Obinata先生 税効果会計

1
Obinata @tobin1022

さて,税効果会計の資産負債法は,将来の税支出とその増減を開示することを主目的にし,全面的に税効果を適用することを副目的にしている。この副目的というのが,とてもやっかい。(つづく)

2023-02-15 15:43:18
Obinata @tobin1022

全面的に税効果を適用するものだから,いつ一時差異が解消するのかわからないものまで,適用対象になる。その結果,解消する見通しのないような項目についても繰延税金負債が計上される。子会社留保利益みたいに免除規定があるものも,あるよね。(つづく)

2023-02-15 15:45:02
Obinata @tobin1022

これで最後。ぐるっと一周回って,ほんらい,SECは擬制負債を嫌っていたのに,負債性が怪しい(いつ消滅するかわからない)繰延税金負債が居座っている。その他の包括利益が生まれた経緯からすると,これは論理矛盾。だから,理屈はないけど,歴史はある。

2023-02-15 15:47:00
Obinata @tobin1022

決算日までに「法改正によって確定している」税率の変更は,当該決算に反映させる。これは,資産負債法の趣旨にかなっている。 一方,決算日後に確定したなら,その影響は注記する。財務諸表に反映すべき後発事象とはしない。手間がかかるものね。しかも,財務諸表作成日が企業によって区々だからね。

2023-02-20 13:10:33
Obinata @tobin1022

肝心なこと。税効果が理解しにくいのは,当然。部分的に理屈があるけど,全体として,おおきな矛盾を抱えている。だから,パーツごとに覚えなければならない。苦痛だね。しかし,その矛盾は,理由があって生まれている。無秩序というわけではない。会計士になるなら,これは我慢すべき。会計史の産物。

2023-02-15 15:58:28
Obinata @tobin1022

税効果の資産負債法でも,説明に窮するもの。 (1)繰越欠損金,(2)子会社の留保利益。 いずれも,財務会計上も税務上も資産や負債ではない。税効果を調整したほうが,将来の税金支払い額にかんする予測には役立つが,資産負債の会計と税務のズレにたいする税効果ではない。

2023-02-20 10:31:30
Obinata @tobin1022

ただ,それらを必要とする状況は存在する。企業結合である。被取得会社(消滅会社)の繰越欠損金,および,余剰キャッシュを取得することが目的で,事業価値がたいしたこともないのに,対価を支払って取得することがある。

2023-02-20 10:33:17
Obinata @tobin1022

なにも処理をしなければ,過大な対価はのれんを産みだすだけである。しかし,のれんの原因がわかるなら,識別可能無形資産として抜き出す必要がある。(1)の繰越欠損金は合併対価を増やし,のれんを増加させる要素。(2)将来の配当にたいする課税は合併対価を減らして,のれんを減少させる要素。

2023-02-20 10:37:15
Obinata @tobin1022

ここで,難しい問題が生じる。企業結合時の処理として税効果を織り込むか,子会社株式の取得後,または,企業結合後に,取得会社側が別途,会計処理するか。そこで悩むなら,平素からやっておこうという話になる。企業結合があろうがなかろうが,税効果の対象というわけだ。

2023-02-20 10:39:50
Obinata @tobin1022

税効果調整後の税費用を税引前利益に対応させようとしてみても,その他の包括利益も税効果調整するから,対応させられない。それなら・・・ということで,税費用も当期純利益までとその他の包括利益に分けるという案も出てくる。しかし,これはかなり筋が悪い。

2023-02-20 11:29:28
Obinata @tobin1022

当期純利益とその他の包括利益が,いずれも黒字(プラス)ならわかりやすいが,一方が黒字で他方が赤字だと,意味がわからなくなる。企業全体の所得に課税されているという実態にたいして,むしろ,ミス・リーディングな情報を提供しかねない。ASBJは苦悩している。

