もう黄昏時なのにあの子がいない。また勝手に街に出て行ったのだろう。探しに出かけた。空は次第に暗くなってくる。もう必死で誰彼かまわず聞きまわり、やっと公園のブランコに揺られているのを見つけ、部屋に連れて帰る。「1,2,3,4…」また一人足りない。五つ子達はみんな放浪癖がある。#twremix twitter.com/sakura77_sosak…
2023-02-19 22:20:58今回もまた公園のブランコに揺られているところを見つけた。まだ子供だから、抜け出したはいいがどこに行けばいいか分からないのだろう。5人揃ってなくてはこの仕事はできない。手放すわけにはいかないが、たまには遊ぶ時間を作ってやることも必要かもしれない。#twremix #twnovel twitter.com/marinegumi/sta…
2023-02-21 21:09:08
逃げるように? そうではなく逃げて来たんだ。静かすぎる田舎が嫌だった。たった一人で孤独だった。孤独なはずなのに周りの人の目が突き刺さるようで我慢できなかった。 賑やかな都会へ出て来ると周りのあらゆる音が私を包んだ。それが騒音と呼べるほどでも静寂より更に静寂に近く安らげる。#twremix twitter.com/sakura77_sosak…
2023-02-20 16:48:48逃げるようにこの場所に来た。現実に呑み込まれてしまいそうだったから。この生きるのに過酷な場所なら、あなたを思い出す暇もないと思っていた。でも私に降ってくる雪は音を吸い込み、私を静寂へ落とす。音のない世界で思い浮かぶのは、やっぱりあなたの顔。 #twnovel #雲の詩沫 静寂の中に落ちて
2023-02-19 21:45:09田舎の結束は強かった。誰もが自分の名前を知っていて声を掛けてくる。まるで全てから見張られているような気がした。だから都会に出てきた。ここには田舎の倍以上の人間がいるし、田舎にはない防犯カメラもある。でも誰も自分の事など気にしていない。都会は自分を解放してくれる。#twremix #twnovel twitter.com/marinegumi/sta…
2023-02-21 21:17:15
好きだった君の姿が目に焼き付いている。朝登校して来るとグラウンドを走っている君の姿がある。授業中に窓から見下ろすと君は汗を光らせて走っている。図書室から君の姿は見えないのに足音は聞こえる。 卒業してから十年後。同窓会で学校に来ている。昔と変わらない君はまだ走り続けていた。#twremix twitter.com/sakura77_sosak…
2023-02-22 23:02:30
彼の自転車の荷台に後ろ向きに座って過ぎて行く景色を見ている。背中と背中がくっついて暖かい。彼の鼻歌が聞こえ、風が気持ちいい。 辺りはすっかり夜になったのにまだ自転車はものすごい速さで走り続けている。どこへ行くんだったか思い出せず止めてとも言えない。彼の背中がとても冷たい。#twremix twitter.com/sakura77_sosak…
2023-02-22 23:09:55
就職が決まり上京して住む場所も見つけた。狭いけどお気に入りの部屋。これから頑張るぞと張り切って外へ出たとたん横断歩道で車に撥ねられた。 お父さんとお母さんは部屋の解約手続きを済ませ私の体を故郷に運んで行った。 私はお気に入りの部屋に残った。地縛霊ってこうして出来るんだね。#twremix twitter.com/sakura77_sosak…
2023-02-23 18:00:23上京する数日前に家から逃げ出してしまった猫。楽しみにしていた東京生活も、猫のせいで不安から始まった。あれからもう何十年。両親がいなくなった実家に戻ったらあの猫がいた。似ている猫かと思ったが写真と全く同じだ。生きているはずがない。でもあの猫が私を出迎えた。#twnovel #言葉の添え木 猫
2023-02-23 00:43:40
観覧車が一番好きなのに、いつも乗る時と降りる時が怖かった。いくらゆっくりだと言っても動いているゴンドラにタイミングを合わせるのが不安だった。つまづかないか、踏み外さないかと心配ばかりしていたんだ。 でも、今はもう大丈夫。もうこのゴンドラから降りなくてもよくなったんだから。#twremix twitter.com/sakura77_sosak…
2023-02-24 22:43:59「毎日私に会いに来て飽きない?」景色を見ながら言う君。観覧車のゴンドラでおしゃべりするのが当たり前になった頃。「君も毎日同じ風景を見て飽きないの?」逆に尋ねた。「飽きないわ。同じ風景なんて一つもないもの」「同じ事だよ」そう言うと、君は顔を背けたまま耳を赤くした。#twnovel #twremix twitter.com/marinegumi/sta…
2023-02-28 20:19:19@sakura77_sosaku この観覧車シリーズ、みんな別々のお話を書いているんですが、このまま作品数が増えると、どこかでつながってしまいそうですね。
2023-02-28 22:42:11雷が鳴りやがて雨が降り出した夜。この日を待っていた。車を飛ばして廃遊園地を目指した。 潰れかけた管理棟の配電盤に避雷針から配線したのは数か月前。期待通り稲光が激しく空を走りやがて轟音と共に落雷。観覧車は明かりを点け回り出した。それはほんの数十秒。ゴンドラに乗る君が見えた。#twremix twitter.com/sakura77_sosak…
2023-02-26 22:43:42あの日の君は白いワンピースを着て、楽しそうに風景を見ていた。そんな君をもう一度見たいと思っていたけど、稲光で浮き上がったのは黒いワンピースを着て静かに座っている君。君に何かあったのだろうか。ただ見れれば良いと思っていたのは僕の自分勝手。君を救いにいかなきゃ。#twnovel #twremix twitter.com/marinegumi/sta…
2023-02-28 20:25:59