連心珠 より【講談完結】

次回お楽しみに @cha_boshi

深夜の呉旺の根城で物語はいよいよ最高潮を迎える！今夜も続きをお話しよう。 梓心は手探りで逃げ道を探して、捕らえられていた部屋を出ていた。壁伝いに前へ手をやりながら進んでいると、急に人肌に触れたものだから声も出せずに驚いて手を引っ込めた。

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心臓が飛び出る程の驚きに固まってしまい、梓心は手を引く以上の動きが出来なかった。が、じきに自分を拐った男の声が触れた人肌の主では無いところからするのに気付く。 一方の範皆は根城の壁を越えた後も、するりと闇に溶けて建物の中へ忍び込んだ。灯りを点す事は出来ず手探りで進んだ。

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壁伝いに慎重に中へ行くと、何か柔らかな人肌とぶつかった。気配から察するに立ち止まったままのようだ。と、そこへ喚く声と共に範皆の足が何者かに踏みつけられた。 呉旺はと言うと、梓心に燭台で一発喰らわされ気絶した意識を回復させて、真っ暗闇の中起き上がった。

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若干のくらつきを頭を振って追い出してから事態を理解した呉旺は喚き散らした。 畜生、あの娘いい根性してやがる。俺様に歯向かうとはな！ 近くに娘の気配はない。 フン、もう夜も遅い。門だって閉まってると来たら壁を越えねぇと外には出られねぇ。ただの女には無理なこと。中を探すか。

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外の方へ足を向けていたが、翻し中へ戻ろうとして、ふと手下どもへ文句が出る。 ケッ、こいつら酔っ払って灯りもつけてねぇ。まずは火だ。それからあのお嬢ちゃんを探す！ ──と、灯りを探していると誰かの足を踏んだ！さてさて誰と誰と誰が触れているのか。この話の続きは次回のお楽しみに！

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今日も続きをお話しよう。 あまりにも周りが見えないので娘を探すにも先ずは灯りが必要だ。呉旺は手探りで火を探し始めた所、グッと何か、人の足の様なものを踏みつけてしまって、大層驚いた。 実のところこれは範皆の足であった。いきなり足を踏まれたので範皆も飛び上がらんばかりに驚いていた。

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梓心は何があったか分からず、迂闊には動けない部屋の隅で身を小さくする。 呉旺はピンと来た！こんな所にいて一言も話さないやつは逃げた娘に違いない。離れようとする気配を追いかけた。 範皆は足を踏んできた相手は悪漢に違いなしと迫る気配を躱しー二人は部屋をぐるぐると駆け回った。

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暗闇の追いかけっこの末に、とうとう呉旺は逃げようとする者を捕まえた。 ハハハッ、やっと捕まえた！ ん？少し離れていた内に随分ガタイが良くなったんじゃないか？ なるほど！梓心と勘違いをしているのだと合点が行く範皆。梓心は逃げているのだ。ならばと、範皆は相手の隙を伺うことにした。

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範皆は精一杯艶っぽい声で呉旺に答えた。 寒かったので服を来たのです〜 ああ、確かに寒い時は着込んだ方がいい。じゃあ、何で背が伸びたんだ？ 舞台で歌う為に底の厚い靴を履いているのです〜 ほう、そいつは大変だ。 だが、なんでこんなに手がゴツゴツしてるんだ？

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それは〜耳をお貸しください〜 呉旺が、なんだ？と更に近寄ったその時、範皆の剣はずぶりとその体を刺し貫いた。 この剣で、貴様の命を刈り取る為だ。 と、呉旺が倒れたと見るや、言い捨てた。 その声でようやく梓心は確信を持って問いかけた。 まさか！範皆さんでしょうか？

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その声、梓心か？ 範皆さん！ 二人は遂に手を取り合った。 辛かっただろう。もう安心だ。手下どもがまだ残っているが、頭を失った今散り散りに逃げるだけだ。門を破って出よう。 範皆が門を開けて外へ二人で出た時、梓心は感無量であった。

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あなたが来なければ私は命を失っていたことでしょう。 そう言って範皆の手を取り見つめる梓心。 私の心をあなたに捧げます。 範皆もその小さな乙女の手を握り返して応えた。 共にどこまでも。月光が差し、花々が咲く場所へ。 この誓いを永遠に。 大大円にてこの話はおしまいだ。