Obinata先生 税効果会計

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Obinata @tobin1022

税効果会計の繰延税金資産・負債のリアリティの無さにたいする社会的批判 → 概念フレームワークにおける資産負債アプローチの採用 → 税効果会計を資産負債法で再編成 この流れで理解することが重要。

2023-02-17 09:25:14
Obinata @tobin1022

税効果会計の資産負債法の目的は、P/Lの税費用とB/Sの繰延税金資産負債の情報を将来の税支出の予測に役立つようにすること。そのための手段として、(1)会計利益と課税所得のズレ、(2)会計上の資産負債と税務上の資産負債のズレを調整する。

2023-02-17 09:28:58
Obinata @tobin1022

(1)の調整は、繰延法から継承したもの、(2)は資産負債法の採用によって必要になったもの(資産負債法に固有のもの)。 資産負債法の「目的」に、税引前利益と税費用の対応をもちだすのは、間違いだとは言い切れないが、やや筋が悪い。繰延法批判という歴史的背景を踏まえていない。

2023-02-17 09:32:27
Obinata @tobin1022

さらに、(2)の会計処理は税引前利益と税費用の対応を乱し、むしろ、税引後利益を乱高下させる面がある。 学生が(2)を勉強して、「対応(平準化)が目的のはずでは?」と思い、混乱するのは当然。教え方が悪いだけ。 これで悩みは解決するはず。

2023-02-17 09:35:23
Obinata @tobin1022

基礎論点の復習。 税効果会計の繰延法が通用していた時代,利益(当期純利益)と課税所得のズレを調整すれば十分であった。利益計算の結果として資産負債の評価額が決められていたからである。 しかし,資産負債に固有の情報で評価されるようになった。そう,「その他の包括利益累計額」の登場である。

2023-02-17 10:10:03
Obinata @tobin1022

税効果会計の資産負債法の神髄は,B/S上の「その他の包括利益累計額」に税効果調整をする点にあると言っても過言ではない。B/S情報の意味が主戦場であり,繰延税金資産負債に,どのような経験的意味をあたえるかが,税効果会計の会計基準の核心になっている。

2023-02-17 10:14:34
Obinata @tobin1022

税効果会計は,やっぱり難しい。発生主義会計の利益を対象にしているから,その時点で,抽象度は1階だけあがる。包括利益は資産負債経由で計算されているから,もともと抽象度が2階の産物。それに税効果を適用するから,抽象度は3階となる。ほぼほぼ人間の限界に近い。

2023-02-17 10:21:04
Obinata @tobin1022

その他の包括利益累計額にたいする税効果調整が,実感からきわめて遠く,かつ,たんに技術だけの小難しい話に聞こえるのは,まったくもって正しい感覚。簿記を正しく学んできた証拠。頭が悪いわけではない。その人工的産物に経験的世界の意味をあたえようとするのだから,さらに難解になる。

2023-02-17 10:23:06
Obinata @tobin1022

ただ,だからといって機械的暗記に走ると,脳はむしろ拒否反応を示すだけで,とてもじゃないが,覚えきれない。理性が働いているから,当然である。だからこそ,由来や歴史を知る必要がある。理屈はないが,歴史はある。そこに必然性があれば,納得できるはず。

2023-02-17 10:25:25
Obinata @tobin1022

有価証券評価差額金にたいする税効果調整が基本。歴史的には,これが先。その後,退職給付にかかる負債の調整額が登場。こいつが厄介。ところが,税効果会計というのは,回収可能性の話を除いて,資産と負債が左右対称にできている。そこで,有価証券評価差額金の基本型を確実にものにする。

2023-02-17 10:33:22
Obinata @tobin1022

金融商品の現在の時価は,将来の時価の割引現在価値である。いつ売るかにかかわらず,現在の時価が将来の売却によるキャッシュ・インフローの代理指標になっている。だから,税引後評価益は,売ったら株主が手にできる利益の指標であり,繰延税金負債は売却益にかかる税金の指標となっている。

2023-02-17 10:36:05
Obinata @tobin1022

資産の未実現評価益にたいする税効果調整から,繰延税金負債(将来支払うであろう税金)が生じる。///そうすると,負債の追加計上にともなう発生評価損にたいする税効果調整から,繰延税金資産(将来支払うであろう税金の節約額)が生じる。 全部を一気に覚えずに,基本から覚える。応用は後回し。

