妹の肩に手を寄せ、ふだん喧嘩ばかりの兄妹が必死に歌った。 「迷子の迷子の仔猫ちゃん…」 「…にゃんにゃんにゃにゃん」 「おう頑張った頑張った、上手上手」 見守るトシドンさまの眼に、親心が溢れていた。 pic.twitter.com/h1RXQ2L7so
2023-01-04 21:04:32
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最後にトシドンさまは餅を授ける。お年玉の原型を残すともされる年餅、それは子どもが数え年で無事に年をとったことを寿ぐもの。 トシドンさまに背負わされた餅を、子どもは落とすことなく這い這いして両親のもとに届けなければならない。 「上手上手」と褒めそやすトシドンさまたち。… pic.twitter.com/OFOTlv2scc
2023-01-04 21:11:16
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@SEI__jou
両手を広げ、固唾を呑んでわが子を待つ両親。 子どもがトシドンさまの許から親御さんの懐に抱かれるまでの数十秒が、わたしには何分何十分にも長く感じられた。
2023-01-04 21:12:58
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@SEI__jou
兄妹は自ら扉を閉めてトシドンさまたちを見送る。自分の手で固い障子を閉める兄。兄を手伝おうと前に出るちいさな妹。 きっと神さまたちは、この兄妹に何かとても大きなものを残してくれたに違いない。人を思いやる心に満ち溢れた空間だった。 pic.twitter.com/foPPmmCQwC
2023-01-04 21:18:14
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家々をまわり終わった後で、トシドンさまになっていた人々や地域の方々と、焼酎片手に夜半まで呑み明かした。 「トシドンはねぇ、昔から子どもを脅かすだけやない。必ず褒めるんです」 「そやねぇ。子どもを励まして餅をあげんとトシドンやない。あくまで子どもたちのための行事やからね」
2023-01-04 21:22:26
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「早くに文化財指定・ユネスコ登録になって、大晦日の甑島以外でも他所のステージの上でやってくれ、とか色々言われましたが、全部断りました。 子どもが少ないから、子どものおらん家をまわる言う話も出たが、それもせんかった。あくまで年取りの神さまが、子どものためにやる行事やからね」 pic.twitter.com/gZgwbZ7vEn
2023-01-04 21:25:37
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「もし見世物みたいになっても存続できんようになったら、いくら文化財だユネスコ指定だと言っても、もう絶やしてしまった方がいい」 この令和の世の中に、イザイホーのようにして行われる行事が今も残っているのです。
2023-01-04 21:27:46
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大晦日の午前中、トシドンさまが歩く手打の集落を散歩していた。お墓の手入れをしていたおばあさんが教えてくれた。 「ここはねえ、お盆や正月だけでなくて普段からお墓の掃除をして、花やら何やらで飾り立てるところなんです。門松だって立派でしょう。こんなのは中々ない」 pic.twitter.com/OfEEFcCrHQ
2023-01-04 21:31:50
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「トシドンさまだってそう。ここは良いところでしょう。信仰があるから。 ただ本土が遠いから、どうしても若い人ほど本土に出て行って帰ってこず、空き家ばかりになってゆく。でもこればかりは、どうしようもないね」 pic.twitter.com/LtcPUChNlI
2023-01-04 21:36:20
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おばあさんははっきりと「信仰」という言葉を使った。 トシドンさまや門松の背景には、西洋や中東のような体系だった信仰体系はおそらく存在しない。が、これも、これこそが「信仰」に値するものだと強く思う。 pic.twitter.com/FlsH3PUBcL
2023-01-04 21:39:43
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トシドンさまには地元の中学生たちがついてまわる。鉦を鳴らし、トシドンさまの歌を歌う中学生たちのまっすぐな眼が忘れられない。 島には高校がない。今回も来年度、本土の高校への進学が決まった子が参加していた。 pic.twitter.com/Owxyh0GmiS
2023-01-04 21:46:51
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焼酎片手に大人たちが語った。 「もう何十年も経つけど、高校に進学するわが子を本土に見送った時のことは忘れられんね。もう辛かならんように、泣くんを抑えるので必死で」 「今でも思い出すと泣けてくるねぇ。この島で親になれば一度は経験することやけど」
2023-01-04 21:49:51
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「自分の子らには言うて来たんです。『お前らは人より3年早く世間を知っとる。それだけ得をしとるんやから、胸張って生きろ』って」 「島の子はねぇ、高校で島離れるだけにしっかりしとりますよ。立派なもんです」 pic.twitter.com/jbkHeT2qSf
2023-01-04 21:53:19
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「甑島のトシドン」。正直なところ知れば知るほど、特異というより「普通」の正月行事だという感が芽生えてくる。年神さまが家を訪れる、正月ともに人が歳をとる。どれも日本全国で見られる、普遍的な観念だ。 では何がこの行事を特別たらしめているのか。
2023-01-04 21:57:53
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@SEI__jou
本土から隔てられた険しい地形（下甑島はほんとうに山ばかり）のなかで育まれた、島人の真摯な信仰心。そして、高校進学とともに子どもが旅立って行く島にあって、親たちが持つ燃えるような親心と、それに小さい頃から接する子ども心。 これなんだろうと思う。 pic.twitter.com/ceJfmQBVzz
2023-01-04 22:02:14
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@SEI__jou
保存会の会長さんは、「見世物として広がって欲しくはない。だけれどもこういう厳粛な行事があることが知られて欲しい、という気持ちはある」と仰り、県内の小学校の授業でトシドンについて語ったことを誇らしげに語ってくれました。 いまの日本に、こんなに厳粛で真摯で、胸の熱くなるような
2023-01-04 22:05:58