2023-02-20 11:31:28
Obinata @tobin1022

そもそも,税効果にいう対応というのは,平準化するということでしかなく,個別的な対応を追い切れるものではない。資産別負債別の税効果という発想は,とりにくい。繰越欠損金は典型例。策に溺れると,無駄に時間をとられてしまう。

2023-02-20 11:35:55
Obinata @tobin1022

連結上の未実現利益にたいする税効果。適用すべき税率は,受験生の頭を悩ませる。未実現利益が生じているのは,売却側のほう。一方,実現させて差異を解消させるのは,購入側のほう。 混乱させるといけないので,立ち入らないが,会計基準はつじつまがあわないことは確かである。暗記したほうが早い。

2023-02-20 12:54:45
Obinata @tobin1022

決算日までに「法改正によって確定している」税率の変更は,当該決算に反映させる。これは,資産負債法の趣旨にかなっている。 一方,決算日後に確定したなら,その影響は注記する。財務諸表に反映すべき後発事象とはしない。手間がかかるものね。しかも,財務諸表作成日が企業によって区々だからね。

2023-02-20 13:10:33
Obinata @tobin1022

かつて,予算審議が延びに延びて翌年度にズレ込み,混乱した年度があったんだよ。税率変更は,たいていは目玉の施策で目立つから,一律に公平な会計処理をしようとすると,機械的な形式基準が必要になる。やむを得ない。後発事象は,復習しておきましょう。

2023-02-20 13:16:41
Obinata @tobin1022

連結未実現利益について。過年度に償却性資産を親子会社間で売買した場合の修正は,要注意。 ①売買時点に遡った修正処理+②過年度分の修正処理+③当期分の修正処理=当期末の正しい処理 という関係を理解する。 ①ー③の税効果を忘れずに。さらに,なによりも,経過年数の数え間違いをしない!

2023-02-20 14:05:04
Obinata @tobin1022

税効果会計の目的。 税支出を期間配分して税費用を計算し,税引前利益と税費用とを対応させること。 とすると,積極ミスが目立つような気がする。あきらかに繰延法の時代の表現。

2023-02-20 14:49:09
Obinata @tobin1022

資産負債法を前提とする税効果会計の目的。 ①税引前利益と税費用とが対応するように税支出を期間配分したり,②将来の税支出の予想に資するように繰延税金資産負債を計算したりすること。 日本ではまだ「意見書」が有効だから,受験生が保険をかける意味では,①は欠かせない。本質は②だけどね。

2023-02-20 14:53:43
Obinata @tobin1022

日本で,税効果会計の意見書が作成されたとき,および,日本公認会計士協会から適用指針の初版が公表されたときは,会計制度が大混乱の時期であったのにくわえて,日本ではまだ資産負債アプローチは採用されていなかった。その影響をまだ残っている。作り替えてもいいのだろうけども。。。

2023-02-20 14:56:48
Obinata @tobin1022

その影響「を」 → その影響「は」 お詫びして訂正します。

2023-02-20 15:02:14
Obinata @tobin1022

資産負債法を定めたアメリカの SFAS 109 (1992年)では,「財務諸表または税務申告書において認識された事象にかんする税金の将来の顛末について,繰延税金資産負債を認識すること」と書かれていた。ここでいう「顛末」は,納税支出,還付収入のこと。 もちろん,受験生は無視していい話だよ。

2023-02-20 15:09:53
Obinata @tobin1022

税引前利益に乱高下がなく,課税所得が乱高下しているときは,税効果の調整により,税引き後利益は平準化される。逆にの場合は,税効果の調整をしても,税引き後利益は平準化されない。税効果会計が,つねに利益平準化に役立つというのは誤解。

2023-02-22 15:22:58
Obinata @tobin1022

税効果会計によって税引後利益が平準化されなくなるのは,主として,繰延税金資産の回収可能性をめぐる問題。景気の下降から回復局面において,取崩と戻入は,利益の変動振幅を大きくしてしまうからである。

2023-02-22 15:27:53