2023-02-17 10:39:28
Obinata @tobin1022

ちなみに,「将来支払うであろう」が前提になっている。負債については税の支払い可能性,資産については回収可能性が問題。保守主義がここで(唐突に)登場し,回収可能性だけを問題にする。なぜ(唐突に?)と考える必要はない。会計慣行だ。そこにも理屈があるが,受験勉強では無視するのが賢明。

2023-02-17 10:44:02
Obinata @tobin1022

なお,繰延税金資産の回収可能性は,わかりにくいが,節約可能性と考えればよい。支出する必要がないときは,節約は問題にならない。欲しくないものを買わなかったとき,節約できたとは言わないだろう。節約といえるのは,やむなく支出するときに限定されていますよ,というのが回収可能性。

2023-02-17 10:46:37
Obinata @tobin1022

ツイ校向けの税効果会計の特別レクチャーは,ここまで。 定期試験では税効果会計も出題したが,なぜか出来がいい。なぜというのも変かな。まあ,説明がわかりやすかったと,うぬぼれておこう。

2023-02-17 10:50:20
Obinata @tobin1022

大日方隆。大学教員(財務会計)。勤務先は東京大学経済学部・経済学研究科。前勤務先は横浜国立大学経営学部。学部4年時に会計士試験合格。元TAC講師(1984-1989年)。ここでのつぶやきはアカウント主(大日方隆)の個人的見解であり、勤務先とはいっさい関係ありません。

Obinata @tobin1022

その他の包括利益の税効果。 その他有価証券(評価益分の増加)   = 評価差額金(正のOCI) + 繰延税金負債      ↓      ↓(左右をひっくり返して・・・)      ↓                退職給付の追加債務 調整額(負のOCI) + 繰延税金資産 =

2023-02-15 15:12:57
Obinata @tobin1022

税効果会計の実務が始まったとき,当初は資産評価額を調整するようにしていた。ところが,電力規制官庁が繰延税金負債を資本剰余金や利益剰余金に含めるという指導を始める。電力業にとっては,発電原価を計算するためのレート・ベースとなる資産簿価が重要。簿価を綺麗にしろというわけだ。(つづく)

2023-02-15 15:32:09
Obinata @tobin1022

理屈はないけど,歴史はある。 アメリカでは,会計上で作られる擬制負債を負債の部に計上することは,原則,禁止。SECは,社債市場も管轄。負債が増えて,負債価値が希薄化(下落)するかのような表示は適正表示ではないと考えている。(つづく)

2023-02-15 15:29:40
Obinata @tobin1022

SECは,「ちょっと待った!」いわゆる規制業種はいいとしても,一般事業会社が繰延税金負債を資本剰余金や利益剰余金にするのはNO!なぜなら,そのでたらめな会計処理は,大恐慌とその後の混乱をもたらし,会計制度を作るきっかけになったから,SECにとっては受け容れられない。(つづく)

2023-02-15 15:34:33
Obinata @tobin1022

やむなく,SECは,繰延税金負債の負債計上を認める。まあ,ひょんなことからだね。その後,やはり擬制負債は認められないので,投資有価証券の繰延評価損,退職給付の追加債務による純資産のマイナス,繰延ヘッジ損益は,純資産に雑然と放置されていた。(つづく)

2023-02-15 15:36:28
Obinata @tobin1022

前述のように,資本剰余金と利益剰余金は純粋でなければならないので,純資産のなかに,区分名称もないまま,いわば「その他」として,それらの項目は並べられていた。その無法状態は世間の非難を浴びる。それは,資本なのか利益なのか?と。(つづく)

2023-02-15 15:38:00
Obinata @tobin1022

FASBは,はたと考えた。7年くらいかかったかな。「その他の包括利益」というアイデアを思いついた。B/S上のストックについては,解決。ただ,その期中の変動額(年度差額)については,無頓着だった。フォローとしての「(年度の)包括利益」は,しかたなく表示するという次第になった。(つづく)

2023-02-15 15:40:04
Obinata @tobin1022

フォローとしての → フローとしての お詫びして,訂正します。

2023-02-15 15:49:08
Obinata @tobin1022

一方,ヨーロッパ,とくにイギリスでは,総損益計算という包括利益計算に近いやり方を実施していたから,IASC(いまのIASB)は,これに飛びついて,アメリカ基準との共通項を頼りに,交渉に出てきた。コンバージェンスを機に,包括利益が重視されるようになる。(つづく)

2023-02-15 15:41:48