- rouillewrite
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人を信じるのは、その人を信じると決めた自分を信じること。 ……あの子と見た映画か何かの台詞だっただろうか。
2023-02-19 21:05:42大事な人たちのためにいたい。 けれど もしも、本心が違ったら。 そう思ってしまう自分が信じられない。 信用ならない。
2023-02-19 21:06:37火咲の夢の1件があってから、ひとつ夜を越していた。 一晩分あいてしまったということは、未だに姿を現さないむび助に何かあったのか。 この夢の中に自分たちを送り込んでいるのはどうやら彼のようなので、まさか死んでいるということはないだろうが。
2023-02-19 21:09:25先ゆく先輩たちの後ろ姿を見ながら、和気春馬はそっと息を吐く。 目が覚めてからすぐ近くにいた、2人の先輩と同級生。 自分が兄のお化けと対面した時に、そばにいて一緒に戦ってくれた人達だ。
2023-02-19 21:11:22「ここは東棟の3階ですね!自分たちの教室の表札が見えます。今回も“お化け”がどこかに居るんでしょうか」 「でも今回は“あちら側”じゃないだろうし、お化けを探すより皆と合流するのが先ですかね」
2023-02-19 21:12:10先頭を行くのは空彦、次に火咲、その後ろに右京、一番後ろで辺りを見回しているのが春馬だ。
2023-02-19 21:13:25少し警戒気味に杖を握りしめ、ぎゅっと唇を結ぶと、それに気づいた右京が「大丈夫ですか?」と声をかけてきた。 一度同じフィールドで共闘したからか、どこか安心する。 「大丈夫です」と穏やかに微笑み返すと、彼は安心したように頷いた。
2023-02-19 21:13:47「とりあえず…戦闘に出ないこちら側の人たちとは合流しやすいですし、2階におりて捜索を────」
2023-02-19 21:14:59そこまで言って、先頭を歩いていた空彦が突然立ち止まる。 その後ろにいた火咲が驚いて、立ち止まり彼の視線の先を見た。
2023-02-19 21:15:23火咲の体で前の様子が見えない右京や春馬が「どうしたんですか」と問いかけると、火咲が落ち着いた声音で「構えろ」と呟く。
2023-02-19 21:16:20空彦と火咲が見つめる廊下の先は暗い。月明かりがあったはずの窓からの光は、そこから先は完全に遮断されていた。
2023-02-19 21:17:54火咲の呟くその声に、後ろの2人はぎゅっと手元の武器を握りしめた。 “仲間”ではないことは明らかな空気に堪えるように、右京が小さく唇を結ぶ。
2023-02-19 21:18:35そのまま4人で固まって廊下の端に進むと…黒い人影が目に映る。 その人物は足音で気がついたのか、手を止めてくるりとこちらを向いた。
2023-02-19 21:19:02月夜高校の生徒でも、先生でもない。 見覚えのない姿。 上から下まで真っ黒なスーツを着こなし、黒く長い髪が靡く。 黒いスーツのポケットに飾られた桃色の花が印象的な男性だ。 …そして、その尖った耳が、自分たちと同じ存在ではない、ということをありありと示している。
2023-02-19 21:20:11「…あぁ、“こうやって”お会いするのは初めてですね?」 pic.twitter.com/04Vcep2EbP
2023-02-19 21:20:48長い髪を靡かせ、ようやく少しだけ照らされた月明かりで見えたその人は、黒い手袋をした右手を頬に添える。 真っ黒な瞳は空彦たちを見ているようで見ていない。
2023-02-19 21:23:19