ビースト・オブ・マッポーカリプス 後編 #2

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

滅びた蔦の先、シャチホコの上にアヴァリスが居る！ニンジャスレイヤーは更なるスリケン投擲を行おうとする。だがアヴァリスが右手をかざし、左手を手首に添えるその動作は不穏な予兆だ！(((次のジツが来るぞ、マスラダ！機を焦るべからず！回避せよ！)))「イヤーッ！」KRA-TOOOOOM！　15

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

次の瞬間、ニンジャスレイヤーがあさっての方向に放ったスリケンに、青白い稲妻が落ちた。その時すでにニンジャスレイヤーは側転からのフリップジャンプを繰り出し、スリケンを経由して襲い来る稲妻の範囲外へ危うく逃れていた。彼は対岸のシャチホコに着地した。アヴァリスは両腕を放電させる。　16

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((見ての通りのデン・ジツ也。奴め、ジツ集めの過程でかようなものまで……)))ナラクは目を細めた。(((デコイを用いた回避。まずは良し。なれど、その回りくどき対応が二度三度と通用すると思うな。デン・スリケンは神雷。純粋なる熱と破壊の矢。狙わば必ず獲物の身を貫き焼き焦がす。ゆえに……)))17

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

マスラダのニューロンが燃え、象徴的光景が記憶野に焼きついた。一瞬後！「イヤーッ！」アヴァリスは雷撃の塊をニンジャスレイヤーに投射していた。デン・スリケン！KA-DOOOOM！シャチホコ・ガーゴイルが……二者の立たぬシャチホコのひとつが、尾を爆散させた！ニンジャスレイヤー、無事である！　18

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

見よ！ニンジャスレイヤーの手には、イアイじみて瞬時に振り抜いたヌンチャクが握られていた！「「イヤーッ！」」KA-DOOOM！アヴァリスの手が動き、ニンジャスレイヤーのヌンチャクが閃くと、再び離れた地点に雷撃が着弾！読者の貴方がたとえばセトに匹敵する霊視の力を持つならばその軌跡も見えた！19

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「「イヤーッ！」」KA-DOOOM！再び雷撃は別地点に着弾！その時には既にアヴァリスは次のデン・スリケンを放っており……そしてニンジャスレイヤーはヌンチャクで打ち返していた！然り！神速飛来物はヌンチャクで打ち返せばよい！ネザーキョウのタイクーンが投じた流星槍を、跳ね返した時のように！　20

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イイイイイヤアアアーッ！」ニンジャスレイヤーはシャチホコの背でヌンチャク・ワークを継続！アヴァリスは翳した右手にひときわ巨大なデン・スリケンを収束させる！(((儂はかつてこの何倍も強力なデン・スリケンを跳ね返してきた。驕るでないぞマスラダ！)))「「イヤーッ！」」　21

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

KA-DOOOOM！アヴァリスの足元のシャチホコに、跳ね返った雷撃が着弾した。ニンジャスレイヤーは徐々に打ち返しの精度を高めていた。わかってきているのだ！そこへしかし、ひとつ、ふたつ、みっつ！ハヤシの蔦がコンクリートを突き破って生じ、襲い来たのだ！(((対応せよ！)))「イヤーッ！」　22

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーはシャチホコを飛び降り、アヴァリスめがけ走り出した。踵すれすれにハヤシの蔦が突き刺さり、喰らわんとす！そしてさらに頭上！「イヤーッ！」アヴァリスは狙いすました召雷！ニンジャスレイヤーは……ナムサン！走りながら回転し、四方八方にスリケンを撒き散らしていた！　23

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ZAAAAAAP！這うほどに姿勢を低めて加速するニンジャスレイヤーの頭上、青白い稲妻が網目状に行き交う。ナムサン！スリケンを頭上に撒いて稲妻に対するデコイとしたのか！？なんたる極限状況判断によるナラクのヌンチャク使用示唆をも待たぬマスラダの決断敵対処からの攻撃予備動作か！「イヤーッ！」24

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは高速前転を経て……跳んでいた！その先には自らもシャチホコを捨て跳躍したアヴァリス！「アアアアアッ！」生成された九つの尾が黒衣を破って飛び出し、うねり、ニンジャスレイヤーを襲った！(((コシャク！これはフォックススピリット・ジツ！だが所詮苦し紛れよ！)))　25

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは襲い来るフォックススピリット尾をヌンチャクで打ち、蹴り払い、アヴァリスを目掛けた。天上のキンカク・テンプルが激しく輝くなか、カラテ応酬のたび、ニューロンにはネオサイタマのジツ使いの名も知らぬニンジャ達がアヴァリスに追い詰められる漠たる映像が去来した。　26

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ハハハハハ！」アヴァリスとの距離が詰まる！ニンジャスレイヤーは燃える拳を固めた。視界にノイズが走り、黄金立方体が、顔無き狂笑が混線した。（BWAHAHAHA！）ニンジャスレイヤーは燃える目から炎を溢れさせた。ナラクが吠えた。(((やはりな！正体見たり！此奴もキンカクの溢れ雫の一つよ！))) 27

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イイイイイヤアアアーッ！」「イイイイイヤアアアーッ！」赤黒く燃えるカラテが、フォックススピリットの尾が、空中で激しく喰らい合った。「グワーッ！」尾のひとつがニンジャスレイヤーの肩を打ち抜き、屋上床に叩きつけた。たちまちハヤシの根が彼の四肢を拘束した！「グワーッ！」 28

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ニンジャスレイヤーは手術台強制人体実験を逃れる患者じみて藻掻いた。アヴァリスはそれめがけ落下しながら、アシッドクラフト・ジツで生成した流体剣を逆手に構える。ナムサン！万事休す！否！(((笑止！笑止の極み！)))ナラクが猛る！黒炎が体内を駆け巡る！全身に縄めいた筋肉が膨れ上がる！　29

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((所詮は手品遊び、何するものぞ。キンカクの溢れ雫どもはワケもわからず癇癪じみて、己の力に溺れるがせいぜいよ。見えるかマスラダ！キンカク・テンプルが！此奴の影のその先で、鼻持ちならぬ光を投げる、カツ・ワンソーのカンオケが！)))……（見える！）世界が吹き飛び、闇の中で立方体が輝く！30

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

冷たく自転する立方体から降り注ぐのは、魂を溶かすかのような強い光だ。だがマスラダは今、背後……地の底より投射される逆の力によって支えられ、踏み留まり、より強固に自我を焼き固めている！（おのれ…）（おのれ、カツ・ワンソー……）（おのれ……！）(((キンカクある所、ギンカクあり！))) 31

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ナラクが鼓舞する！(((不甲斐なきニンジャどもは恐れをなし、追従じみてセイケン・ツキに興じる始末よ。だがマスラダ、オヌシは違う！黄金の太陽が輝きを増せば、黒き憎悪の炎もまた、それに抗うべく轟々と燃え上がる！これぞギンカク……ナラクの炎なり！カツ・ワンソーよ！儂を侮るべからず！))) 32

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

黄金立方体は無言！無関心じみて冷たく、ゆっくりと自転する！(((マスラダ！殺せ！焼き尽くすのだ！)))ナラクが憤怒とともに焼け焦げた手を伸ばした。吹き飛んでいた世界が戻ってきた。アヴァリスが刃と共に降ってくる。ニンジャスレイヤーは拳を握り込んだ。腕を拘束するハヤシの根が引きちぎれた。33

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーは両拳でアシッドクラフトの刃を挟み込むように殴りつけた。酸が爆発した。爆発した有害な液体は黒炎で焦がされながら乱れ飛んだ。「「グワーッ！」」二人のニンジャの苦痛の叫びが重なった。ニンジャスレイヤーは耐えた。溢れ出す血が装束を生成し、復元してゆく。34

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

一方、アヴァリスは爆発の衝撃を受けてバラバラに吹き飛んでいた。爆発四散……否。断裂した四肢はクロヤギの群れがそれぞれに受け止め、凝（こご）り、混じり合って、それぞれに立ち上がった。「「「「これがクロヤギ・ブンシン・ジツだ」」」」アヴァリスの声が響き渡った。　35

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「スウーッ……フウーッ」起き上がったニンジャスレイヤーは前傾し、呼吸を始めた。ふいごのように、ジゴクめいた炎を、心臓へ送り込む。アヴァリスたちは彼の周囲をゆっくりと巡る。集中力が臨界点に達する……「「「「「「「イヤーッ！」」」」」」」全てが動いた！　36

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ！」「イヤーッ！」アヴァリスのチョップ突きをニンジャスレイヤーは抱え込み、投げ飛ばした。その先に別のアヴァリス！「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーは背中にヤリめいたキックを叩きつけた。二体は潰れながら融合し、正面を向いた一体となった。左右から別のブンシンが襲い来る。　37

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「「イヤーッ！」」断頭チョップと水面蹴り、上段下段の攻撃が遅い来るのを、ニンジャスレイヤーは水平キリモミ回転低空跳躍で躱した。そしてカマキリ・ケリを一体の肩に叩きつけた。「グワーッ！」ニンジャスレイヤーは手をつき、転がった。だが！「イヤーッ！」「グワーッ！」そこに先程の一体！ 38

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

脇腹を蹴られ、ニンジャスレイヤーの身体はボールめいて浮き上がった。「イヤーッ！」「グワーッ！」別のアヴァリスが空中のニンジャスレイヤーに襲いかかり、身体に喰らいついた。だがニンジャスレイヤーはそれを見越していた。誘ったのだ。肩を食われながら、彼は強引にその首根に脚を回す！　39