- rouillewrite
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「おや、私がいつ。全てあなたに話したと言いましたか?それとも手を貸しているから、どうにかすると思いましたか?」
2023-01-22 21:05:34声のその言葉に、少年はぐっと言葉を詰まらせる。 考えるように視線を右往左往させ、目の前の声がほくそ笑んでいるのを認めると、口を開いた。
2023-01-22 21:06:37「…けど、あの人は…どうして復活出来たんですか。実際、眠っていたという話も聞きました」 「そうですね…あまり、私も憶測で話すことは得意ではないのですが。」
2023-01-22 21:07:06そう前置きし、声の主は右手を自分の顎に当てる。 反対の手を近くにいるバクの頭に手を添えると、そっと撫でながら続けた。
2023-01-22 21:07:54「どうやらこのバクたちが影響したようで。 ここを訪ねたヒトの記憶…夢を食べてしまったのでしょう。 夢を食べたバクたちを、傍観していただけのヒトたちが倒したのか…いずれにせよ、元凶はそれと見て良いでしょう。 私としても予想外の結果でした」
2023-01-22 21:08:31「…殺したに等しいです。もし、ここで亡くなる人がいるなら…それは、全てオレのせいです」
2023-01-22 21:10:53「ヒトって自分で罪を増やすの、お好きなんですか? しかし、否定はしませんよ。 ここは貴方が作り上げた世界。 ここを夢と表すことも、現と表すことも貴方が決めることです」
2023-01-22 21:11:34声の主はそっと手をおろし、両手を膝の上で組んでじっと少年を見つめる。 少年は俯き、自分の足元を見つめながら小さく口を開いた。
2023-01-22 21:12:46「…ここは、現です。亡くなった人は、返ってこない。事実であることに変わりないです」 「…ふっ。あぁいえ、やはり貴方もヒトなんですね。愚かなことを理解しても尚、欲を押し通そうとする」
2023-01-22 21:13:32そう微笑んだかと思うと、声の主は立ち上がって窓の方へと歩んでいく。 ガラリと開けた外は、夜だ。 風が少し強い。この教室から見える正面の校門を見つめ、身体を窓の方に向けた彼は、首だけを少年に向けた。
2023-01-22 21:14:27夜に受けた痺れを感じるようなそれで、神薙焔楽はふっと意識を浮上させる。 ふわふわと微睡む中でするりと目を開くと───自分の腹部から温かい何かが引いていくのがわかった。
2023-01-22 21:18:34