ビヨンド・ザ・フスマ・オブ・サイレンス #2

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
0
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(殺すべし……ニンジャ殺すべし)ゾッとする呪詛がシルバーキーの意識に絡みつく。(全ニンジャ!殺すべし!)(来やがったな)シルバーキーは警戒した。しかし先程のように逃げたりしない。赤黒い輝きになおも近づいてゆく。(殺すべし……ニンジャ殺すべし……)(おい、望みを叶えてやるよ!)26

2011-10-27 23:09:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『おい、望みを叶えてやるよ!』「!」フジキドは身構えた。外からの声ではない。ニューロンに直接響く声だ。ナラクのものではない。となれば精神攻撃か?彼はかつてのトコロザワピラーにおける恐るべき戦闘を思い出した。新手の敵!『待った!俺は敵じゃない』声は慌てて言葉を継いだ。 28

2011-10-27 23:20:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何者だ!名乗れ」『……ド、ドーモはじめまして、俺はシルバーキーだ。あんたの……多分、魂だな、あんたの魂が見えるんだ。今、俺はずっと遠くにいるんだが、あんたの魂を見つけて、それでこうして話しかけている』「魂だと?」『そうだ。"ニンジャ殺すべし"っての、アンタだろ』 29

2011-10-27 23:27:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何……?」フジキドは眉根を寄せる。ナラク・ニンジャのニンジャソウル存在を嗅ぎとったとでも言うのか?「何者だ、オヌシは」『俺にもまだよくわからん。つい最近なんだよ、こんな事ができるようになったのは。アンタの魂が遠くからわかるんだ。本当だ。うまく説明できないが信じてくれ!』 30

2011-10-27 23:34:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

フジキドは声の主ののっぴきならぬ焦燥に気づく。「目的は何だ」『助けてほしい!"ニンジャ殺すべし"って言ってなかったか?ニンジャを殺してくれ!実際ヤバいんだ!』「そう言うオヌシもニンジャでは無いのか?このようなジツを使うなど」『……』「図星か」『俺、俺の事は助けてくれ!頼む』 31

2011-10-27 23:39:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

なんたるワガママ!理屈も何もあったものではない。フジキドは呆れた。だがその軽率な有様、かえってそれは罠や陰謀の類から程遠い物とも言える。「もう少し詳しく話せ」『時間が無いんだ!俺の身体は頭のおかしいニンジャどもにヒラキにされかかってる!理由もわからない。いきなり襲われた」 32

2011-10-27 23:49:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「いきなり襲われた?」『そうなんだ!俺の力が要るとか何とか。ええと、俺はこうやって他人の心に潜行したりできてさ、ええと、それを悪用するんじゃないかな?でもなんで手術?手術ナンデ?狂ってやがる!』「落ち着け!」『マジでヤバいんだ。礼はする。出来ることならなんでもする。後で!』33

2011-10-27 23:56:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「そのニンジャどもの事はわからんのか」『……パープルタコ、サージョン、ザイバツ、シテンノ、ギルド。会話に出てきた固有名詞つったら、それぐらいのもんで……』「ザイバツ」フジキドは目を見開いた。「……ザイバツか」『ああ。ザイバツ、ザイバツだ。アンタ、何の事かわかるか?ヤバイんだ』34

2011-10-28 00:01:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「よかろう」『助けてくれよ!頼む!……え?』「よかろう」フジキドは繰り返した。「どこだ、そこは」『本当に?マジで?』「どこだ!そこは!」『ア、アッパーガイオンだ!地表エリア、ドラゴン区画!来てくれ!後でもっと詳しくガイドするよ……アンタは?』「……アンダーガイオン第二層だ」 35

2011-10-28 00:12:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

左様、たった今フジキドは、最下層コフーン遺跡からの旅を終え、第二層のリフトを降りたところだ。『第二層か……畜生間に合うかな……頼むよ……急いでくれ頼む……畜生ヤバイ……』「せいぜい祈っておれ」『ブッダ……』「約束を忘れるな。タダでは無い。オヌシを生かす保証もせぬ」『ブッダ』 36

2011-10-28 00:21:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アバーッ!」シルバーキーは絶叫した。現実世界が戻ってきた。ベルト状のもので額や四肢、胸、腰を固定されており、首を起こす事すらできない。自分の施術ベッドでこんなマネをされている事がそもそも屈辱以外の何物でもないのだが、なにより首の後ろの痛み!「アーッ!」 38

2011-10-28 14:08:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「安心しろ!手術は済んだぞ」見下ろすのはサージョンだ。「済んだだと……」「そうとも!その痛みは生の痛みだ!お前の脊椎にインプラントさせてもらった」先程の不機嫌な様子とは一転、彼はクスクスと笑っていた。「とっておきのインプラントをな」嬉しくてならないといった様子だ。 39

2011-10-28 14:13:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「インプラントだって?一体そりゃあ……」「簡単な手術だとも。お前は今後ギルドのUNIXシステムに常にログインしている事ができる。常にだ。何処で何をしていても、我々はお前の居場所を把握できるんだ。凄いだろう!」「え?」「血の巡りの悪い男だな」サージョンは舌打ちした。 40

2011-10-28 14:20:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「これでお前は晴れてザイバツ・シャドーギルドのニンジャだ。この装置のおかげで、お前のようなバカ者でもギルドに貢献する事ができる。忠誠は後から育てれば良いのだ。みっちり教育を受けてな」「ワケが……わからない!」「血の巡りの悪い男だ!イライラさせられる」サージョンは舌打ちした。 41

2011-10-28 14:30:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「だから、あンたの説明、実際わからないんだよ!」シルバーキーは口答えした。「俺が訊いてるのは、何でこんな目に遭わなきゃならんのかっていう……」「だから!お前がこれでザイバツ・シャドーギルドの一員なのだ!このクズ虫が!バカ!愚鈍すぎる!話にならない!」サージョンは叫んだ。 42

2011-10-28 14:40:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

その理不尽な激昂にシルバーキーはただならぬものを感じる。会話が噛み合わない!先程はあのパープルタコの陰にかくれていたが、こいつはこいつで相当のサイコなのだ。それにしても……インプラント?常にログイン……?「お目覚めじゃない」くすくす笑う女の声。パープルタコだ! 43

2011-10-28 14:43:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「なによ怒鳴っちゃってさ」入室してきたパープルタコはその手にオーガニック・サケの瓶を持っている。ラベルに「青い茄子」と書かれている。あれはシルバーキーの秘蔵の一本だ。(勝手に飲みやがって!)「あンたの話、わかりづらいんだよ」瓶をラッパ飲みしながらパープルタコが笑う。 44

2011-10-28 14:48:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「こいつがバカなんだ!」サージョンは言い捨てた。パープルタコは肩を竦めた。そしてシルバーキーに身を屈め、動けない彼の頬を、眼球を、口から生えた触手で撫で回す。「アカチャン。あたし達はザイバツ・シャドーギルド。ギルドはニンジャの力で、このキョートの全てを支配している。全てを」 45

2011-10-28 15:03:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アイエエ……!」「ギルドはあンたのそのテレパスに興味を持った。ニンジャの力……秘密を暴く力。自分でもわかってるんでしょ?こんなケチなマッサージで人生終わらせる気?」「やめてくれ!」シルバーキーは抗った。「俺は何にもできない!やりたくない!」「アハハハハハ!アカチャン!」 46

2011-10-28 15:08:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

パープルタコは身を離した。マインド潜入を警戒したのかもしれない。「ま、後は慣れればいいのよ。わからないことも、おいおいわかる」「……」彼女は部屋の隅のソファにかけ、寛いだ。サージョンが再びシルバーキーの顔を覗き込む。「さて。必要な手術は終わったわけだが、私は完璧主義者だ」 47

2011-10-28 15:16:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「え……?」「特に、歯だよ。私は外科医だが、歯が汚いのが我慢ならん。お前の虫歯が気になって仕方ないんだ」サージョンは言葉とは裏腹に、嬉しそうに目を細めた。「本当に沢山あるな!一つ一つ処置してやる。麻酔無しで」「え?」「だから、麻酔無しで、みっちりやるんだ!」「ナンデ!」 48

2011-10-28 15:23:02