【追跡者】福間健二 #k2fact353
なぜ真夜中になると答が出るのか。わからなくてもよかったことにまで。たとえば、赤い血というよりは黄色い蜜の届かない先端の問題。擦ることからだ。なら、悪いときばかりじゃない。早朝デート、二十四時間営業のサンドリアのサンドイッチを買ってベンチを探すんだろう。(追跡者1)#k2fact353
2023-02-07 16:29:50花飾りにじゃまされる。健気といえば健気な、ほんのわずかの上昇志向。間隔をおいて、飽きないようにしたい。絵を描くこと、愛すること、瞑想すること。過去から未来へと堂々めぐりの理論の介入を許さない地面に立ち、かれらも安心してはいない。冬の男と女であることに。(追跡者2)#k2fact353
2023-02-08 11:08:25走るフォーム。何人か交差点で見て自分も姿勢を整える。バスから降りてきた人たちも見た。いつかいきなり札束を見せてくれた人、そのことはおぼえていないみたいだ。でも、風のある朝。デニーズの前の入江に屈みこむ聞き手を気づかう蕾にハッとするのはぼくだけじゃない。(追跡者3)#k2fact353
2023-02-09 09:46:21そぞろに。いつも以上の悪路の運転。何度も目がさめ、そのたびに燃える学校から炎が迫ってくる。目と耳、何を卒業するのか。ひび割れる壁の受けとめ方がことなる男と女。倒れそうで倒れない立体と向きあう。治らない右手も使って、サブウェイでサンドイッチ。ビールはないよ。(追跡者4)#k2fact353
2023-02-10 11:11:01消滅する森。では、そこにあるべき骨になされるべき無言の作業ともサヨナラか。としても、落胆はない。見たい映画をやっていない都市から髪なびかせてとびおりる人の着地は目撃したから。きのうの雪がもうとけて乾いていく路上。永遠であるはずのない鉄棒の影がなぜ青なのか。(追跡者5)#k2fact353
2023-02-11 10:54:03格子のむこう、幽霊に見えた人たちが、近づけば色とりどりのパジャマで眠るところだ。生きている。季節はずれだが、隠蔽できない二世の能力と汗。なにかの半分だろう。あとの半分は抑えられたまま多摩川を西へ渡っていく。どんな運命でも、朝、コンビニで買いたいものがある。(追跡者6)#k2fact353
2023-02-12 12:00:48泳ぐ人、いない。発火、ない。空は曇って、なまめかしい容器もスペシャルズも知らない生徒たちのツートーンを濡らす雨になる。春のきらいな大人になるまでのゾーン状態。恋に適さない気温で何を回転させるのか。なにか言ってくれよ。ぼくの両足はその通りと言いたがっている。(追跡者7)#k2fact353
2023-02-13 11:54:40まだ地下道。未使用の火薬と死体。老いぼれの哲学者とウグイスは待たせたまま。ちょっとそんな予感がしたとそうなってから言うよりは。通じるまでに何時間もかかるフリーダイヤル。土を食べたことがあるというのはどこまで飛ぶ駆除業者で、ながながと鳴るのはだれの爆音ですか。(追跡者8)#k2fact353
2023-02-14 14:07:14境界に退屈する図書館員のようにではなく、いきなり正面にパッと現れ、頭がふたつある。ぼくでなければだれが落胆するためか。片方の頭でしか考えていないのがミステリー不足の水の音でわかる。そんな怪物との、それでは何も解決しない、それでも徐々に気持ちが通じあう午前だ。(追跡者9)#k2fact353
2023-02-15 12:15:15たまっていく壜のうしろの都会。走る、静止する、どちらも簡単じゃないそこに現れては消える名前たち。おいおい、何に化けてもいいけどやっとのことで届く蜜を盗みあっている場合じゃないぞ。額を少し上にする。それだけで見抜ける嘘に包まれたきみたちをぼくは追跡するんだ!(追跡者10)#k2fact353
2023-02-16 09:39